この記事について。これは磐田で不動産・介護の相談を受けている大石ひろゆきが、Claudeという生成AIを日々の実務でどう使っているかを綴る余談です。磐田市役所のAI活用については別の記事で扱っているため、この記事では私個人・一事業者としての使い方に絞って書きます(本文の確認は2026年8月)。
導入——「AIに頼っている」と言うと、少し驚かれる
このサイトでは、磐田市が進める「AI市長ボット」など、行政のAI活用について何度か書いてきました。取材や資料の確認をする中で、よく聞かれるようになったことがあります。「大石さん自身は、AIを仕事で使っているんですか」という質問です。
答えは、はい。私はほぼ毎日、Claudeという生成AIを不動産と介護の実務で使っています。今日はその中身を、大げさな話にせず、ある一日の流れに沿って正直に書いてみます。
最初にAIを触ったときは、正直、半信半疑でした。地方の小さな会社が扱う相談は、一件一件が個別の事情を抱えていて、定型的な作業だけで完結することはほとんどありません。「そんな仕事にAIが役立つのか」と思っていたのが本音です。それが今では、朝の一時間目からClaudeの画面を開くのが習慣になっています。何が変わったのか、順を追って書いてみます。
朝——メールと相談内容を整理するところから
朝、事務所に着いて最初にすることの一つが、前日までに届いたメールや、電話で受けた相談内容の整理です。実家じまいや空き家のご相談は、ご家族の事情が絡み合っていて、要点が一度で頭に入りにくいことがよくあります。
そういうとき、聞き取ったメモや長いメールの文面をClaudeに読み込ませて、「誰が」「何に困っていて」「次に何を決める必要があるか」という形に整理してもらいます。あくまで下ごしらえです。整理された内容が事実と合っているかは、必ず自分の記憶やメモと突き合わせて確認します。ここを飛ばすと、思い込みのまま話が進んでしまう怖さがあるからです。
この段階でAIに任せているのは、あくまで「情報の並べ替え」です。誰が何を言ったか、何を決める必要があるかという事実そのものは、私が現場で聞き取ったものであり、Claudeが新しく付け加えることはありません。むしろ、バラバラに書き留めたメモを、抜け漏れなく整理された形に組み直してくれる下働きとして重宝しています。
昼——物件資料や案内文の下書きを任せる
昼前後は、物件の紹介文や、お客様への案内文を作る時間にあてることが多いです。同じような内容でも、相手が高齢のご家族なのか、相続で急いでいる方なのか、空き家の売却を検討し始めたばかりの方なのかで、伝え方を変える必要があります。
ゼロから毎回文章を練るのではなく、伝えたい要点だけをClaudeに渡して、まず数パターンの下書きを出してもらう。そこから、うちの会社らしい言い回しに直したり、事実関係が間違っていないかを確認したりして、最終的な文面に仕上げます。「書く」作業の時間は減りましたが、「読み直して直す」作業の比重はむしろ増えたという感覚があります。
物件の間取りや築年数、価格といった数字はこちらで用意した資料をそのまま渡し、Claudeにはあくまで文章の組み立てを任せています。数字を勝手に丸めたり、聞いてもいない設備を書き加えたりしていないか、送信前に必ず自分の目で照合する。ここは省略すると事故につながる工程なので、どれだけ忙しくても飛ばさないようにしています。
夕方——介護と不動産、二つの現場をまたぐ整理
富士ヶ丘サービスでは、不動産の相談と、高齢者の住まい・介護の相談の両方を受けています。同じご家族から、実家の売却と、親御さんの入居先探しを同時に相談されることも珍しくありません。
夕方は、その日にあった複数の相談を突き合わせて、「このご家族には、どの順番で何を進めるべきか」を整理する時間にしています。ここでもClaudeに、その日聞いた内容を要約させたり、抜け漏れがないかを一緒に洗い出させたりします。ただし、「この家族にとって何が一番良い選択か」という判断そのものは、AIに聞くことではないと決めています。それは、実際にお会いして事情を伺った人間が背負うべき仕事だと思うからです。
一日の終わりには、社内での申し送り用にその日の相談内容を簡単な記録として残します。誰が、いつ、どんな相談で来社したか。次に誰が何をする必要があるか。これも下書きはClaudeに手伝ってもらいますが、個人情報を扱う記録なので、入力する内容は必要最小限に絞り、氏名や込み入った家庭の事情はできるだけ抽象化してから渡すようにしています。この一手間は、慣れるまで面倒に感じましたが、今ではルーティンになりました。
私が線引きしていること——決めるのは自分
ここまで読むと便利な話ばかりに聞こえるかもしれませんが、失敗もあります。Claudeが整理した内容を確認せずにそのままお客様に送りかけて、事実関係の誤りに気づいて慌てて止めたことも一度や二度ではありません。AIは、こちらが渡した情報の範囲でしか正しい答えを返せません。渡した情報が古かったり、あいまいだったりすれば、出てくる答えもそれなりのものになります。この当たり前のことを、私は実務の中で何度も思い知らされました。
だからこそ、うちのような小さな会社でも守っているルールがあります。下書きや整理はAIに任せる。最終確認と、お客様にお伝えする判断は必ず自分が行う。これだけです。難しい仕組みではありませんが、この一線を越えないようにすることが、結局は一番大事だと感じています。
もう一つ意識しているのは、入力する情報の範囲です。お客様の氏名や住所、家族構成といった個人情報は、できる限り伏せたり一般化したりしてから使うようにしています。便利さと引き換えに、うっかり扱いを誤ってはいけない情報がある。これは、行政のAI活用について書くときに私自身が繰り返し指摘してきたことでもあり、自分がAIを使う立場になっても、同じ基準で臨むべきだと思っています。
結び——小さな会社ほど、道具は選べる
磐田のような地方の小さな不動産・介護の会社に、専任のIT担当者がいることはまずありません。だからこそ、Claudeのような道具を自分で試し、自分で線引きを決められることは、むしろ小さな会社の強みなのかもしれないと最近思うようになりました。
大げさな効率化の話ではなく、朝のメール整理から夕方の相談整理まで、地味な場面でコツコツ使っているというのが実情です。同じように地方で小さな会社を営む方の参考に、少しでもなれば嬉しく思います。
最初に触れたときの半信半疑な気持ちは、今も完全には消えていません。Claudeが出してくる整理や下書きは、あくまで「たたき台」であって、うちの会社の答えそのものではないからです。それでも、朝のメール整理に費やしていた時間が短くなった分、お客様のお宅に伺う時間や、電話でじっくり事情を伺う時間には確実に回せるようになったと感じています。道具が変わっても、結局は人と人との話を丁寧に聞くことが、この仕事の一番の土台であることに変わりはありません。その土台を守るための時間を、AIがどれだけ返してくれるか。私にとっては、それが一番大事な物差しです。
正直に言えば、こうした使い方が「正解」だとは思っていません。会社の規模や扱う相談の性質によって、ちょうど良い距離感は変わるはずです。ただ、磐田のような地方で、専門のIT担当者を置けない小さな会社が、それでも自分たちのペースでAIと付き合っていける、という一つの実例として、この記事が誰かの参考になればと思っています。
出典(2026年8月確認)
- Anthropic「Claude」公式サイト(本文で扱うClaudeの提供元) https://www.anthropic.com/claude
- 富士ヶ丘サービス(不動産) https://www.fujigaoka-service.co.jp/
- 富士ヶ丘サービス(介護) https://www.fujigaoka-service.info/
本文は筆者個人の業務での使い方を綴った体験談であり、Claudeの機能や性能に関する公式な説明や推奨事項ではありません。磐田市役所によるAI活用については、本サイトの別記事(AI×行政・市民サービス)で扱っています。相談内容や業務フローは、個人情報保護のため一般化・簡略化して記載しています。

