この記事について。これは磐田の大石ひろゆきが、一曲の音楽を聴いて考えたことを綴る余談です。リリース情報やチャート実績は出典に基づいて確認していますが、「本当にいいのか」という評価の部分は、あくまで筆者個人の感想です。歌詞の引用は行っていません(本文の確認は2026年8月)。
導入——タイトルに、まず引っかかった
普段この余談枠では、磐田の身の回りで気になった出来事を書いています。今回は少し遠くの話ですが、ブルーノ・マーズの新曲「Risk It All」が耳から離れなくなったので、腰を据えて向き合ってみることにしました。
「Risk It All」、直訳すれば「すべてを賭ける」。ラブソングのタイトルとしては、決して珍しい言葉ではありません。それでも、聴いた瞬間に「これは本当にいい曲なのか、それとも仕掛けにやられているだけなのか」と、自分でも意地悪な問いを立てたくなりました。今日はその問いに、私なりの答えを出してみます。
断っておくと、私は音楽の専門家ではありません。仕事の合間や車の運転中に、ラジオやストリーミングで流れてくる曲を聴くくらいの、ごく普通のリスナーです。だからこそ、専門的な分析ではなく、「一人のリスナーとして、素直にどう聴こえたか」を書き残すことに意味があると思っています。
まず事実——「Risk It All」というシングルの中身
「Risk It All」は、ブルーノ・マーズの4作目のソロアルバム『The Romantic』の2曲目のシングルとして、2026年2月27日にリリースされました。アルバム『The Romantic』自体もこの日にアトランティック・レコードから発売され、2016年の『24K Magic』以来、実に9年ぶりとなるソロアルバムです。
作詞・作曲にはブルーノ・マーズ本人のほか、D'Mile、フィリップ・ローレンス、ジェイムス・フォントレロイが名を連ね、プロデュースはマーズとD'Mileが手がけています。曲の長さは3分24秒。ジャンルとしてはボレロ、ラテン・バラードに分類され、トランペットと弦楽器、そしてマリアッチ編成のギターロン・ビウエラを配した音づくりが特徴です。本人のプエルトリコ系のルーツを感じさせる編成だと、複数の海外メディアが伝えています。
チャート面でも数字は出ています。全米ビルボード・Hot100初登場4位、ストリーミング・ソングス・チャートでは1位(本人5曲目の首位)、Global 200でも1位を記録。マレーシア、フィリピン、シンガポールなど複数の国と地域でも首位を獲得し、スペイン語版「Lo Arriesgo Todo」はホット・ラテン・ポップ・ソングスで1位になったと報じられています。オーストラリア・ブラジル・ポルトガルでゴールド、カナダ・ニュージーランドでプラチナ認定も受けています。
アルバム『The Romantic』自体も、ビルボード200で初登場1位を記録し、本人にとって初のアルバム1位デビューになったと報じられています。全9曲、収録時間は約31分30秒というコンパクトな作りで、レトロソウルやR&B、ディスコ、ファンクといった要素を、1970年代を思わせるオーケストラアレンジで包んだ作品だと紹介されています。ゲストの参加はなく、マーズとD'Mileの二人が全曲のプロデュースを手がけているのも特徴です。
聴いてみて——ボレロとマリアッチが運ぶもの
実際に聴いてみると、最初の数十秒はアコースティックギターとマーズの歌声だけで進み、そこにマリアッチ編成のトランペットと弦楽器が波のように押し寄せてくる構成になっています。派手なビートで押し切るのではなく、じわじわと編成を厚くしていくやり方に、私は素直に「うまいな」と思いました。
ミュージックビデオも確認しました。メキシコ風の教会を舞台に、白いスーツとチャロ帽姿のマーズが結婚式を挙げ、マリアッチバンドを従えて歌う場面から始まります。物語は結婚式のその後、夫婦としての穏やかな暮らしを経て、年老いた二人が結婚写真を見返す場面まで進みます。ラブソングの歌詞そのものを引用することは控えますが、「すべてを賭けて誰かと生きていく」というタイトルの意味を、映像そのものが体現しているように感じました。
結婚式から老後までを一本の映像に収めるという構成は、決して奇をてらったものではありません。むしろ、これ以上ないくらい王道の見せ方だと思います。それでも、マリアッチという編成と組み合わさることで、単なる「幸せそうな結婚式の映像」以上の、文化的な厚みを感じさせるものになっていました。
本当にいいのか——私が惹かれた部分、引っかかった部分
ここからは、完全に私個人の感想です。
良いと思った点は、まず編成の説得力です。マリアッチをポップスに持ち込む試みは目新しいものではありませんが、アコギ一本から始めて徐々に厚みを増していく構成のおかげで、「借りてきた音」ではなく「この曲のために選ばれた音」として聴こえます。ボーカルの伸びやかさも、この編成に負けていません。
一方で、引っかかった点も正直に書きます。アルバム『The Romantic』は、批評家からの評価が分かれたとも報じられています。「よくできているが、目新しさには欠ける」という趣旨の指摘も見かけました。「Risk It All」単体で聴くと私は十分に楽しめましたが、アルバム全体を通して聴いたときに、この一曲が持つ強度を他の曲がどこまで支えられているのかは、正直まだ判断がつきません。ヒットしている曲イコール文句なしの傑作、と単純に結びつけるのは早計だとも思います。
結論として、私にとって「Risk It All」は、少なくとも単体の一曲としては十分に“いい”曲でした。ただしそれは、チャートの数字が証明しているからではなく、アコギからマリアッチへと広がっていく構成を、自分の耳で確かめてそう感じた、というだけの話です。
結び——余談として、もう一度聴く
この記事は評論でも採点でもありません。磐田で日々仕事をしている一人の人間が、たまたま耳にした一曲を、腰を据えて聴き直してみた記録です。世界的なヒット曲でも、聴く人それぞれに引っかかる場所は違うはずです。私はもう一度、通勤の車の中でこの曲を聴き直してみようと思います。
出典(2026年8月確認)
- Wikipedia「Risk It All (Bruno Mars song)」(リリース日=2026年2月27日、アルバム『The Romantic』の2ndシングル、作詞作曲=Bruno Mars・D'Mile・Philip Lawrence・James Fauntleroy、プロデュース=Mars・D'Mile、ジャンル=ボレロ/ラテンバラード、収録時間3分24秒、全米Hot100初登場4位、ストリーミング・ソングス1位、Global 200で1位、スペイン語版「Lo Arriesgo Todo」がホット・ラテン・ポップ・ソングス1位、豪・ブラジル・ポルトガルでゴールド、カナダ・NZでプラチナ認定) https://en.wikipedia.org/wiki/Risk_It_All_(Bruno_Mars_song)
- Wikipedia「The Romantic (album)」(ブルーノ・マーズ4作目のソロアルバム、2026年2月27日にAtlantic Recordsからリリース、2016年『24K Magic』以来9年ぶりのソロ作、全9曲・約31分30秒、批評家の評価はMetacriticで66/100〈賛否が分かれた〉) https://en.wikipedia.org/wiki/The_Romantic_(album)
- Billboard「Bruno Mars Performs With Mariachi in Bolero Opener on 'The Romantic' & More Uplifting Moments in Latin Music」(マリアッチ編成による制作の背景) https://www.billboard.com/music/latin/uplifting-moments-bruno-mars-risk-it-all-xavi-billions-club-1236188498/
- Yahoo Entertainment「Watch Bruno Mars Front a Mariachi Band in 'Risk It All' Music Video」(ミュージックビデオの内容=メキシコ風の教会での結婚式、白いスーツとチャロ帽、年老いた夫婦として結婚写真を見返す場面まで描かれる) https://www.yahoo.com/entertainment/music/articles/watch-bruno-mars-front-mariachi-054102107.html
本文中の「良いと感じた」「引っかかった」という評価はすべて筆者個人の感想であり、客観的な評価や採点ではありません。歌詞の引用は行っていません。チャート実績・認定状況は各出典が確認した時点のものです。

