導入——私はずっと、傍聴席の話ばかり書いてきました

このサイトで、私は同じことを何度か書いてきました。

東海地方最大級の円墳の値打ちが決まった審議会に、傍聴人がいなかった。66点の文化財の指定を決めた席にも、誰もいなかった。総合計画の案には9月11日まで意見が出せる——。

書きながら、自分でも薄々気づいていたことがあります。

傍聴は「見る」で終わり、パブリックコメントは「出す」で終わる。どちらも大事ですが、どちらも相手が用意した器に入れる行為です。審議会の日程も、意見の締切も、こちらが決めたものではありません。

では、こちらから題材を持ち込める場所はどこか。

市議会の一般質問です。

磐田市議会の令和8年9月定例会は、9月9日(水)に開会します。一般質問が行われるのは9月17日、18日、24日

ここで大事なのは、一般質問が「事前通告制」だということです。市議会自身が用語集でこう説明しています。

「質問通告——議員が事前に質問の趣旨を執行機関に告げ知らせること」

つまり、9月17日に議場で話される中身は、その何日も前に固まっています。質問を受ける市の側にも、答弁を用意する時間が要るからです。

ということは、こうです。

9月に入ってから「これを聞いてほしい」と言っても、たいてい遅い。動くなら8月です。

今日は8月16日。まだ、間に合います。

まず、事実を整理する——9月9日に開いて、10月16日に閉じる

磐田市議会は2月、6月、9月、11月の年4回、定例会を開きます。そのうち9月定例会は、前年度の決算を審査する議会です。今年なら令和7年度の決算です。

市議会が公表している「令和8年9月定例会日程(案)」は、次のとおりです。

磐田市議会の令和8年9月定例会の日程を一覧にした図。会期は9月9日水曜日から10月16日金曜日まで。9月9日は本会議で一般会計決算と議案の説明。9月10日は本会議で特別会計・企業会計の決算と議案の説明。9月17日は本会議で議案採決のあと一般質問が始まる。9月18日と9月24日も本会議で一般質問。9月25日は一般会計決算と議案に対する質疑。9月28日は特別会計・企業会計決算と議案に対する質疑、および予算決算委員会。9月29日から10月1日までは分科会と常任委員会で議案審査。10月2日と10月5日は予備日。10月9日は予算決算委員会で議案採決。10月16日は本会議で議案採決と閉会。会場は磐田市役所6階の議場。日程は案であり、市議会が2026年6月1日に公表したもの。図の下部には、一般質問は事前通告制で、質問時間は30分以内、一問一答方式で回数の制限はないと記されている。
図1 令和8年9月定例会の日程(磐田市議会が公表した日程(案)から作成)

一般質問について、市議会の用語集はこう書いています。

「議員が行政全般にわたり、執行機関に対し事務の執行状況及び将来に対する方針等について所信を質すこと」。時間制限は30分以内。

形式は一問一答方式で、やり取りの回数に制限はないとされています。

30分。これが1人の議員に与えられる持ち時間です。その30分に何を載せるかを、いま議員は考えています。

そして、市議会は26人です。会派は7つ。もし全員が質問すれば、9月の3日間で26テーマが議場に上がることになります。

26枠あるのに、市民の側からそこへ球を投げている人は、たぶんとても少ない。それが、この記事を書いている理由です。

「渡す」には、5つの道があります

調べてみたら、磐田では思っていたより入口が多くありました。順に書きます。

1.市議会ご意見ポスト(オンライン、24時間)

市議会のサイトから、電子フォームで市議会に意見を送れます。市役所へ行く必要も、平日昼間である必要もありません。いちばん敷居が低い入口です。

2.陳情(紹介議員なし・郵送でも可)

ここは、意外と知られていないところだと思います。

市議会は請願と陳情の違いを、こう説明しています。請願は紹介議員の署名または記名押印が必要。陳情は必要ない。

さらに、陳情は持参でも郵送でもよく、出せるのは磐田市民に限りません。「市政などについて、直接、議会に要望できる」ものとされています。様式もWord形式で用意されています。

つまり「議員に知り合いがいないから無理」ということは、制度上ないということです。

3.請願(紹介議員が必要、持参)

紹介議員を1人見つけて、一緒に出す形です。手間はかかりますが、そのぶん重い。採択されれば市長など執行機関に送られます。

4.会派に、電話する

磐田市議会は会派一覧表をPDFで公開していて、そこには7つの会派それぞれの「会派室の外線電話番号」が載っています。

市役所の代表番号ではなく、会派の部屋に直接つながる番号です。ここまで出している議会は、そう多くありません。

5.議員に、直接渡す

市議会は議員名簿もPDFで公開しています。そこには26人の氏名、会派、所属する常任委員会に加えて、住所と電話番号まで載っています。

ここは、はっきり書いておきます。私はこの記事に、個々の議員の名前も番号も書きません。特定の誰かを薦める形になるのは、この場でやることではないと思っているからです。

ただ、「そういう名簿が市の公式サイトに置いてある」という事実は、知っておく価値があると思います。

そして、6つ目のような0番があります。パブリックコメントです。

いま募集中の第3次磐田市総合計画(案)への意見は、9月11日(金)午後5時15分必着。令和9年度から令和16年度までの8年間を決める計画です。9月議会の真っ最中に締め切られます。

磐田市で市民の側から市議会や市に題材を渡す5つの方法を比べた表の図。1つ目は市議会ご意見ポストで、紹介議員は不要、オンラインの電子フォームで24時間送れ、決まった締切はない。2つ目は陳情で、紹介議員は不要、議会事務局へ持参または郵送で提出し、提出期限は定例会ごとに設けられているため事務局への確認が必要。3つ目は請願で、紹介議員の署名または記名押印が必要、議会事務局へ持参し、期限は同じく事務局に確認する。4つ目は会派に電話する方法で、7つの会派それぞれの会派室の外線番号が会派一覧表で公開されている。5つ目は議員に直接渡す方法で、議員名簿に26人の氏名・会派・所属委員会・連絡先が掲載されている。あわせて第3次磐田市総合計画(案)へのパブリックコメントが9月11日金曜日午後5時15分必着で募集されている。図の下部には、陳情は磐田市民に限らず誰でも提出でき、郵送も可能であること、一般質問は事前通告制のため9月に入ってからでは間に合わないことが多い旨が記されている。磐田市・磐田市議会の公表資料から作成し、2026年8月16日に確認したもの。
図2 題材を渡す5つの道と、9月11日の締切(磐田市・磐田市議会の公表資料から作成)

渡す前に、10分でできる下調べ

ただ送るだけでは、たぶん弱い。私が実際にやってみて「これは効く」と思った下調べを、3つ書きます。

1.その話題が、すでに質問されていないか調べる。

磐田市議会には会議録検索システムがあります。過去の本会議・委員会の発言が、言葉で検索できます。

ここで自分の関心事を入れてみると、たいてい2通りの結果が出ます。「すでに何度も質問されているが、答弁が同じところで止まっている」か、「一度も出ていない」か。

どちらでも構いません。大事なのは、渡すときに「令和◯年の◯月議会で答弁がありましたが、その後どうなりましたか」と一行添えられることです。これがあるだけで、受け取る側の仕事がまるごと一段減ります。

2.録画中継で、質問の「間合い」を見る。

本会議と予算決算委員会はインターネット中継されています。録画は閉会後おおむね3日以内に公開され、約4年間視聴できるとされています。

30分という持ち時間が、実際どれくらいの分量なのかを一度見ておくと、渡す題材の大きさの見当がつきます。大きすぎる話は、30分に載りません。

3.常任委員会の割り振りを見る。

磐田市議会の常任委員会は総務/民生教育/建設産業のほか、広報広聴、議会運営があり、予算決算委員会には議長を除く全議員が所属します。議員名簿には、誰がどの委員会かが書かれています。

子どもの話なら民生教育、道路や産業なら建設産業、と当たりをつけて渡すほうが、話は前に進みます。

評価——良い点を3つ、注文を3つ

ここまで調べたうえで、磐田市議会について良いと思う点を3つ書きます。

1つ目。オンラインの入口を、ちゃんと作っていること。

ご意見ポストがあるのは大きい。市役所5階まで行かなくても、議会に文字を届けられる。働いている人、介護をしている人、夜しか時間がない人にとって、これは決定的な差です。

2つ目。陳情の間口が、想像以上に広いこと。

紹介議員が要らない。郵送でいい。市民でなくてもいい。この3つが揃っている制度は、使わないほうがもったいない。

3つ目。連絡先を、隠していないこと。

会派室の外線番号も、議員名簿の連絡先も、公式サイトからPDFで取れます。「どこに言えばいいか分からない」という言い訳が、磐田では成立しにくい。これは、はっきり評価したい。

そのうえで、注文を3つ。

1つ目。一般質問の通告期限が、どこにも書かれていない。

これが、今回いちばん困ったところです。

市議会は「事前通告制です」と説明しています。日程も出ています。でも、議員がいつまでに通告するのかは、サイトに載っていません。

市民の側は、そこから逆算ができない。「9月17日が一般質問の初日だから、まあ9月に入ってからでいいか」と思った人は、たぶん間に合わない。

締切が分からない募集は、事実上、締め切られているのと同じです。

2つ目。請願・陳情の提出期限も、日付で書かれていない。

市議会の説明は「定例会ごとに設けられているため、事務局への事前問い合わせが必要」となっています。

制度としては正しい。ただ、電話をかけないと締切が分からない、という一段が挟まっている。ここで止まる人は、確実にいます。

私は不動産の仕事で、書類の締切を人に伝えることが多い。経験上、「お問い合わせください」と書かれた締切は、締切として機能しません。

3つ目。傍聴が、いまだに「当日、5階の事務局へ」だけ。

傍聴の手順は、会議当日に市役所本庁舎5階の議会事務局へ行き、傍聴申出書に住所と氏名を書いて傍聴券を受け取るというものです。定員は本会議で50人。

手話通訳者や要約筆記者の手配ができること、整音器を貸し出していることは、素直に良いと思います。

それでも、平日の昼間に市役所の5階まで行ける人は、限られています。私がこれまで「傍聴人がいなかった」と何度も書いてきた背景には、関心のなさだけでなく、この物理的な段差もあると思っています。

対案・結論——4つ、提案します

第一に、「9月議会に間に合う締切カレンダー」を1枚、議会のトップに置くこと。

一般質問の通告期限、陳情・請願の提出期限、傍聴の受付、パブリックコメントの締切。この4つを日付で並べた1枚です。

新しい制度も予算も要りません。すでに議会の中にある日付を、外向きに並べ直すだけです。

第二に、陳情の締切を、日付で公表すること。

「定例会ごとに設けられている」なら、その日付は決まっているはずです。決まっているものを書くだけで、電話1本ぶんの段差が消えます。

第三に、ご意見ポストに受け取った件数だけでも公表すること。

個々の内容は難しくても、「今年度、何件届いたか」なら出せるはずです。

この数字は、市民にとっても議会にとっても効きます。10件しか来ていないなら、出せば読まれる可能性が高いということです。「どうせ埋もれる」という思い込みを、数字が壊してくれます。

第四に、私たちの側の話。渡すときは、短く、一つに絞ること。

これは行政への注文ではなく、自分への戒めとして書きます。

陳情でもご意見ポストでも、言いたいことを全部入れると、まず通りません。30分の持ち時間に載せてもらうなら、「一つの事実」と「一つの問い」まで削ったほうがいい。

私なりの型を書いておきます。

この3行なら、誰でも15分で書けます。15分です。

最後に一言。

私は不動産の仕事で、相続や実家じまいの相談を受けます。そこでいちばん多い後悔は、内容の後悔ではありません。「もっと早く動けばよかった」——ほぼ、これに尽きます。

相続税の申告にも、空き家の解体補助にも、締切があります。締切のある話は、正しさではなく、時期で決まる。どれだけまっとうな言い分でも、期限を過ぎたら聞いてもらえません。

議会も、同じです。

9月17日の議場で、誰かが立って質問します。その内容は、いまこの8月に決まりつつあります。

私はこれまで、傍聴席が空いていることを何度も書いてきました。書くだけなら、傍聴席と同じで「見ている」に留まります。

だから今年は、私も出します。この夏に調べて書ききれなかったことを、一つだけ選んで、8月のうちに渡します。

お盆が明けて、今日は8月16日。9月9日の開会まで、あと24日。

15分あれば書けます。よかったら、一緒にどうぞ。

出典(2026年8月確認)

  • 磐田市議会「令和8年9月定例会日程(案)」(2026年6月1日更新。会期=令和8年9月9日〜10月16日。9月9日本会議〈一般会計決算・議案説明〉、9月10日本会議〈特別・企業会計決算・議案説明〉、9月17日本会議〈議案採決・一般質問〉、9月18日・24日本会議〈一般質問〉、9月25日・28日質疑、9月28日予算決算委員会、9月29日〜10月1日分科会・常任委員会、10月2日・5日予備日、10月9日予算決算委員会〈議案採決〉、10月16日本会議〈議案採決・閉会〉。会場は市役所6階議場) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shigikai/honkaigi/kaikinittei/1016459.html
  • 磐田市議会「議会用語集」(一般質問=「議員が行政全般にわたり、執行機関に対し事務の執行状況及び将来に対する方針等について所信を質すこと」、時間制限30分以内。質問通告=「議員が事前に質問の趣旨を執行機関に告げ知らせること」。一問一答方式は回数の制限なし。定例会は2月・6月・9月・11月の年4回。請願は紹介議員の署名または記名押印が必要、陳情は不要) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shigikai/gikai_shikumi/1005426.html
  • 磐田市議会「請願・陳情」(磐田市民に限らず誰でも提出可。請願は紹介議員が必要で議会事務局へ持参、陳情は紹介議員不要で持参または郵送。提出期限は定例会ごとに設けられているため事務局への事前問い合わせが必要。様式はWord形式。提出先=〒438-8650 磐田市国府台3-1 本庁舎5階 議会事務局、電話0538-37-4822、受付は午前8時30分〜午後5時15分) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shigikai/seigan_chinjou/1005427.html
  • 磐田市議会「傍聴のご案内」(会議当日に本庁舎5階の議会事務局で傍聴申出書に住所・氏名を記入し傍聴券を受け取る。定員は本会議50人、予算決算委員会50人、その他の常任委員会15人、特別委員会5人、議会運営委員会15人。手話通訳者・要約筆記者の手配、整音器の貸出あり。本会議と予算決算委員会はインターネット中継) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shigikai/bouchou/1005444.html
  • 磐田市議会「会派名簿」および「磐田市議会会派一覧表(令和8年4月1日)」(志政会7人、新磐田4人、せいわ会4人、愛和4人、市民と創る磐田3人、日本共産党磐田市議団2人、公明党磐田2人の計7会派26人。各会派室の外線電話番号を掲載) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shigikai/giin/1002915.html
  • 磐田市議会「議員名簿」および「磐田市議会議員名簿(令和8年5月18日現在)」(議席1〜26。氏名・会派・所属常任委員会等・連絡先を掲載。常任委員会は総務/民生教育/建設産業のほか広報広聴・議会運営があり、予算決算委員会は議長を除く全議員が所属) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shigikai/giin/1002914.html
  • 磐田市議会「市議会ご意見ポスト」(市議会サイトから電子フォームで意見を送る窓口) https://logoform.jp/form/dWNN/74450
  • 磐田市議会「会議録検索システム」(本会議・委員会の会議録を検索できる) https://ssp.kaigiroku.net/tenant/iwata/pg/index.html
  • 磐田市議会「インターネット中継」(本会議・予算決算委員会の生中継と録画中継。録画は会議終了後おおむね3日以内に公開され、約4年間視聴可) https://iwata-city.stream.jfit.co.jp/
  • 磐田市「第3次磐田市総合計画(案)に対するパブリックコメント」(募集期間=令和8年8月5日〜9月11日午後5時15分必着。対象は令和9年度から令和16年度までの8年間の計画。提出方法=直接提出・郵送・ファクス0538-36-8954・電子申請。担当=企画部の担当課 電話0538-37-4805) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shiseijouhou/kouhou_kouchou/publiccomment/1005813/1016711.html
  • 磐田市議会「議会報告会・意見交換会」(平成24年度から実施。令和7年度から「報告会」ではなく「意見交換会」の形に移行し、公募型の意見交換会の参加者募集を行っている) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shigikai/gikaikaikaku/1005437.html

※令和8年9月定例会の日程は磐田市議会が公表している「日程(案)」であり、今後変更される場合があります。一般質問の通告期限および請願・陳情の提出期限は、本記事の執筆時点で市議会のウェブサイトに日付が掲載されていないことを確認したもので、期限が存在しないという意味ではありません。実際の期限は磐田市議会事務局(電話0538-37-4822)にご確認ください。議員名簿および会派一覧表に掲載されている連絡先については、公表されている事実に触れるにとどめ、本記事では個別の氏名・番号を掲載していません。本記事は特定の議員・会派を推薦し、または推薦しないものではありません。ご意見ポストの受付件数の公表、締切カレンダーの掲示などの提案は筆者個人の意見であり、磐田市議会が検討していると確認したものではありません。最新の情報は磐田市議会および磐田市の公式サイトでご確認ください。