導入——「夏休み、どうしてる?」が、あいさつ代わりになる季節

夏休みが始まって、そろそろ一週間半。共働きのご家庭では、「日中、子どもをどこで過ごさせるか」が毎年の大問題です。学校がある時期なら、放課後の数時間をしのげばいい。しかし夏休みは、朝から夕方まで、まるごと一日。祖父母に頼れる家ばかりではありませんし、小学生を一人で家に置いておくのは、暑さの面でも防犯の面でも心配です。

その受け皿の中心が、放課後児童クラブ——いわゆる「学童」です。磐田市では、市内の小学校区に公設のクラブが置かれ、加えて民間が設置・運営する民設民営のクラブが6か所あります。「こども誰でも通園」の記事では就学前の話を書きましたが、今回は小学生の夏の居場所。磐田の児童クラブの料金と仕組みを、家計の目線で点検してみます。

磐田市の放課後児童クラブの利用料金と開設時間をまとめた図。通常月は月額7,000円、夏休みなど長期休業のある月は3,500円、8月は11,000円。土曜・祝日は1日500円、午後6時から6時30分の延長は1日300円の加算。開設時間は授業日が午後1時から6時30分、長期休業期間は午前7時30分から午後6時30分。土曜・祝日の開所は市内4クラブに限られる。
図1 磐田市の放課後児童クラブ——利用料金と開設時間(令和7年度・市公表資料から作成)

まず、事実を整理する

磐田市の放課後児童クラブの対象は、市内の小学1年生から6年生で、保護者が昼間に就労などで家にいない家庭。授業日の利用には「午後1時から午後6時30分までの間で3時間以上、平日週3日以上の勤務」といった要件があります。

料金は、通常月が月額7,000円。夏休みが始まる7月のような長期休業を含む月は3,500円、そして8月は月額11,000円です。土曜・祝日に利用すれば1日500円、午後6時から6時30分までの延長は1日300円が加わります。開設時間は、授業日が午後1時から午後6時30分、夏休みなどの長期休業期間は午前7時30分から午後6時30分。ただし土曜・祝日に開いているのは、富士見小第1・磐田西小第1・磐田南小第2・豊田東小第1の4クラブに限られます。

申請には期限があります。令和7年度の場合、夏休みの利用を希望するなら2月14日から5月15日までに申請し、審査結果は6月中旬に通知——つまり、夏休みだけ使いたい人も、5月中旬までに手を挙げておく必要がある仕組みです。随時の募集はありますが、対象は「欠員のあるクラブ」だけです。

全国に目を向けると、こども家庭庁の速報値で、令和7年5月時点の登録児童数は156万8,588人と過去最多を更新。一方で、利用したくても入れない待機児童は1万7,013人。前年より673人減ったものの、受け皿を増やせば増やすほど「預けたい」という需要も掘り起こされる、いたちごっこが続いています。

評価——良い点と、注文したい点

まず、良い点を3つ。

1つ、対象が小学1年生から6年生まで、全学年に開かれていること。かつて言われた「小4の壁」(低学年優先で高学年が入れなくなる問題)に対し、制度の入口は広く取られています。2つ、夏休み中は朝7時30分から開所していること。始業前に子どもを送り出せる時間設定は、働く親の実態に合っています。3つ、公設だけでなく民設民営のクラブが6か所あり、選択肢が一つではないことです。

そのうえで、注文したい点も3つあります。

1つ。夏休み利用の申請第1次期限が5月15日であること。5月の時点で夏の働き方が見えている家庭ばかりではありません。急に仕事が決まった、家族の介護が始まった——夏の困りごとは、夏になってから来ます。随時募集は「欠員のあるクラブのみ」ですが、どのクラブに空きがあるのかが外から見えにくい。3つ目の注文にもつながる点です。

2つ。8月の月額11,000円という負担感。通常月の7,000円に対して1.5倍超。きょうだい2人なら2万2,000円、土曜利用や延長を足せば、8月だけで2万5,000円を超える家庭も出てきます。おやつ代や保険料を含む金額であり、人件費を考えれば高すぎるとまでは言いません。ただ、物価高の夏に、この出費が「働くための必要経費」として重くのしかかるのは事実です。

3つ。空き情報の見えにくさ。保育園には空き状況の公表がありますが、児童クラブは「欠員のあるクラブのみ随時募集」と書かれるだけで、どこに、何人分の余地があるのかが市民から見えません。申請してみないと分からない仕組みは、共働き家庭の計画を立てにくくします。

磐田市の放課後児童クラブ、夏休み利用までのスケジュールを示した図。2月14日に申請受付が始まり、5月15日が夏休み利用の随時受付第1次期限、6月中旬に審査結果が通知され、7月下旬から夏休みの利用が始まる。あわせて全国の状況として、令和7年5月時点の登録児童数156万8,588人(過去最多)、待機児童1万7,013人(前年比673人減)を記載。
図2 夏休み利用までの流れと、全国の登録・待機の状況(市公表資料・こども家庭庁速報値から作成)

対案・結論——「空き」を見える化し、夏の駆け込みに応える

行政への注文として、3点提案します。

第一に、クラブごとの空き状況の定期公表。毎月1回、「このクラブは受入れ可能」「このクラブは満員」を市サイトで一覧にするだけで、家庭の見通しは大きく変わります。保育園でできていることが、児童クラブでできない理由はないはずです。

第二に、夏休み限定の臨時受け皿の検討。既存クラブの定員に収まらない「夏だけ」の需要に対し、学校の余裕教室や交流センターを使った短期プログラムで応える自治体が出てきています。磐田にも「ここからラボ」のような学びの場があります。毎日の預かりとまではいかなくても、夏の数週間、午前中だけでも子どもの行き先があることは、親の働き方を支えます。

第三に、随時申請の審査の迅速化。「利用希望日の1か月前までに申請」というルールは、急な就労変更には長い。欠員があるクラブへの入所なら、審査を2週間程度に短縮できないか。運営事業者との調整は要りますが、検討の価値はあると思います。

最後に一言。不動産の仕事をしていると、子育て世帯の住み替え相談で「その学区の学童は入れますか」と聞かれることが増えました。答えに詰まるのが正直なところです。空きが見えないからです。学校選びと同じくらい、放課後の居場所は住まい選びの条件になっています。子どもの夏の居場所がちゃんとあるまちは、それだけで選ばれるまちになる——そう思って、この夏の点検を書きました。

出典(2026年7月確認)

  • 磐田市「令和7年度 放課後児童クラブの利用申請」 https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kosodate_kyouiku/shougakkou_cfuugakkou/shougakkou/houkago_jidouclub/1014133.html
  • 磐田市「令和8年度 放課後児童クラブの利用申請」 https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kosodate_kyouiku/shougakkou_cfuugakkou/shougakkou/houkago_jidouclub/1015803.html
  • 磐田市「民設民営放課後児童クラブ」 https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kosodate_kyouiku/shougakkou_cfuugakkou/shougakkou/houkago_jidouclub/1014547.html
  • こども家庭庁「令和7年度 放課後児童クラブの実施状況(速報値)」(令和7年7月29日) https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/69799c33-85cb-44f6-8c70-08ed3a292ab5/54c26b56/20250729_policies_kosodateshien_houkago-jidou_66.pdf

※利用料金・申請期限などの制度内容は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。