導入——採用の話を、もう一度
昨日の記事で、私は市の土木技術職員の採用試験の結果を書きました。申込5人、合格4人。「土木技師不足」と市の資料に書いてあったことへの、答え合わせです。
その流れで市の新着情報を眺めていて、もう一つ気づいたことがあります。今月、市は職員の募集をもう3件出しているのです。学校給食室の栄養士、学校用務員、そして校内教育支援センターの相談員。いずれも会計年度任用職員——いわゆる非正規の公務員の募集です。
私は小さな会社ですが、人を雇う側でもあります。求人を出し、条件を書き、応募を待つ。あの緊張感は知っているつもりです。だから今日は、この3件を並べて読んでみます。市役所と学校を支えている、もう一つの人手の話です。
まず、3件を並べてみる
市の告知から、条件を書き出します。
①学校給食室の栄養士(1名)。仕事は給食運営の事務処理、補助業務、アレルギー対応の管理など。勤務は月〜金の週5日、8時30分〜17時(休憩60分)。任用期間は令和8年9月1日から令和9年3月31日まで。報酬は管理栄養士の免許があれば月額222,087円、栄養士免許で210,495円。賞与、通勤手当(2km以上)、年次有給休暇があり、健康保険・厚生年金・雇用保険にも加入します。
②学校用務員(1名)。勤務先は磐田中部小学校。仕事は敷地の美化、教室やトイレの清掃、施設・備品の修理などの維持管理、給食の配膳と片付けの補助など。勤務は8時〜16時15分または8時15分〜16時30分(休憩45分)。任用期間は令和8年8月下旬から令和9年3月31日まで。月給197,160円、通勤手当は距離に応じて月5,800〜25,400円、賞与は12月のみ。土日祝休み、年次有給休暇10日。学歴・経験は問わず、必要なのは普通自動車免許だけです。そして応募の締切は令和8年7月30日——明日です。
③校内教育支援センターの相談員。勤務先は市内の公立中学校。仕事は児童生徒の相談・支援、保護者の相談・支援、教職員との連絡・情報共有。つまり、不登校の子どもたちを支える仕事です。勤務は月〜金で1日4時間(週20時間以内)、原則として長期休業中は勤務なし。資格は「心身ともに健康で、不登校児童生徒への支援に理解のある者」で、教員免許は不要です。
評価——良い点と、注文したい点
まず、良い点を3つ。
1つ、条件が具体的に書かれていることです。栄養士も用務員も、月額の報酬、勤務時間、休憩、通勤手当、賞与の有無まで書いてある。求人を出す側から見て、これはきちんとした募集です。2つ、社会保険に加入すること、有給休暇があること。非正規というと待遇が曖昧に扱われがちですが、ここは明記されています。3つ、学歴・経験を問わない枠があること。用務員の募集は、普通自動車免許さえあれば挑戦できます。地域で働きたい人に開かれた入口です。
そのうえで、注文が3つあります。
1つ。これがいちばん大きい。3件とも、任用期間が令和9年3月31日で切れることです。会計年度任用職員は、その名のとおり会計年度ごとに任用される仕組みで、これは国が定めた制度です。磐田市だけの問題ではありません。それは分かったうえで、あえて書きます。給食のアレルギー対応も、学校の清掃も、不登校の子どもの支援も、毎年必要な仕事です。むしろ、切れ目があってはいけない仕事です。それを、毎年切れる雇用で回している。人を雇う側の実感で言えば、「3月まで」と書かれた求人に、生活を賭けて応募してくれる人は限られます。
2つ。相談員の募集に、報酬の記載が見当たらなかったことです。私が確認した範囲では、募集人数と任用期間、そして報酬額がページに書かれていませんでした。国保税の記事で私は「費用が見えないことが、制度から人を遠ざけている」と書きました。求人も同じです。いくらもらえるか分からない仕事に、人は応募できません。まして不登校支援は、責任も専門性も重い仕事です。
3つ。不登校支援が、週20時間以内のパート勤務であること。子どもとの関係づくりは、時間の積み重ねでできています。教員免許を求めない設計は間口を広げる工夫として理解できますが、その分、経験を積んだ人に長く続けてもらう仕組みが要るはずです。1日4時間・年度で区切り、という条件で、その継続性をどう担保するのか。
対案・結論——「毎年必要な仕事」を、毎年切らない
提案は3つです。
第一に、募集要項に、報酬・任用期間・募集人数を必ず書くこと。栄養士と用務員の募集には書いてあります。ならば相談員の募集にも書けるはずです。応募する側は、生活が成り立つかどうかで判断します。書かれていない条件は、応募をためらわせるだけです。
第二に、継続の見通しを示すこと。栄養士の募集には「更新は募集状況と勤務実績で判断」と書かれています。ここを一歩進めて、「この仕事は来年度以降も継続の予定です」と書けるなら、書いてほしい。制度上は1年ごとでも、仕事そのものは続くのですから。その一行の有無で、応募者の心理はまったく変わります。
第三に、市を支える人のうち、何人が有期雇用なのかを公表すること。昨日の記事で、私は土木職について「必要数を示さない募集は、危機感も魅力も伝わらない」と書きました。同じことです。学校給食、清掃、相談支援、窓口——市民が日々接する現場を、正規と有期がそれぞれ何割ずつ支えているのか。この数字は、市政を考えるうえでの基礎資料になります。
最後に一言。私は介護の事業もやっているので、有期の求人を出す難しさを知っています。「3月まで」と書けば、応募は確実に減る。それでも書かなければならない事情も、雇う側にはあります。だから今日は、市を責める記事にはしませんでした。これは磐田だけの話ではなく、日本中の役所と学校で起きていることです。ただ、そのうえで一つだけ言わせてください。給食のアレルギー対応をする人、学校を掃除する人、教室に行けない子の話を聞く人。この人たちは、まちの土台です。消防団のときも、土木技師のときも書きました。担い手は、待遇と誇りの両方で決まります。3月で切れる紙に「あなたの仕事は、まちの土台です」と書き添えられるかどうか。案外そこが、分かれ目なのだと思います。
出典(2026年7月確認)
- 磐田市「教育総務課学校給食室の会計年度任用職員(栄養士)を募集します」(1名、令和8年9月1日〜令和9年3月31日、管理栄養士 月額222,087円/栄養士 月額210,495円、賞与・通勤手当・社会保険あり) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shiseijouhou/shokuin_saiyou/1007738/1014045.html
- 磐田市「会計年度任用職員(学校用務員)を募集します」(1名、磐田中部小学校、令和8年8月下旬〜令和9年3月31日、月給197,160円、賞与12月のみ、締切 令和8年7月30日) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kyoiku/saiyou/1014505.html
- 磐田市「会計年度任用職員(校内教育支援センター相談員)を募集します」(市内の公立中学校、不登校児童生徒と保護者の相談・支援、1日4時間・週20時間以内、教員免許不要。募集人数・任用期間・報酬の記載は確認できず) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kyoiku/saiyou/1014534.html
※募集条件は変更される場合があります。応募の詳細は磐田市公式サイトおよび担当課へご確認ください。会計年度任用職員は地方公務員法等に基づく国の制度であり、本記事の指摘は磐田市固有の運用のみを問題とするものではありません。