導入——財布の中のカードの、裏面をひっくり返してください

いま、財布かカードケースの中にあるマイナンバーカードを、一度出してみてください。

表面の右下に「電子証明書の有効期限」という欄があります。そこに手書きで年月日が入っているはずです。カード自体の有効期限は、その少し上に印字されています。

見ましたか。「2026年」と書いてありませんか。

磐田市でマイナンバーカードの交付が始まったのは2016年です。あのとき最初に受け取った人たちのカードが、今年度、10回目の誕生日を迎えます。

そして、2020年から2021年にかけてマイナポイントで一気に取得した人たちの電子証明書は、5年目の誕生日を迎えます。

つまり、「10年で切れるもの」と「5年で切れるもの」が、2026年度に重なる。これが全国で同時に起きます。

そのうえで、磐田にはもう一つ事情があります。

11月2日から、市役所の窓口が1時間15分短くなります。

窓口の時間変更そのものは、8月4日に書きました。今日書くのは、その日に向かって、別の波が来ているという話です。

まず、事実を整理する——何が、いつ切れるのか

マイナンバーカードには、期限が2種類あります。ここを混同している人が、私の周りにもとても多い。

市のページの書き方を、そのまま並べます。

カード本体の有効期限は、18歳以上の方は発行日後10回目の誕生日、18歳未満の方は発行日後5回目の誕生日。電子証明書の有効期限は、年齢にかかわらず発行日後5回目の誕生日。

つまり、18歳以上でカードと電子証明書を同時に作った人は、作って5年目にまず電子証明書が切れ、10年目にカードそのものが切れます。1枚のカードに、期限が2回来る。

そして、切れたときに起きることが違います。

カード本体が切れると、身分証明書として使えなくなります。電子証明書が切れると、e-Tax等の電子申請やコンビニ交付等での使用ができなくなります。

ここ、あとでもう一度出てきます。電子証明書が切れると、コンビニで証明書が取れなくなる。覚えておいてください。

更新できるのは有効期限の3か月前の翌日から。期限の2〜3か月前をめどに、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)から「マイナンバーカード・電子証明書有効期限通知書」が届きます。手数料は無料です。

そして、全国の見込み件数がこれです。

令和8年度(2026年度)に、マイナンバーカードは約590万件、電子証明書は約1,430万件の更新が必要になると見込まれています。政府広報オンラインが今年6月15日に出した記事に、総務省の会議資料を出典として書かれています。

合わせて約2,020万件。日本の人口のおよそ6人に1人が、1年のうちに窓口へ行く計算になります。

マイナンバーカードの有効期限のしくみと、2026年度の全国の更新見込み件数を示した図。1枚のカードには期限が2回来る。発行日から5回目の誕生日で電子証明書が切れ、18歳以上の場合は発行日から10回目の誕生日でカード本体が切れる。18歳未満はカード本体も5回目の誕生日。電子証明書が切れると、e-Tax等の電子申請やコンビニ交付が使えなくなり、マイナ保険証は期限切れから3か月まで使える。カード本体が切れると、身分証明書として使えなくなり、売買や相続の本人確認はその場で止まる。令和8年度(2026年度)の全国の更新見込み件数は、カード本体が約590万件、電子証明書が約1,430万件、合わせて約2,020万件。磐田市の人口比でおよそ0.13パーセントを掛けると市内はおよそ2万7,000件になるが、これは筆者の粗い試算である。磐田市と政府広報オンラインの公表資料から作成し、2026年8月18日に確認したもの。
図1 マイナンバーカードの期限のしくみと、2026年度の全国の更新見込み(磐田市「マイナンバーカード・電子証明書の更新」と政府広報オンライン2026年6月15日から作成)

磐田では、どれくらいの数になるのか

市は市内の更新見込み件数を公表していません。そこで、乱暴を承知でざっくり割ってみます。

総務省の集計によれば、磐田市のマイナンバーカード保有枚数は136,159枚。人口166,684人に対する保有率は81.7%です(令和7年5月末時点、人口は令和6年1月1日時点)。

磐田市の人口は全国のおよそ0.13%です。全国の見込み件数を単純に人口比で按分すると、カード本体がおよそ7,900件、電子証明書がおよそ1万9,100件。合わせて、およそ2万7,000件。

これは私の粗い試算で、市が出した数字ではありません。実際にはカードを取った時期の偏りで大きくぶれます。それでも、桁の感覚はつかめます。

市役所の年間の開庁日はおよそ240日ですから、ならせば1日あたり110件を超える。市民課の窓口が、この1年、毎日そのくらいの更新を受け続けるということです。

もちろん、カード本体の更新はパソコンやスマートフォンからオンラインで申請できます。けれど、できあがったカードは市役所へ受け取りに行きます。そして電子証明書の更新は、原則として本人が窓口に来なければ終わりません。

電子証明書は、オンラインで完結しないのです。これが、この記事でいちばん重い事実です。

そこへ、11月2日が重なる

11月2日(月曜)から、磐田市役所の窓口受付時間は「午前9時〜午後4時30分」になります。いまは午前8時30分から午後5時15分ですから、朝30分、夕方45分、合わせて1時間15分短くなる。

1日8時間45分が7時間30分へ。率にすると14%の減です。

そして同じ11月2日から、マイナンバーカードを使ったコンビニ交付の手数料が一律100円下がります。住民票の写し・住民票記載事項証明書・印鑑登録証明書・戸籍の附票・所得証明書・課税証明書が300円から200円へ、戸籍謄抄本が450円から350円へ。市は「窓口受付時間変更にあわせて来庁者への影響緩和を目指し実施するもの」と書いています。

ここで、さっき覚えておいてくださいと書いた話が効いてきます。

電子証明書が切れていると、コンビニ交付は使えません。

つまり、100円安くなった窓口の代わりを使うためには、先に、その1時間15分短くなった窓口へ行かなければならない。順番が、逆にはなりません。

マイナンバーカードの更新は、コンビニではできない。市がいちばん薦めている代替手段が、いちばん効かない手続きが、いちばん増える年度なのです。

2026年11月2日から磐田市役所の窓口受付時間が短くなることと、コンビニ交付手数料が下がることを並べた図。現在の窓口受付時間は午前8時30分から午後5時15分までの8時間45分。11月2日(月曜)からは午前9時から午後4時30分までの7時間30分になり、朝30分、夕方45分、合わせて1時間15分、率にして14パーセント短くなる。職員の勤務時間と電話の受付時間は午前8時30分から午後5時15分のまま変わらない。同じ11月2日からコンビニ交付手数料が一律100円下がり、住民票の写しと住民票記載事項証明書、印鑑登録証明書、戸籍の附票、所得証明書と課税証明書が300円から200円に、戸籍謄抄本が450円から350円になる。ただしマイナンバーカードの更新はコンビニではできず、電子証明書の有効期限が切れているとコンビニ交付そのものが使えない。電子証明書の更新は原則として本人の来庁が必要である。毎週木曜は午後7時まで延長、毎月第2日曜は午前9時から正午まで休日開庁する(いずれも市民課、市民税課のみ)。磐田市の公表資料から作成し、2026年8月18日に確認したもの。
図2 11月2日から変わる二つのこと(磐田市「市役所窓口の受付時間変更」2026年7月28日更新、「証明書コンビニ交付サービス」2026年8月5日更新から作成)

評価——良い点と、注文したい点

批判だけを書くつもりはありません。先に、市の備えとして評価できる点を三つ挙げます。

一つめ。木曜夜と第2日曜の窓口が、市民課に残ること。

11月2日以降も、毎週木曜日は午後7時まで窓口を延長し、毎月第2日曜日は午前9時から正午まで休日開庁を実施します(いずれも市民課、市民税課のみ)。マイナンバーカードの交付・更新は市民課の仕事ですから、働いている人が更新にたどり着ける枠は、制度として残っています。ここが介護や福祉の相談窓口と決定的に違うところで、素直に評価します。

二つめ。受け取りの事前予約サービスがあること。

市は「マイナンバーカード受け取り予約」の外部システムを用意し、窓口業務案内のページからリンクしています。並ばせない仕組みを、押し寄せる前から持っている。

三つめ。支所でも電子証明書の更新が受けられること。

福田・竜洋・豊岡の各支所の市民生活課で、電子証明書の更新のみ受け付けています。本庁舎まで来られない人の逃げ道が、一応ある。

そのうえで、注文を三つ書きます。

1つ。市内の更新見込み件数を、市が公表していないこと。

全国で590万件と1,430万件という数字は、国が出しています。磐田で何件になるのかは、市が持っているはずのデータです。交付年度別の枚数は市のシステムにあります。

「今年度、市内でおよそ何件の更新が見込まれます。混み合う時期は◯月ごろです」。これが一行あるだけで、市民は前倒しで動けます。私が人口比で割った数字を書かなくて済みます。

2つ。「電子証明書が切れるとコンビニ交付が使えない」という因果が、並べて書かれていないこと。

市の「マイナンバーカード・電子証明書の更新」のページには、きちんと「コンビニ交付等での使用ができなくなります」と書いてあります。書いてある。

けれど、11月2日から100円下がると発表しているコンビニ交付のページと、更新のページが、つながっていません。100円安くなると聞いて喜んだ人が、レジで「利用できません」と表示されて初めて期限切れを知る。その順番だけは避けたい。

3つ。第2日曜の窓口も、30分短くなること。

いまマイナンバーの更新ページに載っている第2日曜の受付は午前8時30分から正午までです。11月2日以降は午前9時から正午までになります。3時間30分が3時間へ。平日に来られない人のための枠が、いちばん混む年度に14%縮む。

これは大きな話ではありません。けれど、更新ラッシュの年に、休日枠を縮めるという判断は、説明があってもいいと思います。

対案・結論——1年しかない波に、1年だけの手当てを

提案を四つ書きます。どれも新しい制度をつくれという話ではありません。

第一に、木曜夜と第2日曜に、「更新専用」の枠をつくること。

すでに開いている時間を、割り振り直すだけです。木曜の午後5時から7時までのうち1時間を更新の予約枠にする。第2日曜の3時間を更新優先にする。1年で終わる波なのですから、1年だけの割り振りでいい。

第二に、「あなたのカードは、いつ切れるか」の見方を、紙で配ること。

広報いわたの表紙裏でも、自治会の回覧でもいい。カードのどこに何が印字されているか、実物大の絵で1枚。「電子証明書の期限は手書きの欄」「カード本体の期限はその上」。それだけで、通知書が届く前に気づく人が増えます。

通知書はJ-LISから届きますが、期限の2〜3か月前です。気づくのが早ければ早いほど、混雑の山はなだらかになります。

第三に、施設や地域包括支援センターへの出張受付を検討すること。

電子証明書の更新は、原則として本人の来庁が必要です。けれど、特別養護老人ホームに入っている親を、市役所まで連れて行けますか。代理でもできますが、有効期限通知書がないと2回以上の来庁が必要になります。

介護施設や病院に、市の職員が出向いて受け付ける。そういうやり方は、制度のうえでは禁じられていません。磐田でも、まず年に数回から始められないでしょうか。

第四に、混雑の実績を、月ごとに出すこと。

磐田市には「リアルタイム窓口混雑情報」という仕組みがすでにあります。いま何人待っているかが分かる。これを、月ごとの平均待ち時間として振り返って出してほしい。

11月2日の時間変更のときにも同じ注文をしました。やった以上は、結果を示す。更新ラッシュを乗り切れたのかどうかは、待ち時間という数字で出るはずです。

最後に一言。

私は不動産の仕事で、本人確認書類としてのマイナンバーカードを、毎月のように見ています。

売買の決済、相続の手続き、賃貸の契約。そのたびに「有効期限内のもの」を確認します。

いちばん困るのは、決済の当日に気づくことです。司法書士が「これ、先月で切れていますね」と言う。運転免許証を返納した高齢の売主に、代わりの顔写真付き証明書がない。その日は、動きません。

実家じまいの相談でも同じです。施設に入っているお母さんのカードが、いつの間にか切れていた。家を売るために本人確認が要るのに、本人は窓口に行けない。

そういうとき、私はいつもこう思います。半年前に気づいていれば、なんでもない手続きだった。

マイナンバーカードの更新は、無料です。難しくもありません。ただ、期限が来ていることに気づかないと、始まらない。

そして磐田では、その気づきが遅れた人ほど、11月2日以降の、1時間15分短くなった窓口に並ぶことになります。

今日は8月18日です。11月2日まで、あと2か月半。

財布からカードを出して、右下を見る。10秒で終わります。

出典(2026年8月確認)

  • 磐田市「マイナンバーカード・電子証明書の更新」(ページ更新日2025年10月7日。カード本体の有効期限=18歳以上は発行日後10回目の誕生日、18歳未満は発行日後5回目の誕生日。電子証明書の有効期限=発行日後5回目の誕生日。「マイナンバーカード・電子証明書の更新は有効期限の3か月前の翌日から手続きができます」。「マイナンバーカード本体の有効期限が切れると、身分証明書として使用できなくなります。また、カードに搭載されている電子証明書の有効期限が切れた場合は、e-Tax等の電子申請やコンビニ交付等での使用ができなくなります」。電子証明書の更新は「原則、本人が来庁して手続きを行います」「有効期限通知書をお持ちでない方が代理で更新のお手続きをする場合は、2回以上の来庁が必要です」。受付日時=平日午前8時30分〜午後5時15分、毎週木曜延長は午後7時まで〈本庁舎のみ〉、毎月第二日曜は午前8時30分〜正午〈本庁舎のみ〉。場所=市民課マイナンバー交付窓口〈本庁舎1階〉、福田・竜洋・豊岡支所市民生活課〈電子証明書更新のみ受付可能〉。問い合わせ=総務部市民課 電話0538-37-4816) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kurashi_tetsuzuki/mynumber/mynumber/1013007.html
  • 磐田市「市役所窓口の受付時間変更」(ページ更新日2026年7月28日。令和8年11月2日〈月曜〉から窓口受付時間を「午前9時〜午後4時30分」に変更。職員の勤務時間や電話の受付時間〈午前8時30分〜午後5時15分〉は変更なし。毎週木曜日は午後7時まで窓口を延長、毎月第2日曜日は午前9時から正午まで休日開庁を実施〈いずれも市民課、市民税課のみ〉。対象施設=本庁舎〈防災センター含む〉、西庁舎、各支所、iプラザ。対象業務=申請・受付・問合せや相談等、窓口で対応する全ての業務。「令和8年11月2日〈月曜〉から、マイナンバーカードを利用してコンビニ等で発行する各種証明書の発行手数料を一律100円減額します」「この減額は、窓口受付時間変更にあわせて来庁者への影響緩和を目指し実施するものです」。問い合わせ=総務部総務課総務グループ 電話0538-37-4803) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shiseijouhou/soshikiannai/1016465.html
  • 磐田市「証明書コンビニ交付サービス」(ページ更新日2026年8月5日。「令和8年11月2日〈月曜〉からコンビニ交付手数料を100円減額します」。住民票の写し・住民票記載事項証明書・印鑑登録証明書・戸籍の附票・所得証明書・課税証明書が300円→200円、戸籍謄抄本が450円→350円。利用できるのはマイナンバーカード所有者本人のみ。暗証番号を3回連続で誤入力するとカードがロック状態になる。カード交付後の利用は翌日以降) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kurashi_tetsuzuki/mynumber/1006310.html
  • 磐田市「窓口業務案内」(ページ更新日2026年7月16日。通常の受付時間=月曜〜金曜 午前8時30分〜午後5時15分。時間外窓口=本庁舎1階市民課で毎週木曜 午後5時15分〜午後7時、第二日曜 午前8時30分〜正午。取扱内容に住所異動、印鑑登録、住民票の写しや戸籍謄本などの各種証明書の発行、マイナンバーカードの交付を明記。「時間外のマイナンバー窓口は混雑しておりますので、状況によっては受付終了時間を繰り上げる場合があります」。マイナンバーカード受け取り予約〈外部リンク〉を案内。問い合わせ=総務部市民課 電話0538-37-4816) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kurashi_tetsuzuki/koseki_juuminhyou_inkan/1001300.html
  • 政府広報オンライン「マイナンバーカードと電子証明書の有効期限をご確認ください。通知が届いたらお早めに更新を!」(2026年6月15日。「令和8年度〈2026年度〉にマイナンバーカードは約590万件、電子証明書は約1,430万件の更新が必要になると見込まれています」〈出典=総務省の全国市町村担当課長・市町村担当者説明会議資料から政府広報室作成〉。有効期限が3か月未満になると更新が可能、期限の2か月前から3か月前をめどにJ-LISから「マイナンバーカード・電子証明書有効期限通知書」が届く。更新手数料は無料。電子証明書の有効期限が切れた場合でも期限切れから3か月間はマイナ保険証としての利用は可能。カード更新に便乗した詐欺への注意も記載。企画・制作=デジタル庁、総務省/内閣府政府広報室) https://www.gov-online.go.jp/article/202506/entry-7923.html
  • 総務省「マイナンバーカードの保有状況について(令和7年5月末時点)」(磐田市=人口166,684人〈令和6年1月1日時点〉、保有枚数136,159枚、人口に対する保有枚数率81.7%。全国=人口124,885,175人、保有枚数98,169,701枚、保有枚数率78.5%。保有枚数は国外利用分を含む) https://www.soumu.go.jp/main_content/001015316.pdf
  • 磐田市「リアルタイム窓口混雑情報」(本庁舎の窓口の待ち人数等を公開) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kurashi_tetsuzuki/koseki_juuminhyou_inkan/1008405.html

※受付時間・手数料・更新の取り扱いは変更される場合があります。市内の更新見込み件数として本文に示した「およそ2万7,000件」は、全国の見込み件数を磐田市の人口比で単純に按分した筆者の粗い試算であり、磐田市が公表した数値ではありません。実際の件数は交付時期の分布によって大きく異なります。カードの受け取り予約や必要書類は、手続きの内容や来庁される方によって変わります。手続きの前に必ず磐田市市民課(電話0538-37-4816)または市の公式ページで最新の内容をご確認ください。市区町村や国の職員が電話などで暗証番号を聞いたり、更新の手数料を請求したりすることは一切ありません。不審な連絡にはご注意ください。