Q. 2026年7月の家計は、2025年7月より本当に苦しくなったの?

総務省統計局の家計調査では、二人以上世帯の消費支出は30万1,245円。2025年7月より名目4,449円、1.5%減り、物価影響を除くと3.6%減です。食料は支出額が2,049円増えても実質1.3%減でした。全国平均であり磐田市だけの値ではないため、家計明細や店の客数と並べて使う数字です。

導入——30万1,245円は「普通の家」の金額ではない

総務省統計局が2026年9月4日に公表した家計調査で、2026年7月の消費支出は、二人以上世帯の1世帯当たり30万1,245円でした。2025年7月の30万5,694円から4,449円減っています。

4,449円を7月の31日で割ると、1日当たり約144円の減少です。ただし、この数字は全国平均です。単身世帯を含まず、平均世帯人員は2025年7月の2.87人から2026年7月の2.86人へ変わっています。

勤労者世帯だけではありません。無職世帯、世帯主が個人経営者・法人経営者・自由業者の世帯なども含みます。家賃、交通、診療、教育、贈与、仕送りまで含むため、スーパーの買い物額や小売店の売上とは範囲が違います。

30万1,245円は平均値であって中央値ではありません。「わが家は30万円より上だから使いすぎ」「下だから節約できている」と判定する線ではない。2025年7月と同じ調査の支出額を比べ、どの費目が動いたかを見るための数字です。

2025年7月より名目4,449円、実質3.6%減

2026年7月の消費支出は、2025年7月より名目で4,449円減り、前年同月比は名目1.5%減、実質3.6%減でした。消費支出の実質減少は8か月連続です。

指標2025年7月2026年7月差・率
消費支出305,694円301,245円-4,449円
名目前年同月比-1.5%支払額
実質前年同月比-3.6%物価調整後
季節調整済み実質前月比+0.5%2026年6月比

名目は実際に支払った金額です。実質は消費者物価指数を使い、物価変動の影響を除いた値です。名目より実質の落ち込みが大きいのは、支払額の減少以上に、物価を調整した支出が減ったことを示します。

一方、2026年6月との季節調整済み実質比較では0.5%増です。「2025年7月より減った」と「2026年6月より増えた」は両立します。比較する月と調整方法が違うためです。

2025年7月30万5,694円と2026年7月30万1,245円、名目1.5%減、実質3.6%減、前月比0.5%増を並べた図
図1 同じ2026年7月でも、前年同月比と前月比で方向が異なる

食料は2,049円増えても、実質1.3%減

食料支出は2025年7月の9万3,632円から2026年7月の9万5,681円へ2,049円増えましたが、物価を調整した実質前年比は1.3%減でした。金額が増えた費目でも、実質では減ることがあります。

これは「食べた量が正確に1.3%減った」という意味ではありません。家計調査の実質支出は価格指数で調整した値で、食品の重量そのものではないからです。ただ、レジで払う金額が増えたことだけを見て、消費が増えたとは言えません。

2025年7月から2026年7月への名目額差を見ると、住居は2,834円減、交通・通信は2,823円減、光熱・水道は1,738円減でした。教養娯楽は2,086円増えています。実質の総合値を押し下げた寄与は、交通・通信が1.29ポイント、住居が1.08ポイントでした。

月ごとの住居費や自動車購入は、該当する世帯があるかで大きく動きます。そこで、住居、自動車等購入、贈与金、仕送り金を除いた消費支出も見ます。この値は26万7,790円で、名目0.8%増、実質1.4%減でした。これらを除いても、物価調整後は減少です。

食料は2,049円増で実質1.3%減、交通通信は2,823円減、住居は2,834円減、教養娯楽は2,086円増と示す図
図2 名目の円額差と、物価調整後の増減は分けて読む

勤労者世帯は実収入も実質3.8%減

二人以上の勤労者世帯では、2026年7月の実収入が68万9,476円で実質3.8%減、可処分所得が55万4,381円で実質3.1%減でした。同じ世帯区分の消費支出は32万2,866円で実質6.8%減です。ここで示した実質率は、いずれも持家の帰属家賃を除く総合指数で物価調整した値です。

実収入には、世帯員の勤め先収入だけでなく、事業・内職収入、社会保障給付、財産収入なども含みます。会社員一人の給料ではありません。可処分所得は、実収入から税金や社会保険料などを差し引いた、いわゆる手取りです。

平均消費性向は58.2%で、2025年7月の60.5%から2.3ポイント下がりました。手取りに占める消費支出の割合も低下しています。磐田の家計から負担の限界を考えた記事で書いた通り、収入額だけでなく、自由に使える金額と固定費を分けなければ暮らしの余白は見えません。

良い点——金額と実質を分けると家計の詰まりが見える

家計調査の良い点は、支払額、物価調整後、費目別の三つを分けて見られることです。30万1,245円だけではわからない、家計と商売のずれが表に出ます。

食料のように支出額が増えて実質が減る費目は、家族には「払っているのに余裕が増えない」、店には「売上額が維持されても買われ方が強いとは限らない」と映ります。電気・ガス補助が2026年9月使用分で終わる話も、請求額と使用量を分けて見る必要があります。

費目別の寄与度がある点も良い。総額が減った原因を、食料だけへ押しつけずに済みます。2026年7月は交通・通信と住居の押下げが大きく、教養娯楽は増加側でした。費目別の前年同月比は一様ではありません。

注文——全国平均を磐田の答えにしない

売上額だけ見て、消費が戻ったとは言えない。食料は支払額が増えても実質では減っています。見付や磐田駅前の店が確認すべきなのは、全国平均の見出しではなく、自店の客数、1件単価、買上点数です。

逆に、実質3.6%減だけで「磐田の全世帯が同じだけ節約した」とも言えません。全国の標本世帯による1か月の平均で、磐田市だけの値でも中央値でもない。住居修繕や自動車購入の有無でも振れます。

私は小さな商売の数字を見るなら、売上高の隣に客数と1件単価を置くべきだと考えます。これは2026年7月に店頭で客数を測った体験談ではなく、統計を商売へ翻訳するときの私の判断です。数字が一つだと、値上げで売上が増えたのか、来店が増えたのかを取り違えます。

静岡県最低賃金1,154円と磐田の時給の記事でも、人件費の増加を1時間、1日、1か月へ割り戻しました。家計調査も同じです。全国の30万円という大きな数字を、2025年7月との差4,449円、1日約144円へ落としてから、自分の家計や店と比べます。

今日できる比較——家計は3費目、店は3数字を並べる

家計で今日できるのは、2025年7月と2026年7月の明細から、食料、光熱、交通の三つを同じ範囲で並べることです。総額だけでなく、金額が増えた費目と減った費目を分けます。

店側は、2025年7月と2026年7月の売上高、客数、1件単価を一列にします。売上高が同じでも客数が減り単価が上がっていれば、家計が値上がりを吸収している可能性があります。これは推測の入口であり、原因の断定ではありません。

いわた応援チケットを家計と地元の店の両方から見た記事では、購入期限と利用期限を分けました。今回も、家計の支払額と、店で動いた数量や客数を分ける。同じ金額を両側から見てこそ、磐田で次に確かめることが決まります。

実質3.6%減を見たとき、磐田の商いも厳しいと言い切るべきか、私は迷いました。全国平均には磐田の店頭だけを切り出す力がありません。しかし、食料の支払額が増えて実質が減った事実まで軽く扱うこともできません。

最後に一言。名目額だけを見て「まだ使えている」と片づけるのは雑です。実質3.6%減は、物価の影響を除くと支出が縮んだという数字です。一方で、全国平均を地元の一軒へ押しつけるのも雑です。家計は明細、店は客数まで戻って見る。それが一事業者としての結論です。

よくある質問

Q. 30万1,245円は一人暮らしを含む全国民の平均ですか?

含みません。総務省統計局の2026年7月家計調査における、二人以上世帯の1世帯当たり1か月平均です。単身世帯は対象外で、平均世帯人員は2.86人。勤労者、無職、個人経営者などの世帯を含みます。平均値であり中央値でもありません。

Q. 名目1.5%減と実質3.6%減は何が違いますか?

名目は実際に支払った金額の増減、実質は物価変動の影響を除いた増減です。2026年7月は支出額が2025年7月より1.5%減り、物価を調整すると3.6%減りました。食料は金額が2.2%増えても実質1.3%減で、支払額の増加と実質的な増加は別です。

Q. この結果を磐田市の家計や店の売上にそのまま使えますか?

使えません。家計調査は全国の標本世帯による平均で、磐田市だけの数値ではありません。月ごとに自動車購入や住宅修繕などの大きな支出でも動きます。磐田の家計は自分の明細、地元の店は売上高、客数、1件単価を並べ、全国値は比較材料として使ってください。

著者・大石浩之の顔写真

大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

磐田市で小さな不動産業を営み、実家じまい・空き家・相続・介護にからむご相談を一件ずつ受けています。理念より、家計と段取りで考えます。 プロフィール

出典(2026年9月確認)

※数値は全国の標本調査による平均で、磐田市の個別世帯や店舗を示すものではありません。月次PDFは次回公表時に差し替わる場合があります。統計の改定や最新値は総務省統計局でご確認ください。個別の家計・経営判断は、明細や帳簿を基に各分野の専門家へご相談ください。