導入——「8月にきちんと書きます」と書いた、その8月です
7月31日、7月のできごとを総ざらいした記事で、私はこう書きました。11月2日からの市役所窓口の時間変更については「8月にきちんと書きます」と。
その8月になりました。約束を果たします。
スマホ教室の記事でも触れたとおり、この変更は磐田市政のなかでも、多くの市民の生活に直接ぶつかる話です。腰を据えて書きます。
何が、どう変わるのか
市の発表はこうです。令和8年11月2日(月曜)から、窓口受付時間を「午前9時〜午後4時30分」に変更します。
いまの受付時間は、職員の勤務時間と同じ午前8時30分から午後5時15分まで。市は変更の理由の説明のなかで「勤務時間と窓口受付時間が同じであることにより」と書いていますから、現行はここまでということになります。つまり朝が30分、夕方が45分、合わせて1時間15分、窓口の開いている時間が縮むことになります。
対象施設は本庁舎(防災センターを含む)、西庁舎、各支所、iプラザ。対象業務は申請・受付・問合せや相談等、窓口で対応する全ての業務です。一部の課だけ、ではありません。
ただし、変わらないものもきちんと書かれています。
職員の勤務時間と電話の受付時間(午前8時30分から午後5時15分)は、変更ありません。
午後4時30分までに受け付けた手続きや相談は、受付時間後であっても対応します。
毎週木曜日の午後7時までの窓口延長、毎月第2日曜日の午前9時から正午までの休日開庁は、引き続き実施します(いずれも市民課、市民税課のみ)。
そして、支所やiプラザの中に入っている事業所も、同じく午前9時〜午後4時30分になります。地域包括支援センター(福田・竜洋・豊田・豊岡の各支所内)、シルバー人材センター(福田・豊岡)、商工会(竜洋)、中部地域包括支援センター、障がい者相談支援センター、くらしと仕事相談センター(以上iプラザ内)、城山・向陽地域包括支援センター(見付2510-4)、南部地域包括支援センターと南部障がい者相談支援センター(急患センター・上大之郷51)。ここは後で、いちばん強く申し上げたいところです。
なおiプラザの会議室は、従来どおり午前8時30分から午後10時まで利用できます。
市は、理由を正直に書いた
ここが、私がこの発表でいちばん評価したい部分です。
市は変更の目的を二つ挙げています。一つめは「業務効率・市民サービス向上のための時間の確保」。窓口を閉めて生まれた時間を、職員間の情報共有、業務改善やデジタル化の推進に使う、と。
そして二つめが、これです。
「職員の働き方改革の推進」。勤務時間と窓口受付時間が同じであることにより、開庁前の準備や受付書類の事務処理などを業務時間外に行っている状況を改善し、働き方改革を推進するとともに時間外勤務の削減を目指します。
読んで、私は少し驚きました。「職員が時間外に働いている。それを減らしたい」と、市が自分の言葉で書いているからです。
この種の発表は、たいてい「市民サービスの向上のため」だけで押し通されます。実際には職員の負担が理由でも、それは書かない。けれど磐田市は書いた。朝8時30分に窓口を開ければ、その前の準備は勤務時間外になる。夕方5時15分ぎりぎりに受け付けた書類の処理は、5時15分より後になる。当たり前のことですが、当たり前だから誰も言わなかった。
私は市の職員を無条件に擁護する立場ではありません。「無関心の値段」では、市民が見ていないところで決まっていくことの怖さを書きました。けれど、正直に理由を書いた発表は、批判するにも土台になります。嘘の理由で押し切られると、議論すらできない。
だから私も、正直に返します。評価するところは評価し、心配なところははっきり書きます。
緩和策——コンビニ交付、一律100円引き
市は、窓口を短くするだけではなく、緩和策を同時に出しました。
令和8年11月2日から、マイナンバーカードを利用してコンビニ等で発行する各種証明書の発行手数料を、一律100円減額します。市の説明では、これは「窓口受付時間変更にあわせて来庁者への影響緩和を目指し実施するもの」とされています。
コンビニ交付は土曜・日曜・祝日を含む毎日、早朝から深夜まで使えます。住民票の写しや印鑑登録証明書を取るためだけに、仕事を抜けて市役所へ走る——その必要は、たしかに減ります。
この「痛みと一緒に、緩和策を出す」姿勢は、行政としてまっとうです。短くします、以上。では市民は納得しません。
注文——三つ、申し上げます
そのうえで、心配なところを書きます。
1つ。地域包括支援センターまで、午後4時30分で閉まること。
これがいちばん重い。地域包括支援センターは、高齢者の介護や暮らしの相談を受ける窓口です。福田・竜洋・豊田・豊岡の各支所内、iプラザの中部、見付の城山・向陽、上大之郷の南部。そのすべてが16時30分で受付を終える。
介護の困りごとは、夕方に起きます。仕事を終えて実家に寄ったら親の様子がおかしかった。デイサービスから帰ってきた後に転んだ。「今日、相談したい」が生まれる時間帯こそ、夕方です。そして相談する側の家族もまた、働いている。
証明書ならコンビニで取れます。けれど、介護の相談はコンビニでは取れません。100円の減額は、ここには何一つ効きません。
2つ。「趣旨をご理解いただき、受付時間内の来庁にご協力を」で終わっていること。
市のよくある質問には、「仕事や学校の都合で受付時間内に来庁できない場合はどうすればよいですか」という問いが立てられています。答えはこうです。「取組の趣旨をご理解いただき、受付時間内の来庁にご協力をお願いします。どうしても難しい場合は、担当課にご連絡いただき、対応が可能かご確認くださいますようお願いします」。
質問を立てたこと自体は誠実です。逃げていない。けれど答えが、市民の側の努力に寄りかかっています。「ご理解を」「ご協力を」「ご確認を」。
電話の受付は5時15分まで残るのですから、せめて「午後4時30分以降も電話でのご相談は5時15分まで受け付けます」と、そちらを主語にして書けないでしょうか。同じ事実でも、市民に頭を下げさせる書き方と、市が受け止めると宣言する書き方は、違います。
3つ。1年後の検証を、約束してほしい。
目的が「時間外勤務の削減」なら、削減できたかどうかは数字で出るはずです。時間外勤務の総時間、窓口の来庁者数、コンビニ交付の利用件数、電子申請の件数。そして、「時間内に来られなかった」という相談が何件あったか。
漏水調査の記事でも公売の記事でも同じ注文をしましたが、やった以上は、結果を示す。効果が出ていれば市民は納得します。出ていなければ、戻すという判断もできる。検証のない変更は、ただの既成事実になります。
対案・結論——短くするなら、別の入口を開けてほしい
提案を三つ書きます。
第一に、木曜日の窓口延長を、市民課・市民税課以外にも広げること。とくに介護と福祉の相談窓口です。全部の課は無理でも、月に一度でもいい。働きながら親を介護している人が、確実にたどり着ける時間帯を、どこかに残してほしい。
第二に、地域包括支援センターについては、電話相談を17時15分まで受けると明記すること。窓口を閉めても電話は生きているのなら、それを制度として書く。書かれていない配慮は、無いのと同じです。
第三に、電子申請の「教える場所」を、同時に増やすこと。市は電子申請の拡充を掲げています。けれどデジタル化で取り残される人について書いたとおり、手続きがオンラインになるほど、たどり着けない人が生まれます。スマホ教室のような取り組みを、11月に向けて増やす。窓口を1時間15分閉めるなら、その裏で、別の入口を1時間15分ぶん開ける。私はそういう引き算と足し算を見たい。
最後に一言。
窓口が短くなることに、私は反対しません。職員が時間外に働き続ける前提の行政サービスは、いずれ人が集まらなくなって崩れます。土木職の採用試験に申し込んだのが5人だったことを書いたときにも感じたことですが、人が確保できなければ、どんな仕組みも動きません。
それでも、こう書いておきます。行政の窓口は、いちばん立場の弱い人にとっての最後の入口です。ネットが使えない人、日中に動けない人、突然の困りごとを抱えた人。その人たちが、1時間15分ぶん遠くなる。
だから市には、削った時間で得たものを、必ず市民に返してほしい。職員の余裕は、めぐりめぐって市民の相談の質になります。そこまで行って初めて、この変更は「市民サービス向上」と呼べます。
11月2日まで、あと3か月。それまでに、この記事に書いた注文のどれか一つでも形になれば、私は喜んでその日を記事にします。
出典(2026年8月4日確認)
- 磐田市「市役所窓口の受付時間変更」(2026年7月28日更新。令和8年11月2日〈月曜〉から窓口受付時間を「午前9時〜午後4時30分」に変更/職員の勤務時間や電話の受付時間〈午前8時30分〜午後5時15分〉は変更なし/午後4時30分までに受け付けた手続きや相談は受付時間後であっても対応/毎週木曜日は午後7時まで窓口延長、毎月第2日曜日は午前9時〜正午に休日開庁〈いずれも市民課、市民税課のみ〉/対象施設=本庁舎〈防災センター含む〉、西庁舎、各支所、iプラザ/対象業務=申請・受付・問合せや相談等、窓口で対応する全ての業務/変更の目的=業務効率・市民サービス向上のための時間の確保、職員の働き方改革の推進〈開庁前の準備や受付書類の事務処理などを業務時間外に行っている状況を改善し、時間外勤務の削減を目指す〉/令和8年11月2日からマイナンバーカードを利用したコンビニ等での各種証明書の発行手数料を一律100円減額/支所・iプラザ内の地域包括支援センター、シルバー人材センター、商工会、障がい者相談支援センター、くらしと仕事相談センター等も午前9時〜午後4時30分に変更/iプラザの会議室は従来どおり午前8時30分〜午後10時。情報発信元=総務部総務課 電話0538-37-4803) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shiseijouhou/soshikiannai/1016465.html
※受付時間・対象施設・手数料の取り扱いは変更される場合があります。手続きの前に、必ず磐田市の最新の案内および担当課へご確認ください。