導入——停電が終わっても、話は終わらない

昨日、私は7月28日の落雷による停電の記事を書きました。クーリングシェルターは昼には届くが、夜には届かない——そういう検算の話でした。

電気は戻ります。しかし、それで終わらない家があります。雷でテレビが映らなくなった。エアコンが動かない。パソコンが立ち上がらない。給湯器のリモコンが真っ暗になった。不動産と介護の仕事をしていると、雷のあとには決まって、この手の相談が来ます。

そういうとき、多くの人が最初に思い浮かべるのが「罹災証明書」です。ところが、7月30日に市が更新した罹災証明書のページを読んで、私は手が止まりました。そこには、はっきりと書かれていたのです。「落雷による罹災証明書等の発行業務は行っていません」と。

7月最後の日に、停電の後始末を整理しておきます。制度の穴の話であり、同時に、今日からできる自衛の話でもあります。

まず、二つの証明書を整理する

市が交付しているのは、二種類です。

罹災証明書は、地震や風水害などの災害(火災を除く)で住家に被害が出たとき、その被害の程度を市が判定して出すものです。各種の支援金や制度を使うときに必要になります。ここでいう「住家」とは、現実に人が住んでいる建物のこと。空き家、離れ、別荘、建設中の住宅は「住家」に含まれません。空き家の記事を何本も書いてきた身として、この一行は見逃せませんでした。

被災証明書は、住家以外の建造物や工作物——物置、カーポート、そして自動車など——について、被災した事実を証明するものです。被害の程度を判定するのではなく、「被災した」という事実の証明です。

申請は資産税課へ、窓口・郵送・電子申請のいずれでも可能。必要なのは申請書、本人確認書類、そして被害状況の分かる写真です。そして見落としてはいけないのが期限で、災害発生日から6か月以内(厳守)と明記されています。

もうひとつ、実務で効くのが自己判定方式です。屋根や外壁の一部損壊など、家屋全体の10%未満の被害(一部損壊)だと申請者自身が判定する方法で、通常の被害認定調査を省くため、比較的早く証明書が出ます。市の職員が調査に来るのを待たなくていい、というのは大きい。

磐田市の罹災証明書と被災証明書の違いをまとめた図。罹災証明書は地震や風水害などの災害(火災は除く)で住家に被害が生じたとき、住家の被害程度を市が判定して交付するもので、各種支援金や制度の利用時に必要となる。対象は専用住宅・併用住宅・共同住宅で、住家とは現実に居住している建物を指し、空き家・離れ・別荘・建設中の住宅は住家に含まれない。被災証明書は住家以外の建造物や工作物、物置やカーポート、自動車などについて被災した事実を証明するもの。申請先は資産税課で、窓口・郵送・電子申請が可能。必要書類は申請書、本人確認書類、被害状況の分かる写真。申請期限は災害発生日から6か月以内で厳守。自己判定方式は屋根や外壁の一部損壊など家屋全体の10パーセント未満の被害を申請者自身が判定する方法で、通常の被害認定調査を行わないため比較的早く交付される。
図1 罹災証明書と被災証明書——何が違い、何が要るか(磐田市公表資料から作成)

そして、落雷は対象外である

ここからが本題です。市のページには「落雷による被害について」という項目が立てられ、こう説明されています。

落雷は他の自然災害と異なり、損害の状況を外観から判断することが難しい。家電製品などの被害の場合、故障の原因が落雷によるものかどうかを市では判断できない。また、市には落雷の発生日時や発生場所を特定し、その事実を断定するための機能がない。だから落雷による罹災証明書等の発行業務は行っていない——。

正直に言えば、読んだ瞬間は「そんな」と思いました。しかし、理屈は分かります。雷が落ちたことを、市役所は証明できない。気象観測の機関ではないのですから、当然と言えば当然です。地震なら震度が記録され、台風なら風速と雨量が残る。しかし「あなたの家のテレビが壊れたのは、あの雷のせいです」とは、誰にも言い切れない。

大事なのは、市が代わりの道筋を書いていることです。三つ示されていました。

一つ、保険会社に相談すること。落雷で保険請求をする場合の提出書類は、契約している保険会社に確認してくださいと書かれています。実はこれが本筋で、そもそも家財保険の保険金や見舞金の請求には、証明書が不要な場合があるとも明記されています。

二つ、気象台の気象鑑定・気象証明という道。静岡地方気象台では気象鑑定や気象証明を行っている場合があり、必要なら相談してほしい、と案内されています。ただし費用がかかると、そこまで正直に書かれていました。

三つ、落雷で家屋が火災になった場合は別扱い。この場合は通常の火災と同様、管轄の消防署が罹災証明書を発行します。火災による罹災証明の問い合わせ先も、消防本部予防課(0538-59-1718)と明記されています。

落雷の被害に遭ったときの窓口の分かれ方をまとめた図。市の説明では、落雷は外観から損害を判断することが難しく、家電製品等の故障原因が落雷によるものか市では判断できない。また市には落雷の発生日時や場所を特定し事実を断定する機能がないため、落雷による罹災証明書等の発行業務は行っていない。代わりの道筋として3つが示されている。1つ目は保険会社への相談で、落雷による保険請求の提出書類は契約する保険会社に確認する。家財保険の保険金や見舞金の請求には証明書が不要な場合もある。2つ目は静岡地方気象台の気象鑑定・気象証明で、行っている場合があるが費用がかかる。3つ目は落雷で家屋が火災になった場合で、この場合は通常の火災と同様に管轄する消防署が罹災証明書を発行する。火災の罹災証明の問い合わせ先は消防本部予防課。
図2 落雷のとき、窓口はこう分かれる

評価——良い点と、注文したい点

良い点を3つ挙げます。

1つ、「できない」と正直に書いていること。行政の文書は、できないことを曖昧にしがちです。ここでは理由まで添えて、はっきり「行っていません」と書いてある。窓口で押し問答になるより、ずっと親切です。2つ、代替の道を三つとも示していること。保険、気象台、消防署。断るだけで終わらせていないのは、良い仕事です。3つ、費用がかかることまで書いていること。私は国保税の記事で「費用が見えないことが、制度から人を遠ざけている」と書きました。ここでは、その逆をやっています。

そのうえで、注文が3つあります。

1つ。停電の告知と、このページがつながっていないこと。7月29日の「市内一部地域の停電とクーリングシェルターのご案内」には、暑さの話はありましたが、被害に遭った人の後始末の案内は見当たりませんでした。「家電が壊れた方へ」の一行と、この罹災証明ページへのリンクがあれば、探し回る人が減ります。落雷の翌々日にこのページを更新しているのですから、意識はあったはずです。あと一歩でした。

2つ。「空き家は住家ではない」の重さ。制度の定義としては理解できます。ただ、磐田は空き家が増え続けているまちです。相続した実家が被災しても、そこに誰も住んでいなければ罹災証明の対象にはなりません(住家以外の建造物として被災証明の対象になり得るかは、個別に市へご確認ください)。空き家の持ち主が増えるほど、この線引きに当たる人も増えます。誰がどちらに当たるのかを、もう少し分かりやすく示してほしい。

3つ。気象鑑定の費用の目安が分からないこと。「費用がかかります」とは書かれていますが、いくらかは書かれていません。数千円なのか数万円なのかで、頼むかどうかの判断はまったく変わります。市が金額を書けないなら、「気象台にご確認ください」の一言でもいい。金額が見えないと、人は動けません。

対案・結論——今日からできる、三つの自衛

行政への注文とは別に、私たち自身の備えを3つ書きます。雷は、この夏もまた来ます。

第一に、被害に気づいたら、すぐ写真を撮ること。市のページには撮り方まで書かれています。家の外はなるべく4方向から。家の中は部屋ごとの全景と、被害箇所の「寄り」。壊れた家電なら、型番の見えるシールと、動かない画面の両方を。片づける前に撮る。これが鉄則です。

第二に、火災保険の証券を、いま一度開くこと。多くの火災保険には落雷の補償が含まれています。ご自身の契約に落雷が入っているか、家財も対象か、免責金額はいくらか。雷が鳴ってから調べるより、鳴る前に知っておくほうが確実です。そして請求には証明書が不要な場合もあります。まず保険会社に電話する——これがいちばん早い。

第三に、6か月という期限を覚えておくこと。罹災証明・被災証明の申請期限は、災害発生日から6か月以内で厳守と書かれています。「落ち着いてから」と思っているうちに、半年は過ぎます。成年後見の記事でも書きましたが、この仕事をしていていちばん申し訳ないのは「もう少し早ければ」と言わなければならないときです。

最後に一言。7月28日、熊本では震度7の地震があり、磐田では雷が落ちました。その日のことは昨日書いたとおりです。規模はまるで違います。それでも、災害のあとに必ず来るのは「証明」と「お金」の話だという点は、同じです。市は雷を証明できない。それは仕方がない。ならば、証明できるのは誰か——保険会社であり、気象台であり、そして片づける前にシャッターを切ったあなた自身です。7月最後の日に、この一行だけは書いておきたいと思いました。次に雷が鳴ったら、まず写真を撮ってください。

出典(2026年7月31日確認)

  • 磐田市「罹災証明書・被災証明書の申請」(2026年7月30日更新。罹災証明書=住家の被害程度の判定、被災証明書=住家以外の建造物・工作物・自動車などの被災の事実、住家の定義、自己判定方式〈家屋全体の10%未満の一部損壊〉、写真の撮影方法、申請期限は災害発生日から6か月以内〈厳守〉、家財保険の請求には証明書が不要な場合あり、火災は消防本部予防課0538-59-1718、担当は資産税課0538-37-4809) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kurashi_tetsuzuki/zeikin/koteishisan_toshikeikakuzei/1011699.html
  • 同ページ「落雷による被害について」(落雷は外観から損害の判断が難しく、家電製品等の故障原因が落雷によるものか市では判断できない。落雷の発生日時・場所を特定し事実を断定する機能がないため、落雷による罹災証明書等の発行業務は行っていない。保険請求の書類は保険会社へ相談、静岡地方気象台の気象鑑定・気象証明は費用がかかる、落雷で家屋が火災になった場合は消防署が罹災証明書を発行)
  • 磐田市「市内一部地域の停電とクーリングシェルターのご案内」(7月28日の落雷による停電) https://www.city.iwata.shizuoka.jp/bousai_anzen/1016797.html

※制度の運用・様式は変更される場合があります。個別の適用可否や必要書類は、磐田市資産税課、消防本部、契約先の保険会社へ直接ご確認ください。保険の補償内容は契約により異なります。