導入——自分の批評を、点検してみる

この連載で、私は何度も同じことを書いてきました。「知らせているのに、届かない」パブリックコメントの窓は、いつ開くのか分からない審議会の告知は2日前だったそして先日は、傍聴人ゼロの会議の話

そのたびに私は「一覧がほしい」「カレンダーを置いてほしい」と書いてきました。ところが8月1日、市の広報物が一斉に更新されたのを見て、ふと思ったのです。本当に、無いのだろうか。私は、ちゃんと探したのだろうか。

今日は自分の批評を点検します。結論を先に書きます。探したら、かなりの部分が、すでにありました。

数えてみた——磐田は、これだけ紙を出している

まず、8月1日に更新された二つの広報物から。

「いわた文化財だより」。市内の文化財に関する情報紙で、毎月発行されています。最新は第257号(令和8年8月1日発行)。市のページには令和6年度からの各号がPDFで並び、さらにバックナンバーのページもあります。毎月出して257号ですから、単純に数えれば20年をゆうに超える蓄積です。紙版は、お近くの交流センターなどで入手できると案内されています。

「学びの庭」。こちらは交流センターで開かれる講座・イベント・教室の情報誌です。スポーツ、趣味、文化、芸術など。紙版は年6回(2月・4月・6月・8月・10月・12月)発行され、8月1日に出た令和8年8月号には9月・10月の情報が載ります。2か月先の予定を、紙で配っているわけです。配布先は交流センター、市役所本庁舎、各支所、各図書館など。市は「配布施設一覧」というPDFまで用意していました。

ここまでで、正直に思いました。紙は、出ている。しかも毎月、あるいは年6回、決まったリズムで。私はLINEが止まった記事で「いちばん古い手段が、いちばん壊れにくい」と書きましたが、その古い手段を、市はちゃんと動かし続けていました。

磐田市が出している広報物を整理した図。いわた文化財だよりは市内の文化財に関する情報紙で毎月発行され、最新は第257号で令和8年8月1日発行、紙版は交流センターなどで入手でき、令和6年度からの各号がPDFで公開されバックナンバーのページもある。学びの庭は交流センターで開かれる講座・イベント・教室の情報誌で、紙版は年6回、2月・4月・6月・8月・10月・12月に発行され、令和8年8月号には9月・10月の情報が載る。配布先は交流センター、市役所本庁舎、各支所、各図書館などで、市は配布施設一覧というPDFも用意している。磐田ここからラボは校舎のない学び舎をコンセプトに、官民問わず生涯学習・社会教育の取り組みを行うもので、学びのプラットフォームとして現在参加者を募集している講座・講演会を一覧で掲載している。
図1 磐田が出している広報物を、数えてみた

そして、「ここからラボ」を開いて驚いた

もう一つ、7月31日に更新されたものがあります。「磐田ここからラボ」の、参加者募集中の『学びの場』の情報です。

磐田ここからラボについては、昨年この連載でも取り上げました。「校舎のない学び舎」をコンセプトに、官民を問わず生涯学習・社会教育の取り組みを行う仕組みです。そのページを、あらためて開いてみました。

そこには「学びのプラットフォーム」という欄があり、現在参加者を募集している講座・講演会が、一覧で並んでいました。

並んでいたのは、たとえばこの三つです。

①未来まちづくりワークショップ。令和8年8月21日(金)午前9時から正午、磐田市役所本庁舎1階第一会議室。対象は市内在住の中学生・高校生・大学生(20名程度)申込期間は令和8年8月7日まで——あと4日です。

②磐田市立総合病院 第31回市民公開講座。令和8年9月5日(土)午後2時から4時、アミューズ豊田ゆやホール。どなたでも、先着300名・要予約。

③自伐型林業フォーラム2026inいわた。令和8年9月5日(土)午後2時から4時、磐田市豊岡中央交流センター。林業に興味がある方、森林整備にお困りの方など、市内外問わずどなたでも(定員100名)。申込は9月2日まで。

これを見て、私は少し反省しました。パブコメの記事審議会の記事で、私は「意見の入り口が分散している」「一覧がほしい」と書き続けてきました。しかし「学び」の分野に限れば、その一覧はすでに存在していたのです。市役所の講座も、病院の公開講座も、林業のフォーラムも、一つのページに並んでいる。

しかも①の未来まちづくりワークショップは、私が「20人の声で終わらせないために——若い世代の参加を市政につなぐ設計を」と書いた企画の最新回です。そして今回の対象は中学生・高校生・大学生。若い世代に絞られている。私が書いた注文の方向に、実際に動いていました。

磐田ここからラボの学びのプラットフォームに掲載されている募集中の講座と、そこから見える課題を整理した図。掲載されている講座は、未来まちづくりワークショップが令和8年8月21日金曜の午前9時から正午、磐田市役所本庁舎1階第一会議室、対象は市内在住の中学生・高校生・大学生で20名程度、申込期間は8月7日まで。磐田市立総合病院第31回市民公開講座が9月5日土曜の午後2時から4時、アミューズ豊田ゆやホール、どなたでも先着300名で要予約。自伐型林業フォーラム2026inいわたが9月5日土曜の午後2時から4時、豊岡中央交流センター、市内外問わずどなたでも定員100名、申込は9月2日まで。つまり学びの分野に限れば一覧はすでに存在していた。一方で課題として、ここに載るのは学びの講座だけで審議会やパブリックコメント、委員公募は載らないこと、ラボの存在自体が知られていないこと、紙の広報物とウェブの導線が結ばれていないことが挙げられる。
図2 「ここからラボ」に、一覧はあった。ただし「学び」だけ

評価——良い点と、それでも残る注文

良い点を3つ、はっきり書きます。

1つ、紙を出し続けていること。文化財だよりは毎月で257号、学びの庭は年6回。デジタルに寄せる時代に、紙のリズムを崩していない。しかも配布施設の一覧まで公開している。私が「紙と電話と回覧を残してほしい」と書いたことは、少なくともこの分野では実行されていました。

2つ、「ここからラボ」が横断的に集めていること。市役所の課をまたぎ、病院や民間の講座まで一つのページに並べる。市民から見れば、どの課がやっているかは関係ありません。この設計は正しい。

3つ、2か月先の情報を紙で配っていること。学びの庭8月号には9月・10月の予定が載ります。審議会の告知が2日前だったのとは対照的です。同じ市役所の中に、2か月前に知らせる文化と、2日前に知らせる文化が同居している。

そのうえで、注文は3つ残ります。

1つ。「ここからラボ」に載るのは、学びだけだということです。講座と講演会は並んでいますが、はまぼう学府の委員公募も、子ども・子育て会議の傍聴も、パブリックコメントも、ここには載りません。市民から見れば、講座に申し込むのも、委員に応募するのも、同じ「参加」です。分ける理由が、市民の側にはありません。

2つ。ラボの存在自体が、知られていないこと。私は市政を毎日追いかけていて、しかも一度この仕組みを記事にしているのに、今日まで「募集中の講座が一覧になっている」ことに気づいていませんでした。私が気づかないものを、ふつうに暮らしている人が見つけられるでしょうか。

3つ。紙とウェブがつながっていないこと。学びの庭は交流センターに置いてあり、ここからラボはウェブにあります。紙を手に取った人が、ウェブの一覧にたどり着く道筋が見えません。逆も同じです。どちらも良いものなのに、別々に置かれている。

対案・結論——ラボを「参加の総合入口」に

提案は3つです。

第一に、「ここからラボ」を、市民参加の総合入口に広げてほしいこと。いまの「学びのプラットフォーム」に、審議会の開催予定、委員の公募、パブリックコメントの募集も並べる。枠を一つ増やすだけです。私が昨日「審議会カレンダーを置いてほしい」と書いたものは、ゼロから作る必要はありません。すでにある器に、載せるものを増やせばいい。

第二に、紙にQRコードとURLを。学びの庭にも文化財だよりにも、「最新の募集はこちら」の一行と二次元コードを入れる。紙で興味を持った人を、ウェブの一覧へ送る。逆に、ウェブには「紙版はここで配っています」を載せる。二つの経路を、行き来できるようにするだけです。

第三に、締切の近いものを、上に出すこと。今日ラボを開いて、いちばん驚いたのは未来まちづくりワークショップの申込が8月7日までだったことです。あと4日。一覧に並んでいても、締切が近いものが目立たなければ、気づいたときには終わっています。

最後に一言。今日の記事は、自分への訂正です。私は「市が知らせていない」と書きすぎていたかもしれません。市は出していました。毎月257号、年6回、そして横断的な一覧まで。届いていなかったのは事実ですが、それは「発信していない」のではなく、「探さないと見つからない」という問題でした。この二つは、似ているようで違います。前者なら「作れ」と言うしかありませんが、後者なら置き場所と導線を直すだけで解決します。そのほうが、はるかに希望があります。

そして最後に、実用的なことを。8月21日の未来まちづくりワークショップ、申込は8月7日までです。対象は市内在住の中学生・高校生・大学生、20名程度。磐南の記事で「磐田を発展させる場所だ」と若い人に書いた手前、これは告知しておかなければなりません。夏休みの金曜日の午前中、市役所で3時間。お子さんやお孫さんに、この記事を見せてあげてください。

出典(2026年8月3日確認)

  • 磐田市「いわた文化財だより」(2026年8月1日更新。毎月発行、最新は第257号=令和8年8月1日発行、紙版は交流センターなどで入手可、令和6年度からの各号とバックナンバーを掲載) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/sports_midokoro/bunkazai/bunkazainitsuite/1002024.html
  • 磐田市「交流センター講座・イベント情報(学びの庭)」(2026年8月1日更新。紙版は年6回〈2・4・6・8・10・12月〉発行、令和8年8月号は9月・10月の情報、配布は交流センター・市役所本庁舎・各支所・各図書館等、配布施設一覧を公開、担当=まなび推進課) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kurashi_tetsuzuki/chiiki_kouryuu/kouryuu_center/1001675.html
  • 磐田市「磐田ここからラボ」(「校舎のない学び舎」がコンセプト。学びのプラットフォームに募集中の講座・講演会を掲載。未来まちづくりワークショップ=令和8年8月21日9:00〜12:00/市役所本庁舎1階第一会議室/市内在住の中学生・高校生・大学生20名程度/申込は8月7日まで、磐田市立総合病院 第31回市民公開講座=9月5日14:00〜16:00/アミューズ豊田ゆやホール/先着300名要予約、自伐型林業フォーラム2026inいわた=9月5日14:00〜16:00/豊岡中央交流センター/定員100名・申込は9月2日まで) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kurashi_tetsuzuki/chiiki_kouryuu/1010587/index.html

※日程・定員・申込方法は変更される場合があります。申込の詳細は磐田市公式サイトおよび各担当課へご確認ください。