導入——3週間前に書いた注文を、まず取り消します
7月末に、私はこのサイトで「こども若者会議2026」のことを書きました。
そのとき、私はいちばん強い注文として、こう書きました。
「第1期の提言が、どうなったのかが見えない」。
初めて市政に意見した子どもに「言ったら、どうなったか」を返さないのは、「言っても無駄」を最初に学習させることだ——そう書きました。いまでも、その考えは変えていません。
ただ、事実のほうが間違っていました。
今回あらためて市のサイトをたどったところ、「こども若者会議2025」のページに、第1期の全5回と成果発表の記録が、日時・場所・活動内容つきで残っていました。ページの更新は2026年5月13日。私が前の記事を書いたときには、すでに公開されていたものです。
成果物も出ています。こどもの権利リーフレット「人生のおまもりBOOK」。PDFで、誰でもダウンロードできます。
私は、告知ページだけを見て「見えない」と書いていました。訂正します。
そのうえで、今日書きたいのは、もっと単純な話です。
その会議は、いま動いている最中です。そして、見学の受付はまだ開いています。
今日は8月17日。第3回は、明日です。
まず、事実を整理する——残っているのは、あと3回
こども若者会議2026は、市内在住・在学の小学5年生から中学生15人程度と、市内在住・在学・在勤の高校生から20歳代まで5人程度、合わせて約20人が集まる場です。メンバーの募集は6月19日で締め切られています。
今年度のテーマは「磐田市のよいところ・あったらいいな・こうなったらいいな」。
日程はこうです。
大事なのは、ここです。
話し合いの回は、9月26日で終わります。10月25日は発表、10月31日は振り返りです。中身をつくっているのは、いまこの8月から9月にかけての3回だけ。
残っているのは、8月18日(火)、9月5日(土)、9月26日(土)。いずれも午前9時から12時の予定です。
そして、市の告知には、こう書かれています。
「『どんなことを話しているの?』『参加してみたいけど、いきなりは不安…』そんな人は、まずは見学だけでも大歓迎!! 少しだけ意見を言ってみたい人も大歓迎! 会場の雰囲気を見て、来年度から参加してみませんか? 保護者の方の見学も歓迎します!」
この文章を、私はいいと思いました。「見学」と言いながら、「少しだけ意見を言ってみたい人も大歓迎」と足してある。役所の文章にしては、ずいぶん敷居を下げにきています。
申し込みは専用の電子フォームから。締切の記載はありません。フォームが難しければ、こども未来課(電話0538-37-2808)に電話でも受け付けています。
もう一つ。メンバーでなくても、見学に行けなくても、意見だけは出せます。
市のオンラインの意見の場「いわたのくらしラボ」に、今年度のテーマについて意見を募る場所が用意されています。集まった意見は会議の参考にされるとのことです。大人でも出せます。
第1期は、ちゃんと形になっていました
訂正のついでに、第1期(こども若者会議2025)がどこまでやったのかを書いておきます。これを知ると、今年の会議の見え方が変わります。
第1期のテーマは、次の二つでした。
- 「磐田市こども憲章〜未来へつなぐみんなの心得〜」の改訂
- 「こどもの権利と笑顔約束条例」と「こども憲章」の周知啓発リーフレットの作成
15人程度が、7月30日から11月16日まで、6回集まりました。記録を読むと、進み方がよくわかります。
- 第1回(7月30日・かたりあ)——アイスブレイクと、条例・憲章の学習。チーム分け
- 第2回(8月6日・豊田支所)——市民に聞いてみたい質問をつくる
- 第3回(8月25日・豊田支所)——憲章チームと条例チームに分かれ、「いわたのくらしラボ」で聞く質問を決定
- 第4回(9月20日・中央図書館)——くらしラボに寄せられた市民の意見を確認し、リーフレットのラフ案に落とす
- 第5回(10月25日・iプラザ)——最終案づくりと、紙芝居での振り返り
- 成果発表(11月16日・かたりあ)——市制20周年記念式典で、改訂した憲章をお披露目し、リーフレットを参加者に配付
ここで注目したいのは、第2回と第4回です。
子どもたちが「市民に質問する側」に回っている。自分たちで質問をつくり、オンラインで市民に投げ、返ってきた答えを次の会議で読んで、成果物に反映している。
これは、意見を「言わせてもらう」場ではありません。意見を「集める側」に立たせる設計です。
そして最後は、市制20周年の式典という、大人がいちばん集まる場所で発表しました。関係者だけの会議室ではなく、市の一番の晴れ舞台です。
私は前の記事で「発表会をまちに開いてほしい」と書きました。第1期は、すでにそうしていた。ここも訂正します。
この会議には、もう一つの文脈があります
今年の会議には、去年と違う背景が一つあります。ユニセフのCFCI事業です。
CFCIは「子どもにやさしいまちづくり事業」の略で、こどもや市民の声をもとに、何ができていて何が足りないかを可視化・分析し、市の取り組みに反映させるためのしくみだと市は説明しています。ユニセフとこども家庭庁の「こどものけんりプロジェクト」とも連携しているとのことです。
そして、こうあります。
磐田市は2025年12月9日、静岡県で初めて「ユニセフ日本型CFCI候補自治体」として承認されました。目標は、2年後の「実践自治体」の正式承認です。
つまり、こういうことです。
いま磐田で開かれているこども若者会議は、「静岡県で初めて」の看板を守れるかどうかがかかった取り組みでもあります。候補のまま2年が過ぎれば、それまでです。
私はこれを、皮肉として書いていません。むしろ逆で、外からの締切があるのは良いことだと思っています。
行政の「子どもの意見を聞く取り組み」は、放っておくと形だけになりがちです。2年後に外部から評価される予定がある、というのは、続ける理由として強い。不動産の仕事でも、検査の日程が決まっている工事はきちんと仕上がります。
磐田は、すでに8,500人以上に聞いています
もう一つ、知っておいたほうがいい数字があります。
市は「こども等への意見聴取」というページで、令和5年6月から令和6年10月までに行った20回ぶんの意見聴取を、対象者・テーマ・人数・形式つきで一覧にしています。「こどもの権利と笑顔約束条例」と「磐田市こども・若者スマイルプラン」をつくるまでの経過として、まとめられたものです。
中身を見ると、規模がかなり大きい。
- 小学生・中学生・保護者の生活状況調査=4,548人
- 小学5年生・中学2年生への「こどもの権利」調査=2,217人
- 15〜39歳の若者への調査=805人
- 就学前の子どもがいる世帯=1,049世帯
- 子育て支援センター・図書館・iプラザでの付箋=1,401枚
ほかにも、こども食堂、児童クラブ、放課後等デイサービス、多文化交流センター、教育支援センター、ひとり親家庭、磐田南高校の定時制、磐田農業高校——「集まりにくい人のところへ、市の側から出向いている」のがわかります。
人数がはっきり書かれているものだけを足すと、のべ8,573人。これに付箋1,401枚、1,049世帯、8組が加わります。
正直に言って、私はこの一覧を見て、認識を改めました。磐田は、子どもに意見を聞くことについては、かなり本気でやっているまちです。
評価——良い点を三つ、注文を三つ
まず、良い点を三つ。
1つ目。「見学だけでも大歓迎」と書いたこと。
これは小さいようで、大きい。役所の告知はふつう、参加者を募集するか、しないかの二択です。その中間に「見に来るだけ」の枠を置き、しかも「来年度から参加してみませんか」と次につないでいる。
私は不動産の内見を毎週やっています。買う気がなくても見に来ていい、と最初に言うかどうかで、来る人の数はまったく違います。これは商売でも行政でも同じです。
2つ目。会場を、市内で回していること。
iプラザ、豊田支所、かたりあ。第1期は中央図書館も使いました。市役所の会議室で7回やる、をしていない。
これは地味ですが効きます。子どもにとって「市役所」は遠い建物ですが、図書館やiプラザは行ったことのある場所です。場所が近いということは、心理的にも近いということです。
3つ目。子どもを「聞かれる側」だけにしていないこと。
第1期で、子どもたちは自分で質問をつくり、市民に投げ、返事を読んで、成果物に反映しました。意見を言う練習ではなく、意見を集めて形にする練習をしています。
これは、大人のパブリックコメントより一段上のことをやっています。正直、うらやましい。
そのうえで、注文を三つ。
1つ目。第1期の記録が、見つけにくい場所にあります。
私が前の記事で「見えない」と書いてしまったのは、私の確認不足です。それは認めます。
ただ、同じ間違いをする人は、たぶん私だけではありません。今年の告知ページ(こども若者会議2026)から、去年の記録ページへの案内は、サイドのメニューに小さく並んでいるだけです。
今年のページの冒頭に「去年はこれをつくりました」とリーフレットの表紙を1枚置くだけで、話がまったく変わります。見学を迷っている親にとって、これ以上の説明はありません。
2つ目。「こども等への意見聴取」のページが、令和6年10月で止まっています。
更新日は2025年3月18日。掲載されているのは条例と計画をつくるまでの経過で、そこで一覧が終わっています。
けれど、その後も市は聞き続けているはずです。第1期のこども若者会議も、くらしラボの意見募集も、この一覧には入っていません。
条例ができた後こそ、聞いた記録を積み上げる意味があります。CFCIの実践自治体を目指すなら、この一覧の継続そのものが評価される材料になるはずです。
3つ目。話し合いが9月26日で終わることが、どこにも強調されていません。
告知ページには日程表が載っています。けれど、「中身が決まるのは9月26日まで」とは書いていない。
これは、9月議会の一般質問の話とまったく同じ構図です。
締切が書かれていない募集は、事実上、締め切られているのと同じです。10月25日の発表を見て「意見を出したかった」と思っても、そのときにはもう終わっています。
対案・結論——四つ、提案します
第一に、告知ページに「残り◯回」と書くこと。
いまなら「残り3回(8月18日・9月5日・9月26日)」です。日程表を出すことと、残りを数えて見せることは、別のことです。後者のほうが、人は動きます。
第二に、去年の成果物を、今年のページの一番上に置くこと。
「人生のおまもりBOOK」はよくできています。子どもがつくった、子どものためのリーフレットです。これを見せずに「見学しませんか」と言うのは、もったいない。
第三に、9月26日のあと、集まった意見を一度そのまま出すこと。
10月25日の発表は、まとまった成果です。それとは別に、「こんな意見が出ました」という生のリストを、短くていいので出してほしい。
まとめる前の言葉には、まとめたあとには残らないものが混ざります。「あったらいいな」を子どもの言葉のまま読めることには、意味があります。
第四に、これは私たち大人の宿題です。
「いわたのくらしラボ」の意見募集は、いま開いています。大人でも出せます。
私は前の記事で「一緒に一行書きましょう」と書いておいて、正直に言うと、まだ書いていません。だから今日書きます。この記事を上げたあとに。
最後に一言。
私は不動産の仕事で、実家じまいの相談を受けます。そこで何度も聞くのが、この言葉です。
「親が元気なうちに、聞いておけばよかった」。
家をどうしたかったのか。誰に継がせたかったのか。聞くのは、いつでもできると思っているうちに、聞けなくなります。
子どもの意見も、たぶん同じです。
小学5年生が「磐田のあったらいいな」を話せる時期は、そんなに長くありません。中学に上がれば部活があり、高校に入れば通学で市外へ出て、大学や就職でこのまちを離れる子もいます。
いま会議室に座っている約20人は、いまの磐田を、いまの言葉で話せる最後のタイミングにいます。
8月18日、9月5日、9月26日。午前9時から12時。会場はiプラザ、豊田支所、かたりあ。
見学は、保護者も歓迎だそうです。申込フォームが面倒なら、電話でもいいと市は書いています。
3時間、子どもの話を聞くだけの朝を、この夏に一度。悪くない予定だと思います。
出典(2026年8月確認)
- 磐田市「こども若者会議2026」(ページ更新日2026年7月23日。メンバー=市内在住・在学の小学5年生から中学生15人程度、市内在住・在学・在勤の高校生から20歳代まで5人程度。第1回7月29日〈水〉、第2回8月5日〈水〉、第3回8月18日〈火〉、第4回9月5日〈土〉、第5回9月26日〈土〉、発表10月25日〈日〉、振り返り10月31日〈土〉。活動時間9時から12時予定、活動場所は市内各所〈iプラザ、豊田支所、かたりあ〉。テーマ=「磐田市のよいところ・あったらいいな・こうなったらいいな」。見学申込みフォームで見学を受付中、保護者の見学も歓迎。「いわたのくらしラボ」で意見を募集し、集まった意見は会議内の参考にする。メンバー募集は6月19日で締切) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/1006547/1014654/1015784/1016360.html
- 磐田市「こども若者会議2025」(ページ更新日2026年5月13日。第1期=小学5年生から20歳代15人程度。第1回7月30日〈かたりあ〉、第2回8月6日〈豊田支所〉、第3回8月25日〈豊田支所〉、第4回9月20日〈中央図書館〉、第5回10月25日〈iプラザ〉、成果発表11月16日〈かたりあホール、市制20周年記念式典〉。令和7年度テーマ=「磐田市こども憲章〜未来へつなぐみんなの心得〜」の改訂、「こどもの権利と笑顔約束条例」と「こども憲章」の周知啓発リーフレットの作成。成果物=こどもの権利リーフレット「人生のおまもりBOOK」〈PDF〉。第2回・第3回で市民に聞く質問を作成し、第4回で「いわたのくらしラボ」に寄せられた意見を確認して成果物に反映) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/1006547/1014654/1015784/1015223.html
- 磐田市「こども等への意見聴取」(ページ更新日2025年3月18日。「磐田市こどもの権利と笑顔約束条例」と「磐田市こども・若者スマイルプラン」を策定するまでの経過として、令和5年6月〜令和6年10月に実施した20回の意見聴取を対象者・テーマ・人数・形式つきで掲載。小中学生・保護者の生活状況調査4,548人、小5・中2への「こどもの権利」調査2,217人、若者〈15〜39歳〉805人、就学前の子どもがいる世帯1,049世帯、子育て支援センター・図書館・iプラザでの付箋1,401枚、保護者523人、磐田南高校定時制36人、磐田農業高校16人、ひとり親家庭133人ほか) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/1006547/1014654/1013583.html
- 磐田市「ユニセフ日本型子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)」(ページ更新日2025年12月16日。令和7年12月9日、静岡県初の「ユニセフ日本型CFCI候補自治体」として承認。2年後の「実践自治体」の正式承認を目指す。ユニセフとこども家庭庁の「こどものけんりプロジェクト」と連携。こどもや市民の声をもとに、できていることと足りないことを可視化・分析するツールと説明) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/1006547/1014654/1015991/index.html
- 磐田市「磐田市こどもの権利と笑顔約束条例」(ページ更新日2025年3月26日。令和7年5月5日施行。「こどもが心から安心でき、取り巻く全ての世代の人が幸せを実感できるまち」の実現を掲げる。本文・解説書をPDFで公開) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/1006547/1014654/1014867.html
- 磐田市「こどもの権利」(条例、普及啓発、こども若者会議、こどもの権利フォーラム、こども等への意見聴取、CFCI事業の各ページを束ねる入口) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/1006547/1014654/index.html
- 磐田市「オンラインプラットフォーム(いわたのくらしラボ/Liqlid)」(こども若者会議2026のテーマについて意見を募集中) https://iwata-city.liqlid.jp/ / 問い合わせ=こども部 こども未来課 電話0538-37-2808(iプラザ3階、受付は午前8時30分〜午後5時15分)
※日程・会場・受付方法は変更される場合があります。見学の申し込みについて、本記事執筆時点で市の告知ページに締切の記載は確認できませんでしたが、締切が存在しないという意味ではありません。参加を検討される場合は事前にこども未来課(電話0538-37-2808)にご確認ください。「のべ8,573人」は市が公表した一覧のうち人数が明記されているものを筆者が合計した数値で、付箋の枚数・世帯数・組数は含んでいません。重複して回答した人がいる可能性も除いていません。本記事の冒頭で訂正しているとおり、2026年7月27日公開の記事における「第1期の提言がどうなったのか見えない」という記述は、筆者の確認不足によるものでした。CFCIの実践自治体承認の見通し、告知ページの構成に関する提案は筆者個人の意見であり、磐田市が検討していると確認したものではありません。最新の情報は磐田市公式サイトでご確認ください。
