Q. 二地域居住と移住は、何が違うのですか。

移住は主な生活拠点を別地域へ移す選択、二地域居住は主な拠点を残して別地域にも生活拠点を持つ選択です。静岡県の取組団体は2026年8月31日時点で10市町ですが、磐田市は含まれません。空き家を使うなら、名称より移動費、二軒分の維持費、管理担当を先に比べます。

二地域居住と移住の違いは、主な生活拠点を残すか

二地域居住と移住の違いは、今の主な生活拠点を残したまま、別地域にも暮らしの足場を持つかどうかです。静岡県は二地域居住を、主な生活拠点とは別の地域にも生活拠点を設ける暮らし方として説明しています。

県のページは、移住そのものを定義していません。そこでこの記事では、主な生活拠点を別地域へ移す選択を「移住」と整理します。住民票、滞在日数、所有か賃借かだけで、すべての世帯を一律に線引きするものではありません。

例えば、磐田駅周辺の住まいを主な拠点として残し、森町にも定期的に暮らす場所を持つなら、二地域居住として考えやすい形です。磐田の家を引き払い、森町を主な生活拠点にするなら、この記事の整理では移住です。

二地域居住は「移住のお試し」とは限りません。仕事、子育て、親の見守り、地域との関わりを理由に、二つの拠点を持つ状態そのものを続ける世帯も想定されます。磐田への移住で何を伝えるかを考えた記事と読み分けると、違いがはっきりします。

移住は主な生活拠点を別地域へ移し、二地域居住は主な拠点を残したまま別地域にも生活拠点を持つという違いを並べた図
図1 この記事で使う整理。実際の手続きやサービスの扱いは個別条件で確認します。

静岡県の取組は10市町、磐田市は入っていない

静岡県が2026年9月1日に更新した資料では、二地域居住の取組団体は2026年8月31日時点で10市町です。2025年度末の7市町から3市町増えました。一方、特定居住促進計画を策定した団体は5市町です。

10市町は、下田市、東伊豆町、河津町、松崎町、三島市、長泉町、静岡市、焼津市、藤枝市、森町です。三島市と長泉町は共同の取組として同じ見出しに載っていますが、団体数では二つに数えます。

意外なのは、西部地域の掲載が森町だけで、磐田市が10市町に入っていないことです。これは磐田で二地域居住ができないという意味ではありません。県が公開した取組団体の一覧に入っていない、という事実です。

10市町すべてが同じ計画を策定済みでもありません。取組団体10市町と、特定居住促進計画を策定した5市町は、別の数字です。県内一律の補助が10市町で始まった、と読むのも誤りです。

10市町の取組は、住まいの補助だけではない

静岡県内10市町の取組は、住居費の軽減、相談窓口、体験、仕事、地域との橋渡しまで内容が分かれています。二地域居住を、安い空き家を買う話だけに縮めると、県資料の狙いを外します。

賀茂地域では、下田市が地元住民との橋渡し役を育て、東伊豆町が移動費・住居費の負担軽減を実証します。河津町は継続的な関係を育てるプログラム、松崎町はニーズ調査と住民向けワークショップを進めます。

三島市と長泉町は共同で相談窓口、滞在施設、移動手段を案内します。静岡市は首都圏企業の社員向けプログラム、焼津市は体験ツアーや託児サービスの実証、藤枝市は短時間の仕事とのマッチングや空き家情報の整理を掲げています。

森町は、都市部のファミリー層への調査、推進体制、コーディネーターの整備を進めます。磐田から県内先行例を見るなら、距離の近い森町は外せません。ただし、森町の取組をそのまま磐田市の制度として利用できるわけではありません。

静岡県の二地域居住取組団体10市町を賀茂、東部、中部、西部の4地域に分け、特定居住促進計画の策定団体が5市町であることを示す図
図2 静岡県の掲載内容を地域別に整理。取組団体数と計画策定団体数は一致しません。

良い点——定住だけを唯一の答えにしなかった

静岡県の取組で良い点は、すべての地域で定住人口を増やすという一つの答えに寄せず、地域と継続して関わる暮らし方を正面から扱ったことです。人口減少の中で、住むか離れるかの二択を増やさずに済みます。

良い点は二つあります。一つめは、住まいだけでなく、仕事、移動、託児、地域とのつながりを並べたことです。家が見つかっても、毎回の交通費や子どもの預け先が決まらなければ、二つの拠点は続きません。

二つめは、相談役を置く市町があることです。空き家の持ち主、地域、利用したい世帯の間には、生活時間も言葉も違います。鍵を渡して終わりではなく、暮らし始める前後をつなぐ人が必要です。

磐田の空き家と移住支援を扱った記事では、呼び込みと住まいの受け皿を一本につなぐ必要を書きました。二地域居住が加われば、磐田との関わり方を一段増やせます。ここは前向きに受け止めます。

注文——費用と空き家管理まで同じ表で見せてほしい

一事業者から県と市町へ注文したいのは、体験企画の案内だけでなく、二つの家を維持する費用と管理の分担を同じ資料で見せることです。始める魅力に加え、続ける負担まで見えて初めて判断材料になります。

住まいを二つ持てば、家賃や取得費だけでなく、水道光熱費、通信費、火災保険、固定資産税、草木の手入れ、換気、移動費が重なります。所有か賃借か、月に何日使うかで金額は変わるため、一律の得・損は言えません。

空き家を使う場合は、名義、道路、境界、雨漏り、給排水、残置物も確認が要ります。磐田市の空き家バンクと補助金の違いで整理した通り、物件の紹介と補助制度は別物です。登録物件なら自動的に改修費が出るわけではありません。

地域らしさを伝える工夫も要ります。空き家を磐田らしさで見せる方法を考えた記事では、スタジアムとの距離や暮らしの使い方を挙げました。二つめの拠点を探す人には、床面積より「そこで何を続けられるか」が効くことがあります。

磐田で考えるなら、今日書き出すのは五つ

磐田と別地域の二地域居住を考える世帯が今日できる確認は、利用日数、移動費、二軒分の固定費、管理担当、やめる条件の五つを書き出すことです。物件を探すのは、その後で間に合います。

第一に、月に何泊するか。第二に、一往復の交通費と時間はいくらか。第三に、使わない月にも出る費用はいくらか。第四に、草刈り、換気、郵便物、台風後の見回りを誰が担うか。第五に、仕事や介護の事情が変わったら、いつ契約を見直すかです。

この五つは地味ですが、空き家の内覧より先に決める価値があります。二地域居住は、二軒目を持った日ではなく、行き来と管理を無理なく続けられたときに成り立つ暮らしだからです。

私には、二地域居住を自分で続けてきた体験記録がありません。ここからは、磐田で家の相談を受ける不動産業者としての意見です。自分の体験談のようには書きません。

二地域居住は、移住の予備校ではない。いずれ一つの地域へ移る世帯もあれば、二つの拠点を持ち続ける世帯もあります。移住する覚悟の有無で測ると、せっかく増えた暮らし方を、また一つの正解へ押し込めてしまいます。

私にも迷いがあります。空き家が使われる入口は増やしたい。一方で、管理の薄い家が二つに増えるだけなら、持ち主にも地域にも負担が残ります。だから始める人数より、一年後も管理できているかを確かめる方が大切だと考えます。

最後に一言。磐田へ移るか、磐田を残して別地域にも拠点を持つか。今日、結論を出す必要はありません。私は、まだ決めない自由も残したい。五つの負担を書き出し、どちらを選んでも困らない材料を一つ増やしてください。

よくある質問

Q. 二地域居住と移住は何が違いますか。

この記事では、主な生活拠点を別地域へ移すのが移住、主な生活拠点を残したまま別地域にも生活拠点を持つのが二地域居住、と整理します。静岡県は後者を、主な生活拠点とは別の地域にも生活拠点を設ける暮らし方として案内しています。

Q. 静岡県の10市町に磐田市は含まれますか。

2026年8月31日時点で静岡県が掲載する10市町に、磐田市は含まれていません。下田市、東伊豆町、河津町、松崎町、三島市、長泉町、静岡市、焼津市、藤枝市、森町です。磐田では県内の先行例として読む必要があります。

Q. 二地域居住で空き家を使う前に何を確認しますか。

購入や賃借を決める前に、年間の利用日数、移動費、水道光熱費、草木や換気を含む管理担当、災害時の連絡先を紙に書き出します。空き家バンクへの登録と補助制度は別なので、物件ごとの対象条件も公式窓口で確認します。

著者・大石浩之の顔写真

大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

磐田市で小さな不動産業を営み、実家じまい・空き家・相続・介護にからむご相談を一件ずつ受けています。理念より、家計と段取りで考えます。 プロフィール

出典(2026年9月確認)

※掲載市町、計画、支援内容は変更される場合があります。住民票、税、行政サービス、契約、物件ごとの利用条件は一律ではありません。最新情報は県・各市町の公式窓口へ、登記や税の個別判断は専門家へご確認ください。