Q. 今年77歳になる親に、市からのお祝いは届きますか。

届きません。磐田市は「※77歳(喜寿)の方への祝金の支給は令和7年度をもちまして終了させていただきました。」と記載しています。令和8年度の長寿祝金は、その年度内に88歳・100歳・108歳になる方の3区分です。当初予算は22,110千円から7,870千円へ減りました。

導入——9月の敬老会の前に、知っておきたい一行がある

磐田市の長寿祝金から、77歳(喜寿)の区分がなくなりました。市の「高齢者福祉事業」のページには、対象として「その年度内に88歳、100歳、108歳になられる方に祝金を贈り、長寿をお祝いします。」と書かれ、その下に注記が一行あります。「※77歳(喜寿)の方への祝金の支給は令和7年度をもちまして終了させていただきました。」ページの更新日は2026年4月1日です。

9月になれば、磐田でも各地域で敬老会が開かれます。市のページも、老人の日と老人週間に地域で敬老会が開催されることを案内しています。その席で「うちは今年77だけど、市からのお祝いは?」という話が出たとき、答えは「令和7年度で終わりました」になります。この記事は、その一行が何を意味するのかを、数字で確かめるために書きます。

私は磐田市で小さな不動産業をしています。高齢のご家族の家の相談を受ける立場から言うと、5,000円という額そのものより、「知らないうちに終わっていた」という受け取り方のほうが、後を引きます。だから先に事実を置き、そのあとで良い点と注文を書きます。

まず、事実を整理する——4区分から3区分へ、予算は約3分の1に

磐田市の長寿祝金は、令和7年度まで77歳・88歳・100歳・108歳の4区分でした。令和8年度からは88歳・100歳・108歳の3区分です。事務事業としての名称は「長寿祝金事業」で、決算資料では「長寿祝金支給事業」と表記されています。過去にはこの制度が「敬老祝金」という見出しで案内されていた時期もあり、名称は途中で変わっています。

金額を確かめます。令和6年度の市政報告書には、喜寿(77歳)5,000円、米寿(88歳)5,000円、百寿(100歳)30,000円、茶寿(108歳)50,000円と記載されています。ここで一つ、はっきりさせておきます。これは令和6年度の実績としての表記であって、令和8年度の金額を明示した公式文書は、2026年8月29日に私が到達できた範囲では見当たりませんでした。3区分に絞られたあとの額が据え置きなのかどうかは、私には確認できていません。

人数を見ると、この見直しの大きさが分かります。令和6年度の支給人数は、喜寿2,577人、米寿891人、百寿74人、茶寿1人。合計3,543人です。このうち喜寿だけで2,577人、全体の72.7%を占めていました。金額に直すと、喜寿の2,577人×5,000円で約1,288万円。4区分の合計が約1,961万円ですから、支給額の65.7%が喜寿でした。

磐田市の長寿祝金の区分ごとの金額と令和6年度の支給人数、支給額をまとめた一覧表。喜寿77歳は1人あたり5,000円で2,577人に支給され合計は約1,288万円だったが、令和7年度で終了した。米寿88歳は5,000円で891人、約446万円で令和8年度も対象。百寿100歳は30,000円で74人、約222万円で令和8年度も対象。茶寿108歳は50,000円で1人、5万円で令和8年度も対象。合計は3,543人、約1,961万円で、このうち喜寿が人数で72.7パーセント、金額で65.7パーセントを占めていた。金額は令和6年度の実績としての表記であり、令和8年度の金額を明示した公式文書は確認できなかったことを注記している。
図1 磐田市「令和6年度 市政報告書」から作成(2026年8月29日確認)。支給額は人数×単価による筆者の概算。

予算の側も一致しています。令和7年度の当初予算は22,110千円(77歳・88歳・100歳・108歳)。令和8年度の当初予算は7,870千円(88歳・100歳・108歳)です。差は14,240千円、つまり1,424万円の減。率にして64.4%の縮小です。長寿祝金という事業は、金額の大半が「喜寿」でできていたことになります。

市がこの見直しをまったく予告していなかったわけではありません。令和6年度の市政報告書には、この事業の課題として「長寿祝金支給事業について、平均寿命の延伸や少子化による労働人口の減少など社会状況が変化する中、事業の見直しを検討していく。」と書かれています。決算の資料を読んでいた人であれば、見直しが来ることは読めた、ということです。

担当は健康福祉部の高齢者支援課 給付グループ。iプラザ3階、電話0538-37-4869です。

数字にする——1,424万円を、市民1人あたりに割り戻す

1,424万円は、磐田市の人口163,224人(令和8年7月末現在)で割ると、市民1人あたり年87円です。65歳以上の人口49,092人(高齢化率30.1%)で割れば1人あたり290円。私の商売の物差しに置き換えると、1,424万円は、磐田市空き家バンクに載っていた東新町の890万円の家なら1.6軒分にあたります。市の予算としては小さく、家の値段としては大きい。この二つが同じ金額だ、というところに、この話の難しさがあります。

受け取る側の数字も置きます。喜寿の5,000円は、一生に一度です。令和8年7月末時点で磐田市に77歳の方は2,698人います。88歳は879人、100歳以上は158人。ただしこの人数は「令和8年7月末の満年齢」で数えたもので、制度が使う「その年度内に88歳になる方」とは母集団が一致しません。おおよその規模をつかむための数字として読んでください。

もう一つ。令和6年度に喜寿の祝金を受け取った2,577人という数は、令和8年度の長寿祝金の対象になる88歳・100歳・108歳の合計966人(令和6年度実績)の、2.7倍です。制度が届く人数は、3分の1近くまで減りました。金額の減り方(64.4%減)と、人数の減り方(72.7%減)は、ほぼ同じ向きに動いています。

磐田市の長寿祝金の当初予算の変化と、その減った額を割り戻した数字、および市の公式ページに記載が見当たらない項目を並べた図。令和7年度の当初予算は22,110千円で対象は77歳・88歳・100歳・108歳の4区分、令和8年度の当初予算は7,870千円で対象は88歳・100歳・108歳の3区分、差はマイナス14,240千円で1,424万円の減、率にして64.4パーセントの縮小。割り戻すと、市民1人あたりでは年87円で1,424万円を令和8年7月末の人口163,224人で割った額、65歳以上1人あたりでは年290円で49,092人つまり高齢化率30.1パーセントの分母で割った額、家の値段に置くと1.6軒分で磐田市空き家バンクに掲載されていた東新町の890万円の家に対する比、対象人数は2.7倍の差で令和6年度の喜寿2,577人を88歳・100歳・108歳の合計966人で割った値。市の公式ページに記載が見当たらない項目は、基準日つまり何月何日時点の年齢で判定するのか、住民登録の要件つまりいつから市内にいれば対象か、市外の施設に入所している方の扱い、申請の要否つまり申請書が要るのか市が抽出するのか、支給方法と支給時期つまり振込か手渡しかいつ届くか、そして令和8年度の金額つまり3区分に絞ったあとの額の6点。いずれも2026年8月29日に筆者が到達できたページには記載がなかったという意味であることを注記している。
図2 磐田市「令和7年度 当初予算」「令和8年度 当初予算」説明資料、「磐田市の人口 令和8年度」年齢別人口表から作成(2026年8月29日確認)。割り戻しは筆者の計算。

評価——良い点を2つ、注文したい点を3つ

まず、良い点を2つ数えます。ひとつ目。終わったことを、制度そのもののページに書いたことです。過去の区分を黙って消して、新しい対象だけを並べる書き方もできました。そうせずに「令和7年度をもちまして終了させていただきました」と残したことで、去年までもらった方が「なぜ今年は来ないのか」を自分で確かめられます。制度を減らすときにいちばん省かれやすいのが、この一行です。

ふたつ目。減らす前に、決算の資料へ課題として書いていたことです。令和6年度の市政報告書に「事業の見直しを検討していく」と明記されていました。年度の途中でいきなり決まった話ではなく、公表された文書の上に見直しの意思が置かれていた。行政の説明としては、順番が正しい。

そのうえで、一事業者として注文を3つ書きます。ひとつ目。2,577人分の話が、注記の一行で済んでいることです。私が調べた範囲では、令和7年9月号から令和8年5月号までの広報いわたに、長寿祝金や喜寿の終了に触れた記事は見当たりませんでした。市のページを自分で開く人しか、この一行にはたどり着きません。去年もらった2,577人には、今年もらえないことが分かる形で届いてほしい。広報の1コマ、あるいは自治会の回覧の一行でいい。

ふたつ目。「自分は対象か」が、ページだけでは確かめられないことです。基準日が何月何日なのか、住民登録がいつからあれば対象なのか、市外の施設に入っている方はどう扱われるのか、申請が要るのか要らないのか、いつ・どう届くのか。2026年8月29日に私が確認した範囲では、これらの記載が見当たりませんでした。88歳になる年の家族は、結局は電話で聞くことになります。ページに5行足せば、その電話は減ります。

みっつ目。浮いた1,424万円が、どこへ行ったのかが示されていないことです。私は、この見直しそのものに反対しません。ただ、減らした分を高齢者の暮らしのどこに回したのか、その1行が要ります。「一律に配るのをやめて、必要なところへ回した」と書いてあれば、受け取れなくなった方にも筋が通ります。何も書かれていなければ、単に削られたようにしか見えません。数字を減らす説明と、使い道を示す説明は、別の仕事です。

対案・結論——親が77歳・88歳を迎える家で、今日できる確認

制度としては、見直しの筋は通っています。ただ、実際に相談を受ける側に立つと、最初に出てくるのは「うちは対象なのか」「いくらなのか」「誰がいつ手続きするのか」です。そこに答える形で、3つ書きます。

第一に、親の生まれ年から「その年度内に何歳になるか」を数えてください。磐田市の書き方は「その年度内に88歳、100歳、108歳になられる方」です。誕生日ではなく年度で区切られています。3月生まれと4月生まれで、対象になる年度が1年ずれます。ここは家族で一度、紙に書いて確かめておく価値があります。

第二に、88歳が近い家は、高齢者支援課 給付グループ(iプラザ3階、電話0538-37-4869)に、基準日と手続きの要否だけ聞いておいてください。ページに書かれていない以上、これは電話でしか埋まりません。5分で終わる確認です。あとから「申請が要ったらしい」と知るほうが、よほど面倒になります。

第三に、祝金がなくなっても残っている制度のほうを見てください。磐田市には、高齢者向けの補聴器の助成のように、金額が大きく、暮らしの困りごとに直接効く制度があります。5,000円の祝金より、そちらのほうが家計への効きは大きい。制度は、知っている人だけが得をします。私はそれがいちばんよくないと思っています。

最後に一言。体験ストックに該当する記録がないので、ここからは私の意見として書きます。私は、喜寿の5,000円をやめたこと自体を、間違いだとは思いません。市民1人あたり年87円の話です。この額で高齢者の暮らしが変わるとは、正直、思えない。それでも、2,577人に一度ずつ5,000円が渡っていたことが、本当に無駄だったのかどうかは、私にはまだ判断がついていません。祝金は、生活費ではなく「この街があなたの77年を数えていました」という合図です。合図をやめるなら、代わりに何で数えるのかを見せてほしい。私が引っかかっているのは、5,000円が消えたことではなく、消えたことの説明が一行しかないことのほうです。

よくある質問

Q. 今年77歳になる親に、磐田市から長寿祝金は届きますか。

届きません。磐田市は高齢者福祉事業のページに「※77歳(喜寿)の方への祝金の支給は令和7年度をもちまして終了させていただきました。」と記載しています。令和8年度の長寿祝金は「その年度内に88歳、100歳、108歳になられる方」が対象です。77歳の区分は令和7年度が最後でした。

Q. 磐田市の長寿祝金は、いくらもらえますか。

令和6年度の市政報告書では、喜寿(77歳)5,000円、米寿(88歳)5,000円、百寿(100歳)30,000円、茶寿(108歳)50,000円と記載されています。ただしこれは令和6年度の実績としての表記で、令和8年度の金額を明示した公式文書は、2026年8月29日に私が確認した範囲では見当たりませんでした。額は高齢者支援課で確認してください。

Q. 長寿祝金の申請は必要ですか。いつ届きますか。

2026年8月29日時点で、磐田市の公式ページに申請の要否・基準日・支給方法・支給時期の記載は見当たりません。「その年度内に88歳、100歳、108歳になられる方」という対象の書き方だけが示されています。確実なところは、健康福祉部 高齢者支援課 給付グループ(iプラザ3階、電話0538-37-4869)に直接お問い合わせください。

著者・大石浩之の顔写真

大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

磐田市で小さな不動産業を営み、実家じまい・空き家・相続・介護にからむご相談を一件ずつ受けています。 理念より、家計と段取りで考えます。 プロフィール

出典(2026年8月確認)

  • 磐田市「高齢者福祉事業」(ページ番号1001978、更新日2026年4月1日、2026年8月29日確認。長寿祝金の対象=「その年度内に88歳、100歳、108歳になられる方に祝金を贈り、長寿をお祝いします。」注記=「※77歳(喜寿)の方への祝金の支給は令和7年度をもちまして終了させていただきました。」老人の日および老人週間に各地域で敬老会などが開催される旨の記載あり。担当=健康福祉部 高齢者支援課 給付グループ〈iプラザ3階、電話0538-37-4869〉。基準日・住民登録の要件・施設入所者の扱い・支給方法・支給時期・申請の要否・令和8年度の金額の記載は見当たらない) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kenkou_fukushi/koureisha_fukushi/shien/1001978.html
  • 磐田市「令和6年度 市政報告書」(2026年8月29日確認。長寿祝金支給事業の令和6年度実績=喜寿〈77歳〉5,000円・2,577人、米寿〈88歳〉5,000円・891人、百寿〈100歳〉30,000円・74人、茶寿〈108歳〉50,000円・1人。課題欄に「長寿祝金支給事業について、平均寿命の延伸や少子化による労働人口の減少など社会状況が変化する中、事業の見直しを検討していく。」と記載) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shiseijouhou/gyouzaisei/kessan/1015754.html
  • 磐田市「令和7年度 当初予算」説明資料(2026年8月29日確認。長寿祝金事業の当初予算22,110千円、対象は77歳・88歳・100歳・108歳) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shiseijouhou/gyouzaisei/yosan/1014066.html
  • 磐田市「令和8年度 当初予算」説明資料(2026年8月29日確認。長寿祝金事業の当初予算7,870千円、対象は88歳・100歳・108歳) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shiseijouhou/gyouzaisei/yosan/1015750.html
  • 磐田市「磐田市の人口 令和8年度」および同ページ掲載の年齢別人口表(令和8年7月末現在、ページ番号1005583、2026年8月29日確認。総人口163,224人、65歳以上49,092人〈高齢化率30.1%〉、77歳2,698人、88歳879人、100歳以上158人。65歳以上の合算と高齢化率は年齢別人口表からの筆者の集計) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shiseijouhou/profile/toukei/1005583.html
  • 本連載の既報:磐田市の高齢者補聴器助成(記事0038)、親の介護について、家族はいつから話し合うべきですか?(記事0128)、磐田で安心して年を重ねるために(記事0137)、8月に届く、もう一通の保険料通知(記事0209)、磐田市の空き家バンクと補助金は別物(記事0279)

※本文の「72.7%」「65.7%」「約1,288万円」「約1,961万円」「1,424万円」「64.4%」「市民1人あたり年87円」「65歳以上1人あたり290円」「890万円の家1.6軒分」「2.7倍」は、公表値をもとにした筆者の計算です。金額(5,000円・30,000円・50,000円)は令和6年度の実績としての表記であり、令和8年度の金額を明示した公式文書は、2026年8月29日に私が到達できたページには見当たりませんでした。「公表されていない」ではなく「到達できたページには記載がなかった」という意味です。年齢別人口は令和8年7月末の満年齢によるもので、制度が用いる「その年度内に○歳になる方」とは母集団が一致しません。広報いわたの令和7年9月号から令和8年5月号を検索した範囲では、長寿祝金・喜寿の終了に触れた記事は見当たりませんでしたが、紙面すべてを読み通したものではありません。喜寿の終了理由を明示した公式文書は確認できていません。制度の内容・金額・対象は変更される場合があります。対象の可否と手続きは、磐田市健康福祉部 高齢者支援課 給付グループ(電話0538-37-4869)でご確認ください。