導入——書き残した宿題を、片づけます

7月29日、令和8年熊本地震について書いた記事の末尾に、私はこう書きました。「募金や支援の呼びかけは、確かな窓口が整ってから改めて書きます」。

災害のたびに、支援を装った詐欺が出ます。だから、市や日赤といった確かな主体が、確かな窓口を開くまでは書かない——そう決めていました。

その窓口が、開きました。磐田市のサイトに「令和8年熊本地震への支援について」というページができています(8月3日更新)。用意されているのは三つ。お金を託す道、税の仕組みを使う道、そして住まいを差し出す道です。

今日は、この三つを正確に書きます。そのうえで、注文も三つ書きます。ほめるだけの記事にはしません。

一つめ——日本赤十字社「令和8年熊本地震災害義援金」

市が受付窓口になっているのは、日本赤十字社の義援金です。日赤は被災地の都道府県に設置される義援金配分委員会を通じて、被災された方々の生活を支援するために義援金を募集しています。配分委員会を通す——ここが大事なところで、集まったお金は日赤の運営費ではなく、被災者に配分されます。

市内の受付窓口は三か所。iプラザ3階の福祉の担当課、本庁舎1階受付、各支所の市民生活課窓口です。

ただし、ここに注意書きがあります。本庁舎1階受付と各支所の市民生活課窓口では、寄付金受領証の発行を行っていません。受領証が必要な方は、iプラザ3階の福祉の担当課へ寄附金を持って行ってください。

受付期間は、7月31日(金曜)から10月30日(金曜)まで。問い合わせは0538-37-4814。口座振込を希望する場合の方法は、市のページから日赤のサイトに進めば確認できます。

磐田市が用意した令和8年熊本地震への三つの支援の受け皿をまとめた図。一つめは日本赤十字社の令和8年熊本地震災害義援金で、日赤が被災地都道府県に設置される義援金配分委員会を通じて被災者の生活を支援するため募集するもの。市内の受付窓口はiプラザ3階の福祉の担当課、本庁舎1階受付、各支所の市民生活課窓口の三か所。ただし本庁舎1階受付と各支所の市民生活課窓口では寄付金受領証の発行を行っておらず、受領証が必要な場合はiプラザ3階の担当課へ持参する。受付期間は7月31日金曜から10月30日金曜まで、問い合わせ電話は0538-37-4814。二つめはふるさと納税制度を活用した代理寄附で、甚大な被害を受けた熊本県八代市を支援するため磐田市が代理で寄附を受け付ける。八代市が災害対応等に専念できる環境を整えるとともに全国からの支援を迅速に被災地へ届けることが目的。受付開始は令和8年7月30日木曜17時、受付サイトはさとふる、寄附金は八代市が行う被災者の支援と復旧・復興事業全般に全額充てられ、災害支援寄附のため返礼品はなく、寄附金控除の対象となる。問い合わせ電話は0538-37-4781。三つめは市営住宅の提供で、令和8年熊本地震で被災し罹災証明書の交付を受けた世帯が対象。提供戸数は3LDKが2戸で所在地は磐田市福田中島3396-4、入居期間は入居許可日から原則1年以内、家賃および敷金は免除、連帯保証人は不要。受付開始は令和8年8月3日月曜から、受付時間は午前8時30分から午後5時15分まで、受付場所は建築住宅課で西庁舎2階、まずは電話で問い合わせる。問い合わせ電話は0538-37-4851。
図1 磐田市が用意した三つの受け皿(磐田市公表資料から作成)

二つめ——ふるさと納税を使った「代理寄附」

二つめは、私がいちばん「よく考えたな」と思った仕組みです。

磐田市は、令和8年熊本地震で甚大な被害を受けた熊本県八代市を支援するため、ふるさと納税制度を活用した「代理寄附」の受付をしています。

代理寄附というのは、被災地への寄附を被災していない自治体が代わりに受け付ける仕組みです。市の説明はこうです。「本市が、代理寄附を受けることで八代市が災害対応等に専念できる環境を整える」。

これは、被災地で何が起きるかを知っている人の発想です。災害の直後、被災自治体の職員は避難所の運営、給水、罹災証明の受付、道路の啓開で手いっぱいになります。そこへ全国から寄附が届けば、その事務処理までのしかかる。お礼状も、受領証も、問い合わせ対応も。善意が、業務量になってしまう。

その事務を、磐田が肩代わりする。お金だけでなく、手間を引き受ける支援です。

受付開始は令和8年7月30日(木曜)17時。受付サイトは「さとふる」。寄附金は八代市が行う被災者の支援、復旧・復興事業全般に全額充てられます。災害支援寄附なので返礼品はありません。そして寄附金控除の対象になります。問い合わせは0538-37-4781です。

返礼品がない、というところをあえて強調しておきます。ふるさと納税は返礼品競争で語られがちですが、この寄附には何も返ってきません。それでいい。むしろ、それがいい。

三つめ——市営住宅を、2戸あける

三つめは、住まいです。

市は、令和8年熊本地震で被災された方々へ市営住宅を提供します。対象は被災し、罹災証明書の交付を受けた世帯

提供戸数は3LDKが2戸、所在地は磐田市福田中島3396-4。入居期間は入居許可日から原則1年以内。そして——家賃および敷金は免除。連帯保証人も不要です。

ここは素直に評価します。被災して家を失った人にとって、敷金と連帯保証人は現実的な壁です。その二つを、市は最初から外している。

受付開始は令和8年8月3日(月曜)から。受付時間は午前8時30分から午後5時15分まで、受付場所は建築住宅課(西庁舎2階)。まずは電話で問い合わせてください、と案内されています(0538-37-4851)。

そして市のページには、こう書かれていました。「本支援を必要とされる方がいらっしゃいましたら、本制度についてお知らせいただきますよう、ご協力をお願いします」。

この一行を、私はしばらく見つめていました。市は、届け方に困っている。そのことが、ここに出ています。

評価——良い点を三つ

1つ、三本立てにしたこと。現金を託したい人、税の仕組みで支援したい人、そして住む場所を必要としている被災者。支援したい側と、支援を必要とする側の、両方に窓口がある。片方だけの自治体も多いなかで、これは丁寧です。

2つ、代理寄附という発想。前述のとおり、被災自治体の事務を減らす支援です。7月29日の記事で私は「支援する側にまわるための備え」と書きましたが、まさにそれを実行に移しています。

3つ、受付期間を明示していること。義援金は10月30日まで、と締切が書いてある。「随時」ではなく期日があるから、人は動けます。キャッチフレーズ募集の記事でも書いたことですが、締切のある呼びかけは、締切のない呼びかけより強い。

注文——三つ、申し上げます

1つ。受領証がiプラザでしか出ないこと。

本庁舎1階でも、各支所でも義援金は受け付けます。けれど寄付金受領証はiプラザ3階まで行かないともらえない。受領証は、寄附金控除に必要な書類です。とくに事業者や、確定申告をする人にとっては、あるとないとで意味が変わります。

福田や豊岡から、控除のためだけにiプラザまで行くのか。あるいは「じゃあいいや」と受領証を諦めるのか。後日郵送で対応する、支所でも仮受領の控えを渡す——やり方はあるはずです。せめて「支所でも受領証をご希望の方はお申し出ください、後日お送りします」の一行があれば、ずいぶん違う。

2つ。市営住宅2戸の情報が、被災地に届く経路が見えないこと。

市が「知っている方はお知らせください」と書いているのは、裏を返せば磐田市のホームページを熊本の被災者は見ていないということです。当たり前です。避難所にいる人が、静岡県磐田市のサイトを開くはずがない。

だとすれば、必要なのは市民への呼びかけではなく、八代市の窓口や、熊本県、避難所の掲示板に、この2戸の情報を直接置くことです。すでに県を通じて情報提供している可能性もありますが、それならそう書いてほしい。「県の広域避難の枠組みで情報提供しています」と一行あるだけで、この制度は絵に描いた餅ではなくなります。

3つ。結果を、公表してほしい。

義援金がいくら集まったのか。代理寄附が何件、いくらになったのか。市営住宅に、実際に入居があったのか。漏水調査の記事でも公売の記事でも同じことを書きましたが、やった以上は、結果まで示す。

これは市を責めるためではありません。逆です。「磐田市民から○○円が届きました」と書かれた日、次の災害のときに、もっと集まるからです。善意には、届いた証拠が要ります。

結論——支援は「気持ち」ではなく「手続き」で届く

提案を三つ、まとめます。

第一に、受領証の取り扱いを、支所でも完結できるようにすること。少なくとも、後日発行の道を明記すること。

第二に、市営住宅2戸の情報を、被災地側へ直接届ける経路をつくり、それを市民にも見えるようにすること

第三に、10月30日の受付終了後、実績の公表。金額、件数、入居実績。一枚のページでいい。

最後に、私自身のことを書きます。

7月28日の記事で、私は震度7の熊本と、同じ日に落雷で停電した磐田を並べて書きました。その続きでは、落雷では罹災証明が出ないことを調べて書きました。あのとき私が痛感したのは、「支援したい気持ち」だけでは何も届かない、ということです。

届けるのは、手続きです。受付窓口があり、期限があり、口座があり、受領証がある。誰かがその仕組みを整えたから、私たちは3,000円でも5,000円でも託すことができる。気持ちを、制度が運んでくれる。

だから今日は、こう書いて終わります。窓口は、開きました。10月30日までです。iプラザ3階、本庁舎1階、各支所の市民生活課。ふるさと納税なら「さとふる」で、返礼品なしの代理寄附。金額の多寡は、まったく問題ではありません。

そして、これはいつか私たちの側の話になります。南海トラフが来た日、磐田のために代理寄附を受け付けてくれる自治体が、どこかにある。その日のために、今日、こちらから先に渡しておく。私はそういうことだと思っています。

出典(2026年8月4日確認)

  • 磐田市「令和8年熊本地震への支援について」(2026年8月3日更新。日本赤十字社「令和8年熊本地震災害義援金」=受付窓口はiプラザ3階の福祉の担当課・本庁舎1階受付・各支所市民生活課窓口、本庁舎1階受付と各支所市民生活課窓口では寄付金受領証の発行なし、受付期間7月31日〜10月30日、電話0538-37-4814/ふるさと納税による熊本県八代市への代理寄附=受付開始令和8年7月30日17時、受付サイト「さとふる」、寄附金は八代市の被災者支援・復旧復興事業全般に全額充当、返礼品なし、寄附金控除の対象、電話0538-37-4781/市営住宅の提供=罹災証明書の交付を受けた被災世帯が対象、3LDK2戸〈磐田市福田中島3396-4〉、入居期間は入居許可日から原則1年以内、家賃および敷金は免除、連帯保証人不要、受付開始令和8年8月3日、受付時間8:30〜17:15、受付場所は建築住宅課〈西庁舎2階〉、電話0538-37-4851。情報発信元=危機管理課 電話0538-37-2114) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/bousai_anzen/1013040/1016800.html

※受付窓口・期間・条件は変更される場合があります。義援金や代理寄附を検討される方は、必ず磐田市および日本赤十字社の最新の案内をご確認ください。なお、災害のたびに支援を装った勧誘・詐欺が発生します。訪問や電話で寄附を求められた場合は、その場で応じず、市の窓口または日本赤十字社の公式サイトから手続きしてください。