導入——昨日の予定表に、席がもう一つ増えた

昨日、7月の総ざらいの記事で、私は「8月に開く三つの席」を並べました。はまぼう学府の委員公募、見付宿の未来を考える会、こども若者会議。そのうえで「8月は、どれか一つでいいので席に座ってみませんか」と書きました。

その記事を出した日、市はもう一つの募集を出していました。「こどもまんなかキャッチフレーズを募集します」——7月31日付です。私の予定表は、公開した翌日にはもう古くなっていたわけです。追補として、今日書きます。

そして結論から言えば、これは私がこの連載で追いかけてきた「意見の入り口」の中で、いちばん敷居が低いものでした。

まず、事実を整理する

磐田市は「こども・若者が心から安心でき、取り巻く全ての世代の人が幸せを実感できるまち」を目指しているとして、市の子育て支援や、このまちで育つ子どもたちの明るい未来を象徴するキャッチフレーズを募集しています。

条件を並べます。応募資格は、磐田市に縁のある個人・団体等。市民・在住・在勤・在学を問いません。未発表の自作であることが条件です。応募期間は令和8年7月31日から8月31日まで。文字数は10文字程度。応募は指定のフォームから。

そして、ここが面白いところです。選考は、市による審査を行ったうえで、最終は市民投票で決定します。入賞者には10月2日までに連絡があり、最優秀作品は令和8年10月25日のリレーシンポジウムで発表されます。市長からの表彰と記念品があり、応募した方全員にオリジナルシールが贈られます(11月4日から13日に、こども未来課の窓口=iプラザ3階で申込フォームの画面を提示)。

ひとつ、気づいたことがあります。発表される10月25日は、こども若者会議2026の発表日と同じ日です。約20人の子ども・若者が3か月かけて考えた提案の発表と、まちじゅうから集めた言葉の発表が、同じ日に並ぶ。偶然ではないでしょう。

こどもまんなかキャッチフレーズ募集の概要をまとめた図。磐田市が、こども・若者が心から安心でき取り巻く全ての世代の人が幸せを実感できるまちを目指し、市の子育て支援とこのまちで育つ子どもたちの明るい未来を象徴するキャッチフレーズを募集している。応募資格は磐田市に縁のある個人・団体等で、市民・在住・在勤・在学を問わない。未発表の自作であることが条件。応募期間は令和8年7月31日から8月31日まで。文字数は10文字程度。応募は指定のフォームから。選考は市による審査を行ったうえで最終は市民投票で決定する。入賞者には10月2日までに連絡があり、最優秀作品は令和8年10月25日のリレーシンポジウムで発表される。市長からの表彰と記念品があり、応募者全員にオリジナルシールが贈られる。シールは11月4日から13日にこども未来課の窓口で申込フォームの画面を提示して受け取る。
図1 募集のあらまし——10文字、8月31日まで(磐田市公表資料から作成)

評価——この入り口は、よくできている

良い点を4つ挙げます。この連載で参加の入り口に注文をつけ続けてきた者として、今回は素直に評価したい点が多い。

1つ、10文字程度という軽さパブリックコメントは文章を書く必要があり、検討会の委員は2〜3か月に一度の会議に出る必要があります。それに比べて、10文字。小学生でも、電車を待つ5分でも書けます。

2つ、市民でなくても応募できること。「磐田市に縁のある個人・団体等」で、在住も在勤も在学も問わない。磐田で育って外に出た人も、磐田に通っている人も、応募できます。磐南の記事で「外にいながら磐田に返す」という話を書きましたが、その一つの形になり得ます。

3つ、最終を市民投票で決めること。これが今回いちばんの評価点です。「上流ほど動かせるのに、上流ほど見えにくい」と私は書きました。この募集は、応募という入り口だけでなく、決める場面まで市民に開いています。審査だけで決めてしまえば簡単なのに、そうしなかった。

4つ、応募者全員に記念品があること。当たった人だけが報われるのではなく、参加した全員に何かが返る。「言いっぱなしにさせない」という意味で、小さいけれど大事な設計です。

そのうえで、注文が2つあります。

1つ。応募がフォームだけであること見付宿の会のときにも書きましたが、電子申請のみの受付は、それだけで一定の人を外します。今回いちばん応募してほしいのは子どもたちのはずですが、自分のスマホを持たない小学生は、保護者の手を借りないと応募できません。学校を通じた紙の応募用紙が1枚あれば、応募数は桁で変わると思います。

2つ。記念品の受け取りが窓口に限られていること。11月4日から13日に、iプラザ3階の窓口へ行き、申込フォームの画面を見せる必要があります。竜洋や豊岡から、シール1枚のためにiプラザまで行けるでしょうか。期間も10日間と短い。各支所や交流センターでも受け取れると、ぐっと現実的になります。

この連載で追ってきた磐田の意見の入り口を、敷居の低い順に並べた図。いちばん敷居が低いのがこどもまんなかキャッチフレーズの募集で、10文字程度、8月31日まで、市民でなくても応募でき、最終は市民投票で決まる。次がこども若者会議のアンケートで、いわたのくらしラボから大人でも提出できる。次が見付宿の未来を考える会で、申込は8月16日締切、開催は8月22日、定員50名。次がはまぼう学府の新たな学校づくり検討会の市民委員公募で、募集は8月1日から31日、18歳以上・福田地区在住、会議は2〜3か月に1度の継続参加。そしてパブリックコメントは、募集の窓が開いている期間だけ意見を出せる仕組みで、現在は募集案件がない。入り口には段差があり、まず低いところから登ればよいという整理。
図2 磐田の「意見の入り口」を、敷居の低い順に並べる

対案・結論——階段の、いちばん下の段

この連載で、私は磐田の「意見の入り口」を一つずつ確かめてきました。パブリックコメントの窓は閉まっていました検討会の席は8月に開きますが、地区の要件があり、継続して会議に出る覚悟が要ります。審議会の傍聴は定員10名で、告知は2日前でした。

そう並べてみると、今回のキャッチフレーズ募集は、階段のいちばん下の段にあたります。10文字、1か月、誰でも、そして決めるのも市民。ここから始めればいい。

提案を2つだけ。市へは、学校を通じた紙の応募用紙を。夏休みの宿題のついでに1枚配るだけで、子どもたちの言葉が集まります。せっかく「こどもまんなか」を掲げるのですから、子どもがいちばん応募しやすい形にしてほしい。そして記念品は各支所でも受け取れるように

読者のみなさんへは、一つだけ。10文字、考えてみませんか。締切は8月31日。うまい言葉である必要はありません。「無関心の値段」で私は「見られている行政と、見られていない行政は違う仕事をする」と書きました。応募が10通のときと1,000通のときでは、市の受け止め方も、次の企画も変わります。10文字は、意見です。

最後に一言。私は不動産と介護の仕事をしているので、子育ての現役世代ではありません。それでも考えてみました。磐田で家を探す若い夫婦と話していて、いちばんよく聞くのは「ここで子どもを育てて大丈夫でしょうか」という不安です。だから私なら、「大丈夫」と言い切れる言葉を書きたい。10文字。案外、難しいものです。8月31日まで、ゆっくり考えてみます。

出典(2026年8月1日確認)

  • 磐田市「こどもまんなかキャッチフレーズを募集します」(2026年7月31日更新。応募資格=磐田市に縁のある個人・団体等〈市民・在住・在勤・在学を問わない、未発表の自作に限る〉、応募期間=令和8年7月31日〜8月31日、文字数=10文字程度、応募フォームから応募、選考=市の審査後に市民投票で決定、入賞者へは10月2日までに連絡、最優秀作品は令和8年10月25日のリレーシンポジウムで発表、市長表彰と記念品、応募者にオリジナルシール〈11月4日〜13日にこども未来課窓口で提示〉、担当=こども部こども未来課) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/1006547/1015070/1016785.html
  • 本連載の既報:こども若者会議2026(記事0092、発表は10月25日)/見付宿の未来を考える会(記事0088)/はまぼう学府の委員公募(記事0094)/パブリックコメントの現状(記事0091)/審議会の傍聴(記事0095)

※応募要件・日程は変更される場合があります。応募の詳細は磐田市公式サイトでご確認ください。