Q. 事業所の防災備蓄、9月1日に何を見ればいいですか。
静岡県が案内する施設内待機3日分を基準に、人数、期限、保管場所、取り出す担当の順で点検します。県が明記する対象は「従業員等」です。来客分は店舗ごとに上乗せを決め、根拠を在庫表へ残します。買い足す前に、いまある物が使えるかを確かめるのが先です。
9月1日は、備蓄品を買う日ではなく確かめる日
磐田市内の事業所が9月1日にするべきことは、防災用品の買い足しより先に、いまの在庫を使える形へ戻すことです。水や食料が棚にあっても、期限が切れている。毛布が倉庫の奥にあり、鍵を持つ人が休み。人数が増えたのに数量は開業時のまま。これでは「持っている」と「使える」が一致しません。
備蓄は、買った日ではなく、使える状態を確かめた日から備えになる。私はそう考えます。きれいな一覧表を作ることより、停電した店内で誰が何を取り出すかを決めるほうが先です。防災の日は、箱を増やす日ではありません。箱の中身と人の動きを合わせる日です。
磐田駅を使って通勤する人もいれば、見付や今之浦から車で通う人もいます。大規模地震で鉄道や道路が止まれば、同じ市内勤務でもすぐ帰れるとは限りません。家庭の備えと事業所の備えは、置く場所も、使う人も、判断する時間も別です。
静岡県が示すのは、施設内待機と3日分
静岡県「帰宅困難者対策」は、交通機関が止まり復旧の見通しが立たない場合に、従業員等を一定期間事業所内に留めるよう努めると案内しています。前提は、建物と周辺の被災状況を確認し、安全を確保できることです。危険な建物へとどまる話ではありません。
県が掲げる基本は「むやみに移動を開始しない」です。従業員等が待機できるよう、事業者には水、食料、毛布など3日分の物資を備蓄するよう案内しています。家族等との安否確認手段の確保も挙げています(2026年9月1日確認)。
意外だったのは、県のページに1人当たりの水量や食数が書かれていないことです。「3日分」は明記されていますが、数量表ではありません。来客も対象として明記されていません。ここを勝手に補って県の基準として書くことはできません。
だから事業所側で決める必要があります。通常勤務の人数、繁忙時の人数、出勤者が入れ替わる時間帯、来客が滞在する業種か。公表資料の範囲と、自社で上乗せした範囲を分けておけば、翌年の担当者も判断をたどれます。
点検手順1——使う人数を2通りで数える
事業所防災備蓄の点検は、「通常勤務人数」と「店舗内にいる最大人数」を別々に書くところから始めます。従業員10人の店でも、同じ時間にいるのが6人なら通常値は6人です。一方、交代時間や繁忙時に重なるなら、最大人数は増えます。
県資料が明記する「従業員等」と、店が独自に備える来客分を同じ欄に混ぜないほうがよい。従業員等の基準数、来客への上乗せ数、合計の3列にします。数字が変わったとき、どこを直せばよいかが分かります。
店舗では、予約表やシフト表が人数確認に使えます。事務所なら在宅勤務日と出社日を分けます。年に一度の感覚ではなく、手元の記録で数える。これが9月1日の最初の作業です。
点検手順2——期限と破損を、保管場所ごとに見る
人数を決めた後は、水、食料、毛布などを保管場所ごとに数え、期限と破損を確認します。品目別の総数だけでは足りません。1階倉庫、2階事務室、車内など、置き場所の単位で在庫表を作ります。
水漏れや浸水の可能性がある床置き、日が当たる窓際、温度が上がる車内は、同じ品でも状態が変わります。食品は表示された保存条件を確認します。毛布は袋の破れや湿気を見ます。期限だけを見て合格にしないことです。
入れ替える品は、廃棄日だけでなく「いつ通常業務で使うか」を決めます。期限が近い水を休憩用へ回し、新しい分を備蓄へ入れる。交換が日常の発注につながれば、防災用品だけが倉庫で忘れられません。
点検手順3——停電時に取り出せるかを試す
事業所防災備蓄は、照明と通信が止まった想定で、保管場所まで歩いて初めて点検になります。倉庫の鍵は誰が持つのか。シャッターは手で開くのか。棚の上段から一人で下ろせるのか。暗い時間帯なら懐中電灯はどこか。紙に書くだけでは出ない詰まりがあります。
私は不動産業者として建物を見ます。備蓄の銘柄より先に気になるのは、出入口と置き場です。ただし、体験台帳に事業所被災の記録はありません。ここは実話ではなく、建物を扱う一事業者としての意見です。
私自身、保管場所を一つに絞るべきかは迷います。一覧性は上がりますが、その場所に入れなければ全て使えません。分散すれば取り出せる可能性は増える一方、数量管理が難しくなる。店舗の構造に合わせ、場所ごとの在庫表を残すのが現実的です。
点検手順4——配る人と連絡手段を決める
備蓄品の確認と同時に、施設内待機を誰が判断し、誰が配布し、誰が人数を記録するかを決めます。責任者が不在の日もあるため、役職名だけでなく代行順を置きます。小さな店なら、一人が複数の役割を持って構いません。
県は家族等との安否確認手段の確保も挙げています。従業員が帰ろうとする大きな理由は、家族の状況が分からないことです。電話だけに寄せず、災害用伝言サービスや会社で決めた連絡方法を共有します。登録先が古いままなら、9月1日に直します。
点検手順5——不足品と次回日を1枚に残す
点検の最後は、不足品、交換期限、担当者、次回点検日を1枚に残します。購入リストだけでは翌年に同じ確認をやり直します。なぜその数量にしたか、来客分を何人と見たかも短く添えます。
次回を2027年9月1日だけにすると、期限切れが途中で来る品を見落とします。最も早い交換期限の前にも確認日を置きます。人員や営業時間が変わった日も点検のきっかけです。
評価——良い点を2つ、注文したい点を2つ
静岡県の案内で良い点は2つあります。第一に、帰宅させるかどうかより前に、建物と周辺の安全確認を置いていること。第二に、施設内待機を物資だけで終わらせず、家族との安否確認まで含めていることです。
従業員を店に残せば終わりではありません。家族の無事が分からなければ、留まる判断は続きません。水、食料、毛布と連絡手段を同じページで扱う考え方には筋があります。
その上で、一事業者として注文したい点も2つあります。第一に、3日分を点検表へ落とせる数量例が県のページにありません。業種や人数で違うとしても、計算欄のひな型があれば、小さな事業所は動きやすくなります。
第二に、「従業員等」の範囲が分かりにくい。来客を抱える店舗がどこまで見込むかは、現場側に残されています。行政に答えを丸投げする話ではありません。ただ、県の基準と事業者の上乗せ判断を分ける見本があると、迷いは減ります。
磐田の店舗で、今日できる確認
磐田市内の店舗や事業所は、今日、備蓄場所の写真を1枚撮り、在庫表へ撮影日を書くだけでも前へ進みます。その後、通常勤務人数と最大人数を書き、県が示す3日分と照合します。不足が見つかっても、その日に全てを買う必要はありません。
家庭の備蓄は7日分を視野に入れる考え方もあります。磐田市総合防災訓練に合わせた自治会と家庭の点検では、携帯トイレや置き場も含めて整理しました。事業所は県が案内する施設内待機3日分から始め、家庭分と混同しないことです。
水が止まる影響は店にも家庭にも及びます。令和8年熊本地震の断水8万4千戸から磐田が受け取るべきことも、保管する水を考える材料になります。
最後に一言。一言メモは空欄だったため、私は「理念より、防災と段取りの実利で語る」という原則を選びました。備蓄を持つこと自体には賛成です。注文は、持っている箱の数で安心しないこと。9月1日に、人数、期限、置き場、担当を声に出して確かめる。そこまで済んで初めて、事業所の備えになります。
よくある質問
Q. 磐田市内の事業所は、防災備蓄を何日分用意すればよいですか。
静岡県の帰宅困難者対策ページは、交通機関が止まり復旧の見通しが立たない場合に備え、従業員等が事業所内で待機できるよう、水・食料・毛布など3日分の物資を備蓄するよう案内しています。まず勤務人数と3日分を照合し、期限、保管場所、配布担当まで確認します。
Q. 店舗の来客分も3日分の備蓄が必要ですか。
静岡県の案内で明記されている対象は「従業員等」で、来客分の具体的な数量は示されていません。来客がいる店舗は、最大滞在人数、営業時間、周囲の避難先を踏まえて上乗せを決めます。県の記載と店舗独自の判断を分けて記録しておくと、見直しや引き継ぎがしやすくなります。
Q. 9月1日の点検は、何から始めればよいですか。
最初に通常勤務と繁忙時の人数を書き出し、備蓄を一か所に集めず保管場所ごとの在庫表を作ります。次に期限と破損、取り出せる動線、鍵の所在、配布担当、家族との安否確認手段を確認します。不足品の購入だけで終えず、次回点検日をその場で決めるところまでが1回の点検です。
出典(2026年9月確認)
- 静岡県「帰宅困難者対策」(ページID 1069240、更新日2026年7月15日、2026年9月1日確認。建物と周辺の安全確認、施設内待機、従業員等のための水・食料・毛布など3日分、家族等との安否確認手段を案内)
※静岡県のページは水・食料の1人当たり数量や来客分の具体的な備蓄量を示していません。本文の点検手順と来客分の扱いは、公表内容を踏まえた筆者の実務上の提案です。必要量は人数、建物、業種で変わります。建物が危険な場合は施設内待機を前提にせず、事業所の防災計画と公的機関の最新情報に従ってください。
