Q. 磐田の介護保険料って、浜松や袋井と比べて高いんですか。

磐田市の基準額は年67,200円(月5,600円)、13段階の第5段階です。浜松市は年70,802円、袋井市は年68,400円、掛川市は年67,200円。磐田は浜松より年3,602円低く、掛川と同額です。厚生労働省が示した全国加重平均の月6,225円も下回ります。

導入——通知書の「月5,600円」は、高いのか安いのか

磐田市の介護保険料の基準額は、年額67,200円(月額5,600円)です。磐田市の「介護保険料」のページ(ページ番号1001925、更新日2026年7月9日、2026年8月30日確認)に、「磐田市の基準額は、年額67,200円(月額5,600円)です。」と書かれています。65歳以上の方(第1号被保険者)は、この基準額をもとに13段階に分かれた額を納めます。

ただ、5,600円という数字だけを見せられても、それが高いのか安いのかは分かりません。私は不動産の仕事をしているので、金額を見るとまず「隣と比べていくらか」を探す癖がついています。土地は坪単価だけ言われても意味がなく、隣の区画と並べて初めて高いか安いかが決まる。保険料も同じです。

磐田から浜松までは、天竜川を1本渡れば車で30分ほど。同じ遠州で、買い物先も通院先も重なっています。その天竜川を渡っただけで、65歳以上が1年に払う保険料は3,602円違います。この記事では磐田・浜松・袋井・掛川の4市の基準額を並べ、その差が磐田市全体で年いくらになるのかまで割り戻します。

8月の終わりになって、磐田も朝晩の風が変わってきました。9月に入れば市内の各地区で敬老会の案内が回り始めます。親の年齢を意識する季節に、保険料の通知書を引き出しから出してみる。この記事はその手元に置くつもりで書いています。

まず、事実を整理する——磐田市の基準額と13段階

磐田市の介護保険料は、所得段階ごとに13段階に分かれています。基準額(年67,200円)に対する割合と年額は、第1段階が0.285倍で19,152円、第2段階が0.485倍で32,592円、第3段階が0.685倍で46,032円、第4段階が0.90倍で60,480円、第5段階が基準額そのもので67,200円。以降は第6段階1.20倍で80,640円、第8段階1.50倍で100,800円、第10段階1.90倍で127,680円と上がり、最高の第13段階は2.40倍の161,280円です。第1段階と第13段階の差は142,128円で、8.4倍の開きがあります。

保険料が変わる周期も、同じページに書かれています。「また保険料は高齢化の進展などを見込み、3年ごとに見直しがされます。」——市の説明はこの一文です。介護保険は市町村が保険者で、その市で見込まれる介護サービスの量から、65歳以上の方が負担する分を割り戻して基準額が決まる仕組みになっています。

納め方も確認しておきます。年金額が年額18万円(月額1万5千円)以上の方は、原則として年金からの天引き(特別徴収)です。磐田市のページには「65歳になられてすぐには天引きができないため、一時的に『普通徴収』となります。」「半年から1年程度経過すると、『特別徴収』に切り替わります。その際、手続きの必要はありません。」とあります。年金が年額18万円未満の方は、納付書または口座振替による普通徴収です。

令和8年度だけの取り扱いもあります。磐田市は「令和8年度の介護保険料については、令和7年度税制改正前の給与所得控除額を用いた所得にて算出します。」と明記しています。税の計算の変更がそのまま保険料の段階を押し上げないよう、算定の土台を据え置いた形です。この一行があるかないかで、通知書を見た家族の不安はだいぶ違います。

4市で並べる——浜松70,802円、袋井68,400円、掛川67,200円

近隣3市の基準額(令和6年度から令和8年度まで)を並べます。浜松市は年70,802円、袋井市は年68,400円(月5,700円)、掛川市は年67,200円です。いずれも各市の公式サイトで2026年8月30日に確認しました。磐田市の年67,200円は、この4市でいちばん低い額に並びます。

差額を書きます。磐田市は浜松市より年3,602円低く、袋井市より年1,200円低く、掛川市とはまったく同額です。月に直すと浜松との差は約300円。缶コーヒー2本分ほどですが、1年で3,602円、10年で36,020円になります。

段階の刻み方には、はっきり違いが出ています。磐田市が13段階なのに対して、袋井市は14段階、掛川市は15段階、浜松市は16段階です。最高段階の倍率も、磐田市が基準額の2.40倍(161,280円)、浜松市が2.80倍(198,245円)。同じ「いちばん上」でも、磐田と浜松では年36,965円の開きがあります。

ここに意外な事実がひとつあります。掛川市は磐田市と基準額が同じ67,200円で、第1段階から第13段階までの金額も磐田市と1円まで一致します。それでも掛川市には第14・第15段階があり、最高額は174,720円。磐田市の最高額より13,440円高い。基準額が同じでも、いちばん所得の高い層がいくら負担するかは、市によって変わるということです。

全国と比べても見ておきます。厚生労働省が令和6年5月14日に公表した資料では、第9期(令和6年度から令和8年度)の全国加重平均の基準額は月額6,225円でした。磐田市の月5,600円は、これを625円下回ります。年額にすると7,500円低く、全国平均の約90%の水準です。

磐田市・掛川市・袋井市・浜松市の介護保険料基準額と全国加重平均を横棒で並べた図。磐田市は年67,200円で月5,600円、13段階、最高段階は161,280円。掛川市は年67,200円で月5,600円、15段階、最高段階は174,720円。袋井市は年68,400円で月5,700円、14段階。浜松市は年70,802円で月約5,900円、16段階、最高段階は198,245円。全国加重平均は月6,225円で年額換算74,700円。磐田市は4市で最も低く、浜松市との差は年3,602円、全国平均との差は年7,500円である。
図1 磐田市・浜松市・袋井市・掛川市の公式サイトと厚生労働省の公表資料から作成(2026年8月30日確認)。年額換算は筆者の計算。

3,602円を、家計に翻訳する——市全体では1億7,683万円

年3,602円という差を、そのままにせず割り戻します。ご夫婦がともに65歳以上で、ともに第5段階(基準額)にあたる世帯なら、浜松市との差は年7,204円です。1人分でも、65歳から85歳まで20年払い続ければ72,040円になります。もっとも、保険料は3年ごとに見直されるので、この額のまま20年続く前提は成り立ちません。

次に、市の規模に掛けます。磐田市の年齢別人口表(令和8年7月末現在、更新日2026年8月17日)から65歳以上を合算すると49,092人。総人口163,224人に対して30.08%です。この人数を市が公表した高齢化率として読まないでください。5歳階級の数字を私が足し上げた計算値です。

49,092人に3,602円を掛けると、176,829,384円。約1億7,683万円になります。磐田市の介護保険料が浜松市と同じ水準だったら、市内の65歳以上の方が1年でこれだけ多く払っていた、という金額です。

この1億7,683万円がどれくらいの重さなのか、別の数字と並べます。磐田市の令和7年度のふるさと納税は受入額7億6,651万4,000円で、募集費用を引いて市が事業に使える分は3億9,939万4,601円でした。1億7,683万円は、その44.3%にあたります。市が全国から寄附を集めて手元に残した額の、半分近く。それが保険料の差として、市内で静かに動いている計算になります。

私の商売の感覚で言うと、これは「毎月の固定費が1軒あたりいくら違うか」の話に近いと考えています。不動産では、家賃が月300円違っても内見の判断はほとんど変わりません。ところが、その物件が50戸あるアパートだと、オーナーの年収は18万円変わる。1人あたりの小さな差は、頭数を掛けた瞬間に別の意味を持ちます。保険料も同じで、月300円の話と1億7,683万円の話は、同じ数字の裏表です。

磐田市と浜松市の介護保険料基準額の差を段階的に割り戻した図。1人あたり年3,602円、月あたり約300円。65歳以上の夫婦2人世帯なら年7,204円。1人が20年払い続けた場合は72,040円。磐田市の65歳以上人口49,092人に掛けると1億7,682万9,384円。これは磐田市が令和7年度のふるさと納税で募集費用を引いた後に事業へ使える3億9,939万4,601円の44.3パーセントにあたる。
図2 磐田市・浜松市の基準額と磐田市の年齢別人口表から筆者が計算(2026年8月30日確認)。ふるさと納税の額は総務省の現況調査による。

評価——良い点を3つ、注文したい点を3つ

まず、良い点を3つ数えます。ひとつ目。13段階すべての「基準額に対する割合」と「年額」を、1ページに表で出していることです。自分がどの段階なのかさえ分かれば、年額がその場で読めます。割合を併記しているので、基準額が変わったときに自分の額がどう動くかも計算できます。段階だけ書いて金額を伏せる書き方をしていないところを、私は評価します。

ふたつ目。納め方の切り替わりまで書いてあることです。65歳になった直後は天引きができないので普通徴収になり、半年から1年で特別徴収に変わる。しかも「その際、手続きの必要はありません」と書いてある。この一行があるだけで、市役所へ確認の電話をする必要がなくなります。問い合わせを減らすのは、窓口の側にとっても得なはずです。

みっつ目。令和8年度の算定に、税制改正前の給与所得控除額を使うと明記したことです。税の計算の変更が、そのまま保険料の段階を押し上げてしまうことがある。それを避ける取り扱いを、注記ではなく本文で書いています。年金と給与の両方がある方には、直接効く一行です。

そのうえで、一事業者として注文を3つ書きます。ひとつ目。「第9期(令和6年度から令和8年度まで)」という期の名前と適用年度を、ページの先頭に書いてほしい。磐田市のページには「3年ごとに見直しがされます」とあるだけで、いま出ている67,200円がいつからいつまでの額なのかが読み取れません(2026年8月30日確認)。浜松市は「令和6年度から令和8年度までの保険料は次のとおりです。」と書いています。この一行の有無で、来年度も同じ額なのかという問い合わせの数が変わります。

ふたつ目。なぜ磐田市の基準額がこの額になったのか、算定の考え方を1段落でいいので載せてほしい。介護保険料は、その市で見込まれる介護サービスの量から決まります。安いのは給付の見込みが少ないからなのか、基金を取り崩したからなのか、どちらもなのか。私が見た限り、保険料のページにその説明はありませんでした。額だけ示されると、安いことを喜んでいいのかどうかが判断できません。

みっつ目。段階を13で止めた理由を示してほしい。近隣では袋井市が14段階、掛川市が15段階、浜松市が16段階まで刻んでいます。磐田市の最高段階は基準額の2.40倍で、浜松市の2.80倍より低い。私は「高い所得の方から多く取れ」と言いたいのではありません。上を刻めば下を下げられる関係があるはずで、その検討をしたのかどうかを、市民が読める形にしてほしいという話です。批判ではなく、判断の材料の要望として書いています。

対案・結論——通知書が届いたら、今日できる確認

結論から書きます。磐田市の介護保険料の基準額は年67,200円で、近隣4市でいちばん低い水準、全国平均の約90%です。そのうえで、ご家族の側で今日できる確認を3つ挙げます。

第一に、通知書に書かれた「段階」の数字を見てください。磐田市は13段階で、第1段階の19,152円から第13段階の161,280円まであります。年額がどこにあたるかは段階で決まるので、金額の妥当性を確かめたいなら、まず段階を確認するのが早い。段階は本人の所得だけでなく、世帯の市民税の課税状況でも変わる区分があります。世帯の構成や課税の状況が前の年から変わっていれば、段階も動きます。

第二に、65歳になったばかりのご家族がいる世帯は、納付書の有無を確かめてください。天引きが始まるまでの半年から1年は普通徴収で、納付書か口座振替になります。年金からの天引きに慣れているご家庭ほど、この期間の納付書が机の上で埋もれます。払い忘れが起きやすいのは、制度が難しいからではなく、いつもと違う形で来るからです。

第三に、払えない見込みが立ったら、額が確定した段階で早めに市の担当課へ相談してください。滞納してから動くのと、納期限の前に動くのとでは、選べる手が違います。この点は税の納付でも同じで、後回しにするほど選択肢が減っていきます。

最後に一言。体験ストックに該当する記録がないので、ここからは私の意見として書きます。正直に言うと、私は磐田の保険料が安いことを、まだ手放しでは喜べていません。介護保険料は、その市で見込まれる介護サービスの量から決まります。ということは、安いという事実は、給付が抑えられているという事実と表裏である可能性があります。使われていないから安いのか、効率よく回っているから安いのか、その判断がつく材料を、私は市のページから読み取れませんでした。

それでも、月5,600円が月5,900円より家計に優しいことは動きません。年金から天引きされる額が年3,602円少ないのは、通知書を受け取る側にとって単純に良いことです。だから私は、安さそのものを疑っているのではありません。一事業者として望むのは、「安い」の理由を市が自分の言葉で1段落書くことです。数字の理由まで見せてくれる市を、私は信用します。理由が書かれていない安さは、いつ跳ね返るか分からない安さでもあるからです。

よくある質問

Q. 磐田市の介護保険料の基準額はいくらですか。

年額67,200円(月額5,600円)です。磐田市「介護保険料」のページ(ページ番号1001925、更新日2026年7月9日)に「磐田市の基準額は、年額67,200円(月額5,600円)です。」と書かれています。65歳以上の第1号被保険者の保険料はこの基準額をもとに13段階に分かれ、第1段階は年19,152円、最高の第13段階は年161,280円です。

Q. 磐田市の介護保険料は浜松市より安いのですか。

年額で3,602円低くなっています。基準額は磐田市が年67,200円、浜松市が年70,802円、袋井市が年68,400円、掛川市が年67,200円です(各市の公式サイト、2026年8月30日確認)。磐田市は掛川市と同額で、浜松市より年3,602円、袋井市より年1,200円低い水準です。厚生労働省が公表した全国加重平均の月6,225円も下回ります。

Q. 介護保険料は、いつどうやって納めるのですか。

年金額が年額18万円(月額1万5千円)以上の方は、原則として年金からの天引き(特別徴収)です。ただし65歳になられてすぐには天引きができないため、一時的に普通徴収となり、納付書または口座振替で納めます。半年から1年程度で特別徴収に切り替わり、その際の手続きは必要ありません(磐田市「介護保険料」より)。

著者・大石浩之の顔写真

大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

磐田市で小さな不動産業を営み、実家じまい・空き家・相続・介護にからむご相談を一件ずつ受けています。 理念より、家計と段取りで考えます。 プロフィール

出典(2026年8月確認)

  • 磐田市「介護保険料」(ページ番号1001925、更新日2026年7月9日、2026年8月30日確認。「磐田市の基準額は、年額67,200円(月額5,600円)です。」「また保険料は高齢化の進展などを見込み、3年ごとに見直しがされます。」/13段階の割合と年額=第1段階0.285倍19,152円、第2段階0.485倍32,592円、第3段階0.685倍46,032円、第4段階0.90倍60,480円、第5段階1.00倍67,200円、第6段階1.20倍80,640円、第8段階1.50倍100,800円、第10段階1.90倍127,680円、第13段階2.40倍161,280円/「令和8年度の介護保険料については、令和7年度税制改正前の給与所得控除額を用いた所得にて算出します。」/納め方=年金額が年額18万円以上は原則特別徴収、65歳直後は一時的に普通徴収、半年から1年で特別徴収へ切り替え、手続き不要) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kenkou_fukushi/kaigohoken/kaigohokenseido/1001925.html
  • 浜松市「介護保険料額について」(更新日2026年7月28日、2026年8月30日確認。「保険料の基準額は、3年ごとに見直されます。令和6年度から令和8年度までの保険料は次のとおりです。」/16段階、第6段階=基準額×1.00で年70,802円、第1・2段階20,178円、第16段階×2.80で198,245円) https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kaigo/care/20230126kimarikata.html
  • 袋井市「介護保険料」(更新日2026年4月1日、2026年8月30日確認。「袋井市の基準額(第5段階)は、年額68,400円(月額5,700円)です。」/14段階) https://www.city.fukuroi.shizuoka.jp/soshiki/hokenn/4/kaigohoken/1422533179585.html
  • 掛川市「介護保険の加入・保険料について」(更新日2026年4月1日、2026年8月30日確認。15段階、第5段階=基準額で年67,200円、第1段階19,152円、第15段階174,720円。「基準額については、変更ありません。」) https://www.city.kakegawa.shizuoka.jp/gyosei/docs/791787.html
  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」(令和6年5月14日公表、2026年8月30日確認。全国加重平均の基準額=月額6,225円) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40211.html
  • 磐田市「磐田市の人口 令和8年度」(令和8年7月末現在の年齢別人口表、更新日2026年8月17日、2026年8月30日確認。総人口163,224人。65歳以上49,092人・高齢化率30.08%は5歳階級の数値からの筆者の合算) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shiseijouhou/profile/toukei/1005583.html
  • 総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」(令和8年7月31日公表、2026年8月30日確認。磐田市の令和7年度受入額766,514,000円、募集費用合計367,119,399円。差引399,394,601円は筆者の計算) https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/archive/
  • 本連載の既報:8月に届く、もう一通の保険料通知(記事0209)、国保税、一人あたり平均9,700円の値上げ(記事0089)、高額療養費の上限はいくら上がった?(記事0266)、磐田市の長寿祝金、喜寿77歳への支給は令和7年度で終了(記事0280)、磐田のふるさと納税7.67億円(記事0282)

※本文の「年3,602円」「年1,200円」「年7,500円」「約90%」「8.4倍」「142,128円」「36,965円」「13,440円」「72,040円」「49,092人」「30.08%」「176,829,384円(約1億7,683万円)」「44.3%」は、各市および国の公表値をもとにした筆者の計算です。磐田市の基準額が近隣より低い理由について、市の説明を私は確認できていません。給付見込みの差なのか、基金の取り崩しなのかは未確認です。磐田市のページには「第9期」「令和6年度から令和8年度まで」という期の表記がなく、適用年度は浜松市・掛川市の記載から補って読んでいます。介護保険料の段階は本人の所得と世帯の市民税課税状況で決まり、年度や世帯構成の変更で動きます。制度・金額・段階の区分は変更される場合があります。個別の段階や減免の可否は、磐田市の担当課、または担当のケアマネジャー・地域包括支援センターにご確認ください。