Q. 避難場所と避難所って、何が違ってどう使い分けるの?
磐田市の一時避難場所(近隣の公園や神社境内)は、発災直後に命を守り様子を見るための屋外集合場所です。一方、指定避難所(小中学校の体育館等)は、住家被害等で自宅に留まれない場合に一定期間生活を送る屋内施設です。秋の台風期には、まず一時避難場所で身を守り、市の開設情報を確認してから指定避難所へ向かうという2段階の順序を確認します。
秋の台風期。避難の言葉を点検する
2026年9月も中旬を迎え、台風の接近や局地的な豪雨に備える時期が続いています。磐田市内でも、自治会ごとの防災訓練や秋の防災点検が行われる季節です。しかし、いざ「避難してください」という情報が出たとき、「近所の公園へ行くべきなのか、それとも小学校の体育館まで行くべきなのか」と迷う声は少なくありません。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。私は磐田市で不動産や空き家管理の相談を受けていますが、災害時の安全確保は不動産の価値以前に、そこに暮らす人の命と生活の基本です。自治体の公表資料を見ると、「避難場所」と「避難所」という言葉が明確に使い分けられています。この言葉の違いを普段から理解しておくことが、いざというときの無駄な混乱を防ぎます。
前回の記事歴史文書館の小学校展と来館条件では地域の記憶の保存を取り上げましたが、本記事では今この街で暮らす私たちの命を守る仕組みについて、現場の実感から整理します。
一時避難場所と指定避難所の決定的な違い
災害対策基本法および磐田市の地域防災計画において、避難する場所は大きく二つに区分されています。
| 区分 | 主な施設・場所 | 滞在期間と目的 | 留意事項 |
|---|---|---|---|
| 指定緊急避難場所(一時避難場所) | 地域の公園、広場、神社境内、高台など | 一時的な安全確保(数十分~数時間) | 宿泊や物資配給の場所ではない。災害種別(洪水・地震)で適否がある。 |
| 指定一般避難所(避難所) | 小中学校の体育館、交流センター、市民文化会館等 | 一定期間の滞在(数日~数週間) | 市による開設宣言と準備が必要。生活支援物資や通信拠点が置かれる。 |
一つ目の「一時避難場所」は、身近な場所でまず命を守るための場所です。地震の揺れが収まった直後や、近隣で火災が発生した際、家族や近所の人と集まって互いの無事を確かめるために向かいます。ここには屋根や寝具はありません。
二つ目の「指定避難所」は、自宅が浸水したり損壊したりして暮らせなくなった住民が、救援や生活再建までの間、安全に滞在するための屋内施設です。小中学校の体育館や地域の交流センターがこれに指定されています。
良い点:市内拠点施設の空調設備と備蓄体制の進展
磐田市の避難所環境において、私が事業者としても市民としても高く評価している良い点は、小中学校の体育館や主要避難所への空調設備導入や非常用発電設備の整備が着実に進んでいることです。
過去の災害では、夏の猛暑や冬の寒さの中で体育館に避難した高齢者や乳幼児が体調を崩す二次被害が全国的な課題となっていました。磐田市が順次進めてきた体育館の断熱や大型空調の設置、Wi-Fi環境の整備は、避難生活の過酷さを和らげる大きな安心材料です。
また、備蓄倉庫における水・食料・簡易トイレの更新や、マンホールトイレの配備など、実務的で具体的な資材の確保が進んでいる点も心強く受け止めています。
注文したい点:生活道路からの案内看板と種別ごとの周知
一方で、一事業者・住民の立場から注文したい点もあります。それは、住宅街や狭い生活道路において、「どの一時避難場所がどの災害に対応しているか」を示す案内看板が、やや見えにくくなっている地域があることです。
例えば、公園の入り口にある標識に「指定避難場所」と書いてあっても、それが「地震のときの一時避難」なのか、「洪水時にも逃げ込める場所」なのかが、一見して分かりにくい場合があります。低地にある公園の場合、地震の倒壊からは逃げられても、河川の越水時には浸水してしまう場所もあります。
注文は、立派な看板を一斉に建て替えることではありません。地域の自主防災組織や自治会と連携し、生活道路の目線の高さに小さなステッカーや案内図を補うなど、日常の散歩道で自然と目に入る工夫を広げてほしいという点です。
大石の視点:商売と生活の実利から見る「避難のタイミング」
ここからは不動産業を営む私の実感です。災害時、最も危険なのは「避難所へ行こうとして道中で被災すること」です。
特に台風や豪雨の際、まだ避難所の開設準備が完了していない段階で家を出てしまい、暴風雨の中で冠水した道路を歩いて移動するのは極めて危険です。磐田市では、避難指示などの発令に合わせて、どの避難所を開設したかが防災ラジオや公式LINE、同報無線で案内されます。
自宅が土砂災害警戒区域や想定浸水深の深い地域にない場合、無理に遠くの避難所へ向かうのではなく、「2階の安全な部屋にとどまる(垂直避難)」という選択肢も立派な避難です。避難所は全員が寝泊まりできる収容力を備えているわけではありません。本当に自宅にとどまれない人が確実に施設に入れるよう、分散避難を前提とした判断が大切になります。
自治会活動と地域防災の担い手を考えた記事でも取り上げましたが、地域の助け合いは日頃の顔の見える関係から生まれます。
今日できる確認手順
秋の台風シーズンに向けて、今日できる家族の確認は以下の3つです。
- 自宅から最も近い「一時避難場所(公園など)」まで実際に歩いてみて、看板の表示を確認する。
- 指定一般避難所(小中学校など)へ至る経路に、狭いブロック塀や増水しやすい水路がないか点検する。
- 磐田市公式LINEや防災メールの登録状況を確認し、避難所の開設情報を受け取れるようにしておく。
特別な道具を買い揃える前に、まずは「どこへ、どの順番で動くか」を家族で言葉にしておくこと。それが一番の防災対策になります。
最後に一言。言葉の違いを、命の安心へ
私は、避難場所と避難所の違いを正しく知ることは、行政の仕組みに頼り切るためではなく、市民一人ひとりが自分の身を賢く守るための基本技術だと考えています。
ハード整備が進んでいるからこそ、ソフトの面での周知と確認を地道に重ねていく。家族で秋の散歩をしながら避難場所の看板を確かめ合う、そんな小さな習慣が磐田の街の安全を支えていくと信じています。
よくある質問
避難場所と避難所の違いや利用上の注意点についてまとめました。
Q. 一時避難場所と指定避難所は何が違うのですか?
一時避難場所(近隣の公園や広場)は、地震や火災などの直後に身の安全を確保し、地域の様子を見るための屋外の集合場所です。一方、指定避難所(小中学校等の屋内施設)は、住家が損壊・浸水して帰宅できない場合に一定期間滞在して生活支援を受ける施設です。
Q. 台風や大雨のとき、最初から指定避難所へ行ってよいですか?
市の防災情報でその避難所が『開設』されているかを確認してから向かいます。未開設の施設へ向かうと鍵が閉まっており、風雨の中で立ち往生する危険があります。また、屋外を移動する危険が大きい場合は、自宅の2階や安全な親戚宅への垂直避難も検討します。
Q. 避難場所の標識看板は市内のどこで確認できますか?
磐田市内の各自治会の一時避難場所には緑色や青色の案内板が設置されています。また、市が配布している防災マップや公式ウェブサイトのハザードマップで、住所ごとの指定緊急避難場所と指定一般避難所を確認できます。
出典(2026年9月確認)
※日程・開設状況・避難基準は災害の種類や規模によって変更される場合があります。最新情報と個別の避難判断は市の公式情報や自治会の案内に従ってください。評価と提案は筆者個人の意見です。

