この記事について。2026年5月に要約だけで公開した記事を、市の公表資料をあたって書き直しました(本文の確認は2026年8月)。公開日は当時のままにしています。
導入——「いくら入るか」より先に、「いつ入るか」で困る
不動産の仕事をしていると、住まいの相談の中に家計の話が混ざってきます。とくに賃貸の保証や家賃の相談では、毎月の収入がいくらかだけでなく、それがいつ、どういう形で入るのかが問題になります。
ひとり親の家庭でよく行き当たるのが、ここです。児童扶養手当は毎月は振り込まれません。2か月分をまとめて、年に6回入ります。年額で見れば同じでも、月々の家賃や給食費の引き落としは毎月来ます。入りは2か月に1度、出は毎月。この時間差が、家計を苦しくします。
今日は、磐田市のひとり親家庭が使える制度を、金額と時期と窓口で並べます。制度の善し悪しを論じる前に、まず、何があるのかを一覧にしておきたいからです。
窓口は、ほとんどが同じところです。こども部 こども未来課 給付グループ(電話0538-37-4896)。迷ったらここに電話をかければいい、という意味では、磐田は分かりやすい方だと思います。
毎月の土台——児童扶養手当
いちばん大きいのが児童扶養手当です。
対象は、父または母と生計を同じくしていない児童が育成されるひとり親家庭で、18歳到達後の最初の3月31日まで(中度以上の障害がある場合は20歳未満)の児童を監護する親、または養育者です。
月額は、令和8年4月以降で次のとおりです。
児童1人のとき、全部支給48,050円。一部支給は48,040円から11,340円までの幅。
2人のとき、全部支給59,400円。一部支給は59,380円から17,020円。
3人のとき、全部支給70,750円。一部支給は70,720円から22,700円。
「一部支給」に幅があるのは、所得に応じて金額が変わるからです。所得制限は令和6年11月以降、扶養親族0人の場合で全部支給が所得690,000円、一部支給が2,080,000円という水準になっています。
そして、支払いの時期です。5月、7月、9月、11月、1月、3月の年6回。5月に3〜4月分、7月に5〜6月分、というように、2か月分をあとから受け取ります。
申請は、事前にこども未来課へ問い合わせたうえで、認定請求書と戸籍、マイナンバーカードなどの必要書類を提出する流れです。
病院の窓口——ひとり親家庭等医療費
次が医療費です。
対象は、20歳未満の児童を扶養しているひとり親家庭など(所得税非課税世帯)で、健康保険に加入している養育者と児童。離婚した児童、親が死亡した児童、親に障害がある児童などが含まれます。
助成の中身は、受診したときの自己負担金のうち、保険診療分。入院・通院を問いません。高額療養費や付加給付金がある場合は、その分を差し引きます。
「所得税非課税世帯」という条件は、16歳未満の扶養親族1人あたり38万円、16歳から18歳の扶養親族1人あたり25万円を控除したうえで判定されます。単純に年収だけで諦めない方がいい、ということです。
この制度がいちばん効くのは、金額そのものより「受診をためらわなくなる」点だと思います。子どもの具合が悪いときに、財布を見て迷う時間が消える。これは家計の数字には出てきませんが、大きい。
働き方を変えるあいだの生活費——自立支援給付金
ここからが、意外に知られていない制度です。
高等職業訓練促進給付金。資格を取るために学校へ通うあいだ、毎月お金を受け取れます。市内在住で20歳未満の児童を養育する母子家庭の母・父子家庭の父で、児童扶養手当の受給などの要件を満たす方が対象です。
金額は、住民税非課税世帯で月額100,000円(最終年は月額140,000円)、課税世帯で月額70,500円(最終年は月額110,500円)。修了したときには修了支援給付金が非課税50,000円、課税25,000円。支給期間は修業期間の全期間で、上限4年です。
もうひとつが自立支援教育訓練給付金で、こちらは講座の受講費を補助するものです。一般教育訓練は受講費の60%(上限200,000円)、専門実践教育訓練は60%(上限400,000円×修学年数、最大1,600,000円)。追加支給として85%相当(上限600,000円×修学年数、最大2,400,000円)という枠もあります。
どちらも、事前相談が必須です。ここは太字で書いておきたい。講座に申し込んでから、資格の勉強を始めてから相談しても遅い、ということが起こり得ます。「やろうかな」と思った段階で、まず0538-37-4896に電話する。それが正解です。
養育費——「口約束」を「紙」にする費用を、市が持つ
これは、私が現場で見てきた話とまっすぐつながる制度です。
離婚のときに養育費の取り決めをしても、口約束のままだと、払われなくなったときに何もできません。実家じまいや住まいの相談で、その「あとから効いてくる差」を何度も見ました。
磐田市のひとり親家庭養育費確保支援助成金は、その取り決めを法的な形にするときの費用を助成します。
公正証書(強制執行認諾約款付き)による取り決めで上限43,000円。家庭裁判所への調停・裁判の費用で上限76,000円。対象になるのは、公証人手数料、収入印紙代、戸籍謄本などの添付書類の取得費用、郵便切手代です。
対象は、配偶者のない方で、養育費の取り決めの対象となる児童の親権者であり、現にその児童を扶養している方。市税の完納など、いくつかの要件があります。
そして期限があります。取り決めが確定した日の属する月の翌月から6か月以内。ここを過ぎると受けられません。離婚の手続きが一段落して、ほっとしているあいだに6か月は過ぎます。
ほかにも、母子・父子・寡婦福祉資金、ひとり親家庭子育てサポート事業助成金、通勤定期の割引といった制度があり、市は「ひとり親家庭等のしおり」という冊子も用意しています。
評価——良い点を三つ
1つ、窓口が1か所に集まっていること。手当も、医療費も、資格の給付金も、養育費の助成も、問い合わせ先はこども未来課給付グループです。制度ごとに階を移動させられる自治体もあるなかで、これは利用者にとって明確な利点です。
2つ、「お金を配る」だけで終わっていないこと。高等職業訓練促進給付金は、資格を取って収入そのものを上げるための制度です。月10万円を最大4年間というのは、腰を据えて学べる水準です。手当で今日をしのぐ制度と、数年後の収入を変える制度が、両方そろっている点は評価したい。
3つ、養育費という「言いにくい話」に市が手を出していること。公正証書をつくるには数万円かかります。その数万円が惜しくて口約束のままにする人が、現実にいます。そこに上限43,000円を出すというのは、金額以上に「取り決めは紙にしておきなさい」という市からのはっきりした助言になっています。
注文——三つ
1つ。「事前相談が必須」を、もっと目立たせてほしい。自立支援給付金は、順番を間違えると受けられません。制度の説明の中に一文で書くのではなく、入口に大きく置いてほしい。損をするのは、いちばん急いでいる人です。
2つ。6か月の期限を、離婚届の窓口で伝えてほしい。養育費助成の6か月は、当事者にとって「知らないうちに過ぎる」典型です。市の窓口で離婚の手続きをする場面があるなら、そこで一枚の紙を渡すだけで、取りこぼしは確実に減ります。
3つ。「2か月に1度」の資金繰りを、支援の話に含めてほしい。年6回という支払い方は国の制度なので、市が単独で変えられるものではありません。だからこそ、入金のない月をどう乗り切るかという相談に、市の側から先回りして触れてほしいと思います。福祉資金の貸付や、支払い時期の相談も含めて、「制度はあります」で終わらせない伝え方ができるはずです。
結論——制度は、そろっている。あとは順番と時期の問題
並べてみて分かったのは、磐田のひとり親支援は、制度の品ぞろえとしては十分にあるということです。毎月の土台、病院の窓口、収入を変えるための学び直し、養育費の法的な裏づけ。必要なものは、ひととおりそろっています。
足りないのは、金額ではなく順番と時期の伝え方です。先に相談しないと受けられない制度がある。6か月で締め切られる制度がある。入金が2か月に1度しかない月がある。この3つは、制度の一覧表からは読み取れません。
ひとり親の家計は、いま困っているときほど、調べる時間がありません。だから最後にもう一度だけ書きます。迷ったら、こども部 こども未来課 給付グループ、電話0538-37-4896。この番号ひとつを覚えておけば、たいていの入口につながります。
出典(2026年8月確認)
- 磐田市「児童扶養手当」(対象=父または母と生計を同じくしていない児童が育成されるひとり親家庭で、18歳到達後最初の3月31日まで〈中度以上の障害は20歳未満〉の児童を監護する親または養育者。支給月額〈令和8年4月以降〉=1人:全部支給48,050円・一部支給48,040〜11,340円、2人:全部支給59,400円・一部支給59,380〜17,020円、3人:全部支給70,750円・一部支給70,720〜22,700円。所得制限〈令和6年11月以降・扶養親族0人〉=全部支給690,000円、一部支給2,080,000円。支払時期=5月〈3〜4月分〉・7月〈5〜6月分〉・9月〈7〜8月分〉・11月〈9〜10月分〉・1月〈11〜12月分〉・3月〈1〜2月分〉。申請=事前にこども未来課へ問い合わせ後、認定請求書と戸籍、マイナンバーカード等を提出。問い合わせ=こども部 こども未来課 給付グループ 電話0538-37-4896) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kosodate_kyouiku/kosodate_hojo_josei_yuushi/hitorioya_shien/1001780.html
- 磐田市「ひとり親家庭等医療費」(対象=20歳未満の児童を扶養しているひとり親家庭など〈所得税非課税世帯〉で健康保険に加入している養育者と児童。助成内容=「医療機関等の受診時の医療費の自己負担金のうち保険診療分を助成」、入院・通院を問わない、高額療養費や付加給付金がある場合はその額を差し引く。所得判定=16歳未満の扶養親族1人当たり38万円、16歳から18歳の扶養親族1人当たり25万円を控除。申請=養育者の保険情報、口座情報、所得課税等証明書、戸籍謄本を提出。問い合わせ=こども部 こども未来課 給付グループ 電話0538-37-4896) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kosodate_kyouiku/kosodate_hojo_josei_yuushi/hitorioya_shien/1001767.html
- 磐田市「ひとり親家庭自立支援給付金」(自立支援教育訓練給付金=市内在住で20歳未満の児童を養育する母子家庭の母・父子家庭の父で事前相談を受けた方、一般教育訓練は対象講座の60%相当額〈上限20万円〉、専門実践教育訓練は60%相当額〈上限40万円×修学年数、最大160万円〉、追加支給は85%相当額〈上限60万円×修学年数、最大240万円〉、支給期間は講座受講期間中、事前相談必須。高等職業訓練促進給付金等事業=市内在住で20歳未満の児童を養育する母子家庭の母・父子家庭の父で児童扶養手当受給等の要件を満たす方、月額は非課税世帯100,000円〈最終年140,000円〉・課税世帯70,500円〈最終年110,500円〉、修了支援給付金は非課税50,000円・課税25,000円、支給期間は修業期間の全期間〈上限4年〉、事前相談必須。問い合わせ=こども部 こども未来課 給付グループ 電話0538-37-4896) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kosodate_kyouiku/kosodate_hojo_josei_yuushi/hitorioya_shien/1001773.html
- 磐田市「ひとり親家庭養育費確保支援助成金」(対象=「配偶者のない者で、養育費の取決めの対象となる児童の親権者で現に当該児童を扶養している方」であり市税完納などの要件を満たす方。助成=公正証書による取決め〈強制執行認諾約款付き〉は上限43,000円、家庭裁判所への調停・裁判費用は上限76,000円。対象費用=公証人手数料、収入印紙代、戸籍謄本等の添付書類取得費用〈交付手数料など〉、郵便切手代。申請期限=「養育費の取決めが確定した日の属する月の翌月から6か月以内」。問い合わせ=こども部 こども未来課 給付グループ 電話0538-37-4896) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kosodate_kyouiku/kosodate_hojo_josei_yuushi/hitorioya_shien/1012223.html
- 磐田市「ひとり親家庭などへの支援」(掲載制度=離婚を考えているお母さん、お父さんへ/養育費の取決めの重要性/ひとり親家庭等のしおり/児童扶養手当/ひとり親家庭等医療費/ひとり親家庭自立支援給付金/ひとり親家庭養育費確保支援助成金/ひとり親家庭子育てサポート事業助成金/母子・父子・寡婦福祉資金/ひとり親家庭の通勤定期の割引) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kosodate_kyouiku/kosodate_hojo_josei_yuushi/hitorioya_shien/index.html
※金額・所得制限・申請期限は変更される場合があります。ご自身にあてはまるかどうかは、必ず磐田市こども部 こども未来課 給付グループ(電話0538-37-4896)へお問い合わせください。とくに自立支援教育訓練給付金・高等職業訓練促進給付金は受講前の事前相談が要件になっており、順番を誤ると対象外になることがあります。本文中の家計に関する記述は、筆者が不動産の現場で受けた相談の範囲での実感であり、統計に基づくものではありません。

