導入——磐田には、中心が二つある

以前この場で、「なぜ、磐田の駅前は寂れたのか」という記事を書きました。そのとき書ききれなかったことが、ひとつあります。磐田のまちの成り立ちを考えるとき、実は中心が二つあるということです。明治以降に鉄道とともにできた磐田駅前。そして、それよりはるかに古い、旧東海道の見付です。

その見付をめぐって、市のサイトにこんな告知が出ていました。8月22日(土曜)、ワークピア磐田で「見付宿の未来を考える会」を開催——。私の会社は見付にあります。毎日あのまちで働いている者として、これは書かないわけにいきません。開催前のいまのうちに、会の中身と、考えておきたい論点を整理しておきます。

まず、事実を整理する——見付というまちと、8月22日の会

見付は、東海道五十三次の28番目の宿場町です。しかもその歴史は宿場より古く、10世紀には遠江国の国府が置かれ、遠江国分寺と見付天神の門前町として、中世には東海道屈指の規模を持つまちでした。浜名湖の北を回る本坂通(姫街道)の分岐点でもあります。そして明治8年(1875年)には、現存する日本最古の木造擬洋風小学校校舎である旧見付学校が建てられました。国指定史跡です。国府の時代から数えれば、およそ1100年。磐田駅前の歴史が140年ほどであるのに対し、見付は桁がひとつ違う蓄積を持っているのです。

次に、8月22日の会の概要です。時間は午後1時から4時まで、会場はワークピア磐田2階視聴覚室。第1部は講演で、見付宿の歴史資源・魅力の紹介と、静岡市草薙の事例学習。第2部はグループワークで、参加者が見付宿の未来像を考えて発表します。主催は静岡文化芸術大学の新妻研究室。共催に見付宿を考える会と、磐田市都市計画課が入ります。定員50名、どなたでも参加でき、無料。申込は電子申請(Logoフォーム)で、締切は8月16日(日曜)、多数の場合は抽選です。

見付宿の未来を考える会の概要をまとめた図。日時は2026年8月22日土曜の午後1時から4時、受付は午後0時30分から。会場はワークピア磐田2階視聴覚室。内容は第1部が見付宿の歴史資源・魅力の紹介と静岡市草薙の事例学習の講演、第2部が参加者で見付宿の未来像を考えて発表するグループワーク。主催は静岡文化芸術大学新妻研究室、共催は見付宿を考える会と磐田市都市計画課。定員50名でどなたでも参加可能、無料。申込は電子申請で8月16日締切、多数の場合は抽選。問い合わせは磐田市都市計画課。
図1 「見付宿の未来を考える会」の概要(磐田市告知ページから作成)

評価——良い点と、注文したい点

この会の設計には、良い点が4つあります。

1つ、主催が行政ではなく、大学の研究室であること。行政丸抱えのワークショップは、どうしても「市の計画の説明会」に寄っていきます。大学が主催し、地元の「見付宿を考える会」と市が共催で支える形は、風通しがいい。2つ、誰でも参加できて無料であること。3つ、静岡市草薙という他都市の事例から学ぶ設計になっていること。草薙は駅前で、大学と連携したまちづくりが続いている地区です。自分のまちの話だけで盛り上がらず、外の物差しを最初に入れるのは、良い順番だと思います。4つ、第2部がグループワークで、聞いて終わりではなく、参加者が口を開く時間が確保されていることです。

そのうえで、注文が3つあります。

1つ。「参加して終わり」のリスクです。私は以前、未来まちづくりワークショップの記事で「20人の声で終わらせないために」と書きました。今回も定員50人、一回3時間。3時間で描ける未来像は、スケッチにすぎません。スケッチのままファイルに綴じられたワークショップの成果物を、私たちは何度も見てきました。

2つ。申込が電子申請のみであること。見付の商店街で長く店をやってこられた方々の中には、Logoフォームと聞いた時点で諦める人がいます。未来を考える会に、そのまちの現在を支えてきた人が申し込めない仕組みは、ちぐはぐです。電話や窓口での申込を、一枠でも用意してほしい。

3つ。出た意見の行き先が、告知に書かれていないことです。共催に都市計画課が入っている以上、この会は都市計画と無関係ではないはずです。グループワークの成果はどこに公開され、市の計画や次の動きにどうつながるのか。それが見えないままでは、参加者は「言いっぱなし」を、行政は「聞きっぱなし」を、互いに予感しながら集まることになります。

対案・結論——1100年のまちを、スケッチで終わらせない

そこで、3つ提案します。

第一に、成果の公開と「次」の予告。当日出た未来像を市サイトで公開し、その場で「次はいつ、何をやるか」を約束する。継続の予告があるだけで、参加者の本気度は変わります。一回で終わるなら、それはイベントです。続くなら、まちづくりです。

第二に、混ぜ方の設計。見付の商店主・自治会と、市外も含めた若い世代——磐田ここからラボの受講生や、磐田で学ぶ高校生・大学生を、同じテーブルに座らせてほしい。抽選になるのなら、属性が偏らない配慮を。未来を使う人と、現在を支えてきた人が同じ席にいることが、この種の会のいちばんの価値です。

第三に、空き店舗への一歩。不動産の現場から言えば、旧東海道沿いには、使われていない店舗と家屋が確実にあります。未来像を語ったあとの具体の一歩として、「まず一軒、借りて使ってみる」——チャレンジショップでも、大学のサテライト拠点でも、一日カフェでもいい。草薙の事例に学ぶなら、学ぶべきは絵の描き方ではなく、最初の一軒の動かし方だと思います。見付で商売をしている不動産屋として、物件の面でお手伝いできることがあれば、いくらでも協力します。

最後に一言。駅前と見付、二つの中心を同時に立て直すのは、正直、いまの磐田には荷が重い。でも、見付には駅前にない資産があります。1100年の歴史、本物の史跡、そして「見付宿を考える会」のように、まちを想い続けてきた人たちです。私はこの会に申し込むつもりです。締切は8月16日、定員50名。この記事を読んで「見付のこれからは気になる」と思った方は、ぜひ一緒に申し込みませんか。50の席が、磐田の本気で埋まるところを見てみたいのです。

出典(2026年7月確認)

  • 磐田市「8月22日(土曜)にワークピアにて見付宿の未来を考える会を開催します!」(開催概要・申込方法) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/event/kouza_kyoushitsu/1016780.html
  • 磐田市「旧見付学校附磐田文庫」(明治8年建築・現存する日本最古の木造擬洋風小学校校舎・国指定史跡) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/sports_midokoro/bunkazai/kunishitei/1002050.html
  • Wikipedia「見附宿」(東海道28番目の宿場、遠江国府・国分寺・見付天神門前町、本坂通の分岐点) https://ja.wikipedia.org/wiki/見附宿

※開催内容・申込方法は変更される場合があります。最新情報は磐田市公式サイトでご確認ください。