Q. 外部アドバイザー7人は、磐田の事業者の防災にどう役立つの?

磐田市は2026年7月に制度を始め、9月に弁護士・防災士の永野海氏を追加しました。現6人と合わせて7人になる計算です。任期は1年、雇用関係はありません。中小企業のBCP作成に助言を生かす予定ですが、個別相談や代行は公表資料に書かれていません。まず自社の連絡網と備蓄を点検してください。

導入——7人目は防災分野の専門家

磐田市は2026年9月、防災分野の外部アドバイザーとして、弁護士・防災士の永野海(ながの・かい)氏を新たに委嘱すると公表しました。2026年7月の制度導入後、すでに6人へ委嘱しているため、追加後は7人になる計算です。

外部の人を一人増やした、というだけなら市役所内部の話に見えます。しかし、今回示された対象には、市内中小企業のBCP作成があります。BCPは、災害や事故の後も事業を止めない、または早く再開するための事業継続計画です。

2022年の台風15号、2023年の台風2号による水害では、永野氏が被害認定調査や磐田市社会福祉協議会の説明会などで助言したと資料にあります。2026年5月には、磐田市危険物安全協会の研修会で、南海トラフ巨大地震への備えとBCP作成を講演しました。磐田を知らない人へ名目だけを渡す委嘱ではありません。

一方、外部の知恵が市役所に届くことと、見付や今之浦、福田、竜洋で商売をする事業者の手順が変わることは別です。私は、そこを分けて読みます。以下は、2026年9月8日に確認した磐田市の記者会見資料に基づく整理です。

外部アドバイザー7人の任期と役割

外部アドバイザーの役割は、重要な課題へ取り組む際に、専門知識・技術・経験を基に助言と情報提供を行うことです。市長が委嘱し、市との雇用関係はありません。委嘱期間は1年間です。

期間満了後は、事業が続き、本人から退任の申出がない場合に更新されます。勤務頻度や日々の実務への関わり方は、今回確認した資料には記載されていません。

永野氏について資料が挙げた今後の対象は、次の4分野です。

意外だったのは、今回の1ページ資料に既存6人の氏名、専門分野、担当事項の一覧がないことです。「現在6人に委嘱」とは書かれていますが、7人全員を同じ表で比較することはできません。報酬額、会議回数、助言の成果物も、この資料だけではわかりません。

2026年7月の制度導入から9月の防災担当追加、1年間の委嘱期間、市との雇用関係がない点を順に示す図
図1 公表資料で確認できる人数、時期、任期、市との関係

良い点——磐田での水害対応を次の備えへつなぐ

良い点は3つあります。磐田での支援経験があること、防災と事業継続を一緒に扱うこと、法律と現場の両方を見られることです。抽象的な助言で終わらせないための土台はあります。

第一に、永野氏は2022年、2023年の水害時に磐田市へ助言しています。被災後の認定調査や生活再建では、制度の文言だけでなく、何を記録し、誰へ説明し、どの順に動くかが問われます。その場面を知る人が平時の備えにも関わるのは筋が通っています。

第二に、市内中小企業のBCP作成が対象に入っています。会社の規模が小さいほど、社長が被災すると連絡、仕入れ、支払い、顧客対応が同時に止まりやすい。厚い計画書より、「誰へ最初に電話するか」「売上データをどこから戻すか」を決めるほうが先です。磐田市の事業所防災備蓄を点検する手順でも、飲料水だけでなく、携帯トイレや連絡先の確認まで挙げました。

第三に、弁護士と防災士という二つの視点があります。被害を減らす準備に加え、被災後の支援制度や生活再建までつなぐ役割が期待できます。磐田市の防災士養成講座で書いた通り、資格者の人数だけでなく、地域や職場で担う役割まで決まってこそ人材は生きます。

磐田市B&G防災拠点への6,500万円支援では、倉庫、重機、人材育成、自治体間の応援網を一つに組む点を評価しました。私は、今回の外部助言を、その設備と人を動かす手順を磨く機会にしてほしいと考えます。

注文——肩書きだけでは防災は一ミリも進まない

外から専門家を呼ぶこと自体は良い。ただ、肩書きを並べただけでは、防災は一ミリも進みません。助言を受けた部署、決めた期限、できたチェック表、訓練で直した点まで見えて、初めて事業者は使えます。

これは人への批判ではありません。仕組みへの注文です。今回の資料では、新任者の資格、磐田市とのこれまでの関わり、期待する分野はわかります。しかし、既存6人を含む全体名簿、分野ごとの担当、活動頻度、助言を何へ反映したかは見えません。制度を評価したいのに、比べる物差しが足りない。私はそこに迷いがあります。

一事業者として市へ望むのは、年1回でよいので、7人それぞれの担当、主な助言、反映先、未着手の項目を一覧にすることです。個人情報や協議途中の内容まで出す必要はありません。「誰を呼んだか」より「何が一つ進んだか」を市民が確かめられる形が要ります。

防災分野では、事業者向けの成果物をA4一枚に落としてほしい。水害、地震、停電ごとに、発災直後の連絡、従業員の安否、危険箇所、データ保全、仕入先の代替、営業再開の順番を並べれば、小さな店でも使えます。立派な冊子を作って棚へ置くより、毎年9月に書き換えられる一枚のほうが現場には効きます。

専門家の助言を市の成果物に変え、事業所が連絡網や備蓄を点検し、訓練後に見直すまでの4段階を示す図
図2 助言を事業所の行動へつなげるために必要な翻訳

事業者が今日できる確認——連絡網を一度回す

外部アドバイザーの活動を待たず、2026年9月8日にできる確認は、災害時の連絡網を一度回してみることです。名簿があるかではなく、夜間や停電時にも実際につながるかを確かめます。

私は不動産業者として防災を考えるとき、事務所の鍵、パソコンのバックアップ、従業員や取引先への連絡、現地へ入れる道路を頭の中で順に並べます。ここで書いているのは被災体験の報告ではなく、商売の段取りとしての私の判断です。一つ止まったとき、次の手が決まっているかを見ます。

  1. 代表者へ連絡できない場合の次の責任者を決める
  2. 顧客・従業員・仕入先の連絡先を紙でも持つ
  3. 会計、予約、契約データを別の場所から戻せるか試す
  4. 飲料水、携帯トイレ、照明、充電手段の数を数える
  5. 営業を再開する最低条件を一文で書く

2026年9月6日の磐田市総合防災訓練の記事では、自治会の訓練を「参加したか」ではなく、連絡が届いたか、役割が重なっていないかで見ると書きました。事業所も同じです。試して詰まった箇所が、外部の専門家へ聞くべき質問になります。

最後に一言。7人へ増えることは入口であって、成果ではありません。良い人選は評価します。その上で、市が受け取った知恵を、磐田の小さな事業所でも使える一枚と一回の訓練へ落としてほしい。これは市を動かす側の公約ではなく、決めごとの影響を受ける一事業者からの要望です。

よくある質問

Q. 磐田市の外部アドバイザーは本当に7人ですか?

磐田市の2026年9月資料は、制度導入後に現6人へ委嘱しており、防災分野の永野海氏を新たに加えると説明しています。したがって追加後は7人になる計算です。ただし、この資料には既存6人の氏名や専門分野の一覧は掲載されていません。

Q. 任期と磐田市との関係はどうなっていますか?

委嘱期間は1年間です。事業が続き、本人から退任の申出がない場合は更新されます。市長が委嘱しますが、市との雇用関係はありません。報酬額、活動回数、成果物の公開方法は今回確認した資料には記載されていません。

Q. 市内の事業者は永野海氏へBCPを直接相談できますか?

2026年9月資料には、市内中小企業のBCP作成に向けた取組へ専門性を生かすとあります。一方、個々の事業者が直接相談できる窓口や、計画書を代行してもらえるとの記載はありません。市から今後公表される案内を確認してください。

著者・大石浩之の顔写真

大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

磐田市で小さな不動産業を営み、実家じまい・空き家・相続・介護にからむご相談を一件ずつ受けています。理念より、家計と段取りで考えます。 プロフィール

出典(2026年9月確認)

※人数は、資料にある現6人へ新任1人を加えた計算です。委嘱内容、相談窓口、活動方法は変更・追加される場合があります。最新情報は磐田市公式サイトでご確認ください。個別の事業継続や法的判断は、自治体の担当窓口や各分野の専門家へご相談ください。