Q. 電気とガスの補助、いつまでですか。10月からの請求が怖いのですが。

国の「電気・ガス料金支援」は2026年9月使用分で終わります。10月使用分からは値引きがありません。中部電力ミライズの契約なら、値引きが載る最後は10月分の検針で、11月分の請求からゼロになります。月260kWhの世帯なら、8月使用分は1,170円、9月使用分は910円が引かれます。

導入——名前を知られないまま、終わろうとしている支援があります

いま磐田の家に届いている電気の請求書には、値引きが入っています。国が実施している「電気・ガス料金支援」です。対象は2026年7月使用分から9月使用分まで。申請はいりません。電力会社とガス会社が、勝手に引いて請求してきます。

はっきり書きます。この支援は、名前を知られないまま終わろうとしています。申請書を書いた人は一人もいません。窓口に並んだ人もいません。だから、始まったことにも、終わることにも、気づきにくい。気づくのは、11月に届く請求書を見たときです。

私は磐田で小さな不動産業をしています。空き家や実家じまいの相談を受けていると、話は必ず「毎月いくら出ていくのか」に降りてきます。だからこの記事では、どんな支援だったのかを、単価と、月と、請求書のどの行に載るのかまで、全部書き出します。それが今回いちばんやりたいことです。

まず、事実を整理する——単価は月ごとに違います

国の「電気・ガス料金支援」の公式サイトには、対象期間が「2026年7月使用分~9月使用分」と書かれています(2026年8月24日確認)。値引きの単価は、月によって変わります。

低圧の電気(一般の家庭と、小さな店や事務所)。2026年7月使用分と9月使用分が1kWhあたり3.5円。8月使用分だけが4.5円です。

高圧の電気(大きめの工場やビル)。7月使用分と9月使用分が1kWhあたり1.8円。8月使用分が2.3円です。

都市ガス。7月使用分と9月使用分が1立方メートルあたり14.0円。8月使用分が18.0円です。

いちばん暑い8月だけ単価を上げてある形です。そして9月使用分で終わります。10月使用分からは、1円も引かれません。2026年8月24日の時点で、10月使用分以降の支援について国からの発表は見当たりませんでした。

国の電気・ガス料金支援の値引き単価を種類別・月別に並べた表。電気の低圧は2026年7月使用分が1kWhあたり3.5円、8月使用分が4.5円、9月使用分が3.5円、10月使用分以降は0円。電気の高圧は1.8円、2.3円、1.8円、0円。都市ガスは1立方メートルあたり14.0円、18.0円、14.0円、0円。LPガス(プロパン)はすべての月で対象外。申請は不要で、電力会社とガス会社が請求額から自動で値引きする。中部電力ミライズの案内では対象期間は2026年8月分から10月分まで(2026年7月使用分から9月使用分まで)で、値引きが載る最後は10月分の検針、11月分の検針から値引きはゼロになる。
図1 国「電気・ガス料金支援」公式サイトおよび中部電力ミライズの案内から作成(2026年8月24日確認)。契約電力が原則500kW以上の高圧のみ2026年8月使用分〜10月使用分。

検針票に「補助」という行は載りません

磐田市は中部電力の供給区域です。中部電力ミライズのページを開くと、対象期間はこう書かれています。「2026年8月分から10月分まで(2026年7月使用分から9月使用分まで)」。契約電力が原則500kW以上の高圧の場合だけ、2026年8月使用分から10月使用分となります。

使用分と「◯月分」がひと月ずれている点に注意してください。値引きが載る最後は、10月分の検針です。11月分の検針から、値引きはゼロになります。手元に請求が届くのは、そのさらに後です。

ここで多くの方がつまずきます。検針票を探しても、「補助」や「支援」と書かれた行は見つかりません。中部電力ミライズは、値引きを燃料費調整単価と、都市ガスの原料費調整額から差し引く形で反映しています。つまり値引きは独立した行ではなく、燃料費調整額の中に溶けています。

額を知りたければ、自分で掛け算をするしかありません。検針票に載っている使用量に、その月の単価を掛ける。それだけです。

磐田の家計から、いくら消えるのか

数字を家計に翻訳します。ここから先の計算は、公表されている単価をもとにした私の概算です。実際の請求とは一致しません。桁をつかむためのものとして読んでください。

まず、月260kWhを使う世帯。7月使用分が910円、8月使用分が1,170円、9月使用分が910円。電気だけで3か月合計2,990円です。都市ガスを月30立方メートル使っていれば、420円・540円・420円で合計1,380円が上乗せされます。両方あわせて4,370円。

次に、磐田の戸建てで、日中もエアコンを止めない世帯。月500kWhとして計算します。7月使用分が1,750円、8月使用分が2,250円、9月使用分が1,750円。3か月で5,750円です。

そして、店。低圧契約なら、店も家も単価は同じ3.5円と4.5円です。月1,200kWhを使う小さな店で、7月使用分が4,200円、8月使用分が5,400円、9月使用分が4,200円。3か月で13,800円になります。

市全体に広げます。静岡県が公表した令和7年国勢調査の速報値で、磐田市の世帯数は65,606世帯でした。仮に全世帯が月260kWhだとすると、電気の値引きは3か月でおよそ1億9,600万円。10月使用分からは、この蛇口が閉まります。月あたりに直せば、9月使用分と同じ単価で比べておよそ5,970万円が、毎月磐田の家計から消える計算です。

もちろん全世帯が同じ使用量ということはありません。分母だけを示した、ごく粗い割り戻しです。それでも、「支援が終わる」という一行が、市内でどれくらいの重さを持つのかは見えます。

値引き単価に磐田の家計と店の使用量を掛けて消える額を試算した図。月260kWhの世帯は7月使用分910円、8月使用分1,170円、9月使用分910円で3か月合計2,990円。月500kWhの戸建ては1,750円、2,250円、1,750円で合計5,750円。月1,200kWhの低圧契約の店は4,200円、5,400円、4,200円で合計13,800円。都市ガス月30立方メートルは420円、540円、420円で合計1,380円。磐田市の65,606世帯が全て月260kWhと仮定すると、3か月の電気の値引きはおよそ1億9,600万円、10月使用分からは毎月およそ5,970万円が消える計算になる。
図2 公表単価に仮の使用量を掛けた筆者のごく粗い概算です。世帯数は静岡県公表の令和7年国勢調査速報値による磐田市の65,606世帯。実際の請求額とは一致しません。

磐田で見落とされやすいのは、プロパンガスの家です

国の「電気・ガス料金支援」で値引きされるガスは、都市ガスだけです。LPガス(プロパンガス)と旧簡易ガスは対象外です。ここが磐田では効いてきます。

磐田市に都市ガスを供給しているのはサーラエナジーです。同社のページには、都市ガス事業を行っているのが豊橋市・豊川市・蒲郡市・田原市・浜松市・湖西市・磐田市の7市であること、そして「ガス管の整備状況によりましては、都市ガスをお届けできない場合もございます」と書かれています(2026年8月24日確認)。

ガス管が通っていない場所は、プロパンです。磐田市は2005年と2008年の合併で、旧竜洋町・旧豊田町・旧豊岡村・旧福田町・旧竜洋の区域を抱え込んだ市です。私が空き家の現地を見に行くと、家の裏手にプロパンのボンベが2本立っている光景に、市街地を離れるほど多く出会います。その家々には、国の値引きは1円も入っていません。

静岡県は、国の対象外となるLPガス利用者向けの制度を持っています。「LPガス料金高騰対策緊急事業費補助金」です。県のページ(更新日2026年7月23日)には「家庭・企業等の皆様の負担軽減のため、LPガス料金の値引きを行います」と書かれています。

正直に書きます。私は、この補助の値引き額と対象月を、県のページからたどりきれませんでした。県のページは静岡県LPガス協会のサイトへ外部リンクで送る作りになっており、その先で今回分の額を確認できていません(2026年8月24日時点)。額をお知りになりたい方は、契約しているガス販売店に直接お尋ねください。検針票に値引きが載っているかどうかも、そこで分かります。

評価——良い点と、注文したい点

この支援のやり方について、良いと思った点を先に3つ数えます。

一つめ。申請がいらないこと。これは大きい。申請が要る制度は、必ず取りこぼしが出ます。書類を書ける人、締切を知っている人、平日に窓口へ行ける人だけが受け取る形になる。今回は電力会社とガス会社が自動で引くので、契約がある限り全員に届きます。いちばん届きにくい層に届く制度設計は、この形しかありません。

二つめ。8月使用分だけ単価を上げたこと。低圧の電気で3.5円が4.5円、都市ガスで14.0円が18.0円。1円と4円の差ですが、月の使用量が跳ね上がる時期に厚くしてある。磐田の8月は、エアコンを止められる家のほうが少ない月です。使う量が増える月に単価も上げるのは、理屈が通っています。

三つめ。終わりの月を先に示していること。「2026年7月使用分~9月使用分」と、始まる前から書いてある。いつ終わるか分からない制度より、はるかに扱いやすい。事業者としては、これが助かります。

そのうえで、注文を2つ書きます。私は市を動かす側ではありません。磐田で商売をしている一事業者の要望として読んでください。

1つ。値引きの額を、検針票の独立した行に出してほしい。燃料費調整額の中に溶かしてしまうと、いくら引かれたかが分かりません。金額が見えない支援は、終わったことにも気づかれません。「支援による値引き ▲1,170円」と1行あるだけで、来月からその1,170円が戻ってくる、という予告になります。これは国と小売各社の両方への要望です。

2つ。磐田市には、LPガスの家に何が届いているのかを1枚にまとめてほしい。磐田市のサイトで物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金のページを開くと、令和8年度と令和7年度の実施計画が載っています(ページ更新日2026年6月30日)。掲載されている事業として並んでいるのは、いわた応援チケットプレミアム、レモン産地化の特産物産地形成支援、脱炭素投資促進の3つです。光熱費そのものを支える事業は、私が見た限りでは見当たりませんでした。見落としの可能性はあります。

市が独自に光熱費を配れ、という話ではありません。財源には限りがあります。求めたいのは、「都市ガスの家には国の値引きがあり、プロパンの家には県の補助がある。窓口はここ」という案内の1枚です。制度は知っている人だけが得をする。それが一番よくない、と私は思っています。

ここは私の考えです——請求書は、11月に効いてきます

ここから先は事実ではなく、私の考えです。今回、体験として書ける相談の場面が手元にないので、意見として書きます。

この支援が終わる痛みは、10月には来ません。10月分の検針にはまだ値引きが載っているからです。痛むのは11月です。しかも11月は、冷房から暖房へ切り替わっていく月でもある。使用量が下がりきらないまま、値引きだけが抜ける。「先月より安くなるはずなのに、下がらない」という形で効いてきます。

私が気になっているのは、そこで真っ先に節約に回されるのが冷暖房だ、ということです。実家の見守りや介護がからむご家庭では、その1台がそのまま体調に直結します。電気代は、家計の問題であると同時に、健康の問題です。

迷っている点も正直に書きます。私は、この値引きを「続けてほしい」と言い切れずにいます。燃料の値段が下がっていないのに補助だけ止めるのは酷だと思う一方で、いつまでも単価を国が埋め続ける形が健全だとも思えません。答えは持っていません。ただ、終わるのなら、終わることを世帯に伝えてから終わってほしい。それだけは言えます。

対案・結論——今日できる確認は、2つ

10月以降の請求が不安な方が、今日できる確認を2つ挙げます。どちらも5分あれば終わります。

一つめ。手元にある直近の検針票を出して、使用量の数字に3.5を掛けてください。7月使用分か9月使用分なら、その額がいま引かれている値引きです。8月使用分なら4.5を掛けます。そこで出た額が、11月分の検針から戻ってくる負担です。数字にしておけば、請求書が届いたときに慌てずに済みます。

二つめ。自分の家のガスが都市ガスかプロパンかを、確かめてください。台所の検針票の発行元を見るか、家の外にボンベがあるかどうかで分かります。プロパンだった方は、その場でガス販売店に「県の値引きは入っていますか」と1本電話をしてください。入っていないなら、それは制度がないからではなく、伝わっていないからかもしれません。

最後に一言。

実家じまいの相談で、光熱費の話が最初に出ることはまずありません。出てくるのは、たいてい話が終わりかけたころです。「毎月の払いが、じわじわきつくてね」と、ぽつりと言われます。大きな金額ではないから、相談の入り口にはならない。けれど、その家をどうするかの判断を、いちばん静かに押しているのはその部分です。

月に千円か二千円。年に直せば一万円台。それで住む場所を決める人はいません。ただ、迷っている人の背中を押すには、じゅうぶんな額です。だから私は、消える額を先に数字にしておくことをすすめます。額が分かっていれば、慌てて決めなくて済みます。

今日結論を出す必要はありません。検針票の使用量に3.5を掛けた数字を、1つメモしておく。それだけで、11月の請求書は「知っていた金額」に変わります。

よくある質問

Q. 電気・ガス料金支援は、結局いつまでですか。

2026年9月使用分までです。国の「電気・ガス料金支援」の公式サイトには対象期間が「2026年7月使用分~9月使用分」と書かれています(2026年8月24日確認)。中部電力ミライズは、これを検針の呼び方に直して「2026年8月分から10月分まで」と案内しています。10月使用分からの支援について、2026年8月24日時点で国からの発表は見当たりません。

Q. 検針票のどこを見れば、値引きの額が分かりますか。

「補助」という行は載りません。中部電力ミライズは、値引きを燃料費調整単価と都市ガスの原料費調整額から差し引く形で反映しています。つまり燃料費調整額の中に溶けています。自分で額を出すなら、検針票の使用量に単価を掛けてください。低圧の電気は7月・9月使用分が1kWhあたり3.5円、8月使用分が4.5円です。

Q. プロパンガス(LPガス)も値引きの対象ですか。

国の「電気・ガス料金支援」の対象は、低圧・高圧の電気と都市ガスだけです。LPガスと旧簡易ガスは対象外です。静岡県は国の対象外となるLPガス利用者向けに「LPガス料金高騰対策緊急事業費補助金」を設けており、県のページ(更新日2026年7月23日)に「家庭・企業等の皆様の負担軽減のため、LPガス料金の値引きを行います」と書かれています。額と対象月は静岡県LPガス協会のページで確認してください。

著者・大石浩之の顔写真

大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

磐田市で小さな不動産業を営み、実家じまい・空き家・相続・介護にからむご相談を一件ずつ受けています。 理念より、家計と段取りで考えます。 プロフィール

出典(2026年8月確認)

  • 国「電気・ガス料金支援」公式サイト(2026年8月24日確認。対象期間=「2026年 7月使用分※ ~ 9月使用分」。値引き単価=電気低圧が7月・9月使用分3.5円/kWh、8月使用分4.5円/kWh。電気高圧が7月・9月使用分1.8円/kWh、8月使用分2.3円/kWh。都市ガスが7月・9月使用分14.0円/㎥、8月使用分18.0円/㎥。支援を受けるための申請は不要で、小売事業者が請求額から自動で値引きする) https://denkigas-gekihenkanwa.go.jp/
  • 中部電力ミライズ「『電気・ガス料金支援』の実施に伴う電気料金および都市ガス料金の特別措置について」(2026年8月24日確認。対象期間=「2026年8月分から10月分まで(2026年7月使用分から9月使用分まで)」。契約電力が原則500kW以上の高圧は2026年8月使用分から10月使用分。対象=低圧または高圧の電気契約、および年間契約数量1,000万㎥未満の都市ガス契約〈発電事業者を除く〉。値引きは燃料費調整単価および原料費調整額から差し引く形で反映) https://miraiz.chuden.co.jp/gekihenkanwa/
  • 静岡県「補助制度」(エネルギー関係。ページ更新日2026年7月23日、2026年8月24日確認。「LPガス料金高騰対策緊急事業費補助金」として「家庭・企業等の皆様の負担軽減のため、LPガス料金の値引きを行います」と記載。詳細は一般社団法人静岡県LPガス協会のサイトへ外部リンク。本記事の執筆時点で、今回分の値引き額と対象月は県のページ上では確認できなかった) https://www.pref.shizuoka.jp/sangyoshigoto/kigyoshien/energy/1080104.html
  • 一般社団法人静岡県LPガス協会(2026年8月24日確認。静岡県LPガス料金高騰対策緊急支援事業の案内元。電話054-255-2451) https://www.shizuokalpg.or.jp/
  • サーラエナジー株式会社「都市ガス供給エリア」(2026年8月24日確認。「愛知県豊橋市と静岡県浜松市を中心に、東三河、遠州西部の両地域で都市ガス事業を行っています」。供給市=豊橋市・豊川市・蒲郡市・田原市・浜松市・湖西市・磐田市。「ガス管の整備状況によりましては、都市ガスをお届けできない場合もございます」) https://www.salaenergy.co.jp/corporation/city-area/
  • 磐田市「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」(ページ更新日2026年6月30日、2026年8月24日確認。令和8年度・令和7年度の実施計画を掲載。掲載されている事業=いわた応援チケットプレミアム、【レモン産地化】新たな特産物産地形成支援事業費補助金、脱炭素投資促進事業費補助金) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shiseijouhou/gyouzaisei/chihousousei/1015598.html
  • 本連載の既報:静岡県公表の令和7年国勢調査速報値による磐田市の人口160,548人・65,606世帯(記事0241)、猛暑の電気代と高齢者の見守り(記事0225)、燃料高が磐田の台所に届くまで(記事0204)、介護保険料と後期高齢者医療の通知(記事0209)、国保税の令和8年度改定(記事0089)

※本文中の「910円」「1,170円」「2,990円」「1,380円」「4,370円」「5,750円」「13,800円」「およそ1億9,600万円」「およそ5,970万円」は、公表されている値引き単価に月260kWh・月500kWh・月1,200kWh・都市ガス月30㎥という仮の使用量を掛けた、筆者のごく粗い概算です。市全体の額は、磐田市の65,606世帯すべてが月260kWhを使うという単純な仮定に基づくもので、実際の総額とは一致しません。実際の値引き額は各世帯・各事業所の使用量と契約内容によって変わります。制度・単価・対象期間は変更される場合がありますので、最新の内容は各公式サイトと、契約している電力会社・ガス販売店でご確認ください。